【登場人物】
- 丸山先輩(まるやま):元京セラ社員、今はOB。ちょっとお節介な熱い男
- 大地(だいち):元後輩。今はシンガーソングライター。情熱は本物
- ライブ客:数名のみ。でもみんな濃い
【場面:小さなライブハウス・週末の夜】
(丸山、チラシを握りしめてライブ会場に入る)
丸山:「本当にやってたんだな、大地…“京セラやめて歌の道へ”なんて言った時は、正直“研修中に寝てたくせに”って思ったけど…」
(ステージでは、大地がギターを片手にスタンバイ)
大地:「ども〜!元・営業三課の大地です!今夜はみんなに“売上じゃなくて気持ち”を届けにきました!」
(客席に、当時の営業用トートバッグ持ってるおじさんも見える)
丸山(小声で):「あれ…課長じゃないか…?」
【場面:ライブスタート】
大地:「1曲目いきます!
“売れなかったけど、熱意だけは社内一”って言われた僕の代表曲、
《FAXに花びらを》!!」
(ギターの音が鳴るが、やたらと昭和のムード)
大地(歌う):「ピーヒョロロロ〜、送信中〜♪ 君の心も読み取り中〜♪」
丸山:「……これは……方向性が……なんだ……?」
(客のひとりが拍手しながら泣いている)
客:「FAXで告白したあの夏が蘇った…!!」
【場面:ライブ終了後・物販コーナー】
丸山:「おい、大地…本気でやってたんだな」
大地:「はい。京セラの社是と“営業魂”は全部歌詞にぶち込みました。…でもCD、まだ1枚も売れてません」
丸山:「……しょうがねぇな」
(丸山、財布から1万円出す)
丸山:「10枚くれ。“来週の同期会”、お前のCDでBGM流すわ」
大地(感動して):「先輩……やっぱり、退職しても営業ですね……!」
丸山:「あったり前だ。お前の歌も“心に刺さる営業資料”になってるよ」
【ラスト:】
(丸山がCD袋を抱えて去っていく)
大地(小声で):「…でも中身、全部CD-Rなんですよね」
客の声(遠くから):「おい、ラベル手書きかよ!!」
