「介護福祉士」は国家資格です。
国家資格は国家試験に合格して初めて貰えるものだと思っていました。
しかし、その資格者の人材が少ない場合、国家の権力で与えることができるのですね。
簡単に言いますと「介護の専門学校で2年学ぶと、卒業後5年間は介護福祉士資格とみなされる」のです。
皆さんご存じでしたか?
そのいきさつをみてみましょう。

2020年1月20日、厚生労働省は自民党労政労働部会の中で、2022年度から完全義務化(つまり必ず受験し合格しないと介護福祉士の資格をあげませんということ)をすると発表していた介護福祉士の国家試験について、経過措置を延長すること(つまり今のままにしますということ)を決定しました。

今回の経過措置の5年間延長(2026年度卒業生まで)は、養成校に通う外国人留学生が急増したことを考慮したものです。現状では留学生にとって国試のハードルは非常に高いので、このまま義務化を断行すれば、多くの貴重な人材を母国へ帰したり養成校の経営が大打撃を受けたりする結果を招くとして、関係団体などから再考を求める声があがっていました。

介護福祉士の質を向上させることを目的として2017年に打ち出され、「養成校の卒業後5年間は介護福祉士資格とみなされる」という経過措置が認められていました。

この経過措置は、2022年度に撤廃され、試験が義務付けられるようになる予定でしたが、試験の義務化により資格取得が難しくなると、現在増えつつある介護関係の外国人留学生にとって悪影響という意見が続出したらしいです。

今回の決定に至ったのは、国家試験の義務化が人材確保の足かせとなりうるためと考えられています。

今回のコロナ禍により、技能実習生が帰国できなくなり、仕方なく在留資格変更することとなったケースもあります。

今回、「資格」というものは四角四面で運用されるものではないことを知りました。

日本介護福祉士会の石本会長は、経過措置期間の延長だけでは抜本的な解決にならないとしたうえで、「資格に本質的な価値を位置付けなければ、新たな介護人材の確保も介護人材の定着も図れない」と声明を発表しました。

人材の確保の必要性とともに、質の向上もまた必要であるという意見が多く出ています。