徐々に夜があけてきた。さあもう動けると思い寝床から出て部屋を見渡した。
予想通り、すべての家具が倒れて、食器類も粉々だ。冷蔵庫も本棚もすべて倒れていた。自分たちの寝室に大きな家具がなかったのが救いだった。
再びベランダへ行き、外の景色を見た。

思わず息を飲んだ。
JRの高架が落ちている。
JR住吉駅の方向から煙が上がっている。
回りの家々が爆弾でも落とされたかのようにくずれている。
マンションの前の家の石垣がすべて崩れ道路をふさいでいる。
山手幹線の道路が地割れでぱっくりと口を開いている。
人々が着の身着のままで外に出ている。
想像以上の出来事が起こっていたのだ。
「これはえらいことになった」という気持ちだけが一杯で今、何をすべきなのかわからなかった。
しばらくするとマンションのドアをたたく音がした。
高見代議士の弟のしんじ君がいた。
「危ないから、早く避難して」と彼は叫んでいる。

私は「ありがとう」「代議士やお母さんは無事か?」と尋ねた。
しんじ君は「みんな無事だ。自分たちはこれから灘の避難所に行くので、丸山君たちも早く避難して」といってくれた。
そうこうしているうちに回りがガスくさくなってきた。
これは本当にやばいと思って妻、道代と一緒にマンションを降りた。
(つづく)