【登場人物】
- マモル(高校生。地味だけど憧れは強い)
- カオル(竹の子族のリーダー。原宿のカリスマ)
- 通行人たち
【場面:1980年代・日曜午後、原宿・歩行者天国】
(♪ピンクレディーの「UFO」が流れる。カラフルな衣装の竹の子族たちが軽やかに踊っている)
マモル(キョロキョロしながら登場):「ついに来たぞ原宿…今日こそ“竹の子族”に入ってやる!」
(ぎこちないステップを踏みながら前へ出る。なぜか体が45度傾いている)
カオル:「ちょっと君!何そのリズム?それ、阿波踊り?」
マモル:「ち、違います!これは…“俺なりのビート”です!」
カオル:「“俺なり”すぎるよ!リズム感、タンスの裏にでも置いてきたの?」
(他のメンバー、クスクス笑う)
マモル(必死で腕を振りながら):「夢だったんです、竹の子族になるのが!昨日、母ちゃんのパジャマ改造してこの衣装作ったんです!」
(ジャケットの袖に「西友」のロゴ)
カオル:「…努力は認めるけど、その踊り、周波数が違うんだよね…」
(突然、通行人の小学生がマモルの横で同じ動きを真似し始める)
小学生:「この人の動き、面白いー!」
(周囲の人々が集まり、拍手しながらマモルの動きに合わせて踊り始める)
カオル:「…な、なんだこの一体感!?予想外すぎる…!」
マモル(汗だくでニコニコ):「俺、リズム感はゼロだけど…“人を巻き込む力”はあるんです!」
カオル:「よし、決めた!君は今日から“竹の子族・応援団長”だ!」
マモル:「やったー!ただし、踊っちゃダメってことですよね?」
(観客爆笑。BGMが「学園天国」に変わる)
昭和の原宿を彩った伝説のダンス集団「竹の子族」。カラフルなファッションに身を包み、ラジカセの音に合わせて踊る彼らに憧れた若者は多かったことでしょう。このコントの主人公も、そんな一人。
ただし――リズム感が、壊滅的だった。
ステップを踏んだつもりがズレて、決めポーズはいつもひと beat 遅れ。なのに本人はドヤ顔で決めている姿が、なんとも憎めません。竹の子族に入れなくても、あなたはあなたで輝いてるよ!と、当時の不器用な若者たちへのエールを込めました。
このコントは、夢と現実のギャップ、でも「好き」を貫くことの大切さを、ちょっぴり笑いに変えて描いています。読んだあなたも、かつての自分の“イタい”けど愛おしい瞬間を思い出してもらえたら嬉しいです。
