【登場人物】


  • アカネ:通勤中の会社員。ちょっと芝居がかった内面を持つ。
  • オジマさん:隣に座ったおじさん。元・町の劇団のエース。
  • 車内アナウンスの声:妙にタイミングが良い。



【場面:朝の満員電車。やや揺れ気味】


(アカネ、つり革につかまりながらウトウト…)


(隣に座る中年男性がふと顔を上げ、急に話しかける)


オジマさん「…あなた、もしかして“リンダ”じゃないか…?」


アカネ「……え?」


オジマさん「やっぱり…あのとき逃げたリンダだ…!俺を捨てて、あの丘を越えた!」


アカネ(無意識に乗ってしまう)

「違うわ!あれは丘じゃない、“社宅の駐車場”だったわ!」


オジマさん(目を見開き)「やはり…あなたの声だ!あの時と同じ、凍てつくようなツッコミ!」




【場面②:まさかの“即興芝居”が加速】


(周囲の乗客がザワつく中)


アカネ「あなたのせいで、私はレバーしか食べられない体になったのよ!!」


オジマさん「くっ…やはり俺の“鉄板すき焼き術”が裏目に出たか…!」


(車内アナウンス)


「次は〜、終点“ドラマチック前”〜、ドラマチック前〜♪」


アカネ「このアナウンスまで…乗ってる!?!?」




【場面③:車内の乗客も徐々に巻き込まれる】


(サラリーマンが突然立ち上がる)


サラリーマン「待て、リンダ!俺の立場はどうなる!!?」


アカネ「誰!?!?」


(女子高生が涙ぐみながら)


女子高生「リンダさん…私の母もレバーしか食べられないんです…!」


オジマさん「なぜこんなにも運命は、レバーを憎むのか…!」




【場面④:終点に到着】


(ドアが開く)


(全員、何事もなかったかのように降りる)


アカネ(独り言)「なにこの“全力朝ドラ”、毎朝やってるの?」


(するとオジマさんが振り返って)


オジマさん「また明日、第二幕で会おう。リンダ」


(アカネ、満員電車に吸い込まれるように乗っていく…)


(暗転:♪朝ドラ風BGM)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

通勤電車って、基本“無言の空間”だけど――

時々あるんです、セリフが生まれる瞬間。

そこにいた誰もが“乗客”であり、“役者”だった…。