藤巻君の家についたのはもう夕方にだいぶ近かったのではなかろうか、時計も持ってはいなかったし、時間の感覚もなかった。不思議とお腹も減ってはいないし、また、食べたいという気もおこらなかった。幸いに藤巻家は全員無事だった。娘の春名ちゃんの上に箪笥が倒れてきて、その下敷きになったらしいが、泣くことさえもなかったらしい。
安否を確認して藤巻君とは別れた。
御影のマンションに帰る途中で知人の家により何件かその安否を確認した。皆さんそれぞれの立場で悲しみを実感していた。
ある人は貴重な文化遺産ともいうべき食器類がすべて割れてしまったことに悲しみをあらわしていた。
またある人は、大切なペットが亡くなってしまったことに悲しみを感じていた。
人それぞれがいろいろな立場や状況で悲しみを感じていたのだ。
ようやく、暗くなりかけていたので大急ぎで、マンションにもどった。今夜は電気のない生活を覚悟していたからだ。妻の道代が家のなかを片付けていたがとてもすぐに片付くような感じではなかった。
隣の和田さんの部屋の壁が崩れ落ちそうなものを見せて貰いまたぞっとした。和田さんが「このマンションはもう危ない。皆さん近所の御影北小学校に避難をしているので、丸山さんもすぐ移動したほうがいいよ」といってくれた。
道代とふたりで最低限の荷物を爆発したような部屋から取り出そうとしたとき、高見事務所の同僚の高橋君が家まで来てくれた。
「高見代議士の家へ行ってきたのだが、代議士は一人で車を運転して、神戸市役所にいったらしい。こんな状況のなかでたいへん危険だ」と叫んでいました。「よし、それではわれわれも、支度ができたら神戸市役所に行こう」ということになり、携帯電話ほか必要なものを探し出し荷造りした。しかし、私の手帳やアドレスブックは探し出すには時間がなかった。
(つづく)
安否を確認して藤巻君とは別れた。
御影のマンションに帰る途中で知人の家により何件かその安否を確認した。皆さんそれぞれの立場で悲しみを実感していた。
ある人は貴重な文化遺産ともいうべき食器類がすべて割れてしまったことに悲しみをあらわしていた。
またある人は、大切なペットが亡くなってしまったことに悲しみを感じていた。
人それぞれがいろいろな立場や状況で悲しみを感じていたのだ。
ようやく、暗くなりかけていたので大急ぎで、マンションにもどった。今夜は電気のない生活を覚悟していたからだ。妻の道代が家のなかを片付けていたがとてもすぐに片付くような感じではなかった。
隣の和田さんの部屋の壁が崩れ落ちそうなものを見せて貰いまたぞっとした。和田さんが「このマンションはもう危ない。皆さん近所の御影北小学校に避難をしているので、丸山さんもすぐ移動したほうがいいよ」といってくれた。
道代とふたりで最低限の荷物を爆発したような部屋から取り出そうとしたとき、高見事務所の同僚の高橋君が家まで来てくれた。
「高見代議士の家へ行ってきたのだが、代議士は一人で車を運転して、神戸市役所にいったらしい。こんな状況のなかでたいへん危険だ」と叫んでいました。「よし、それではわれわれも、支度ができたら神戸市役所に行こう」ということになり、携帯電話ほか必要なものを探し出し荷造りした。しかし、私の手帳やアドレスブックは探し出すには時間がなかった。
(つづく)