今年はコロナ騒動で変則だが、ようやく甲子園で高校野球が始まった。
ここ2~3年異様な甲子園人気で人が多くて行かなかったけど、
それまでは毎年、春夏関わらず神戸方面に釣りに行った帰り、第3~4試合に空いていたら何処のチームが対戦しているかも知らずに、スタンドに入りビールを飲みながら観戦するのが好きでよく観戦していた。
(熱すぎて誰もいない近所のグラウンド)
いつも空いているときに入場するので必ず強豪校でないチームを見ている。
高校野球の甲子園で一番楽しいのはアルプススタンドである。
各校の応援団やチヤリーダー、そして最近の美爆音等で話題のブラスバンド等、
端から観ていて野球以外でもいろんなドラマがあって楽しい。
そんな面白い高校野球のしかも甲子園でない地方予選の出来事を切り取ってドラマチックに描かれた主題の「スローカーブをもう一球」(山際淳司/角川文庫/1985)筆者のスポーツ取材する熱さに感嘆してしまった!
ランニングが嫌いで大学行くポイントを稼ぐのが目的という至って冷静な主人公の投手。
中学生の時たった3ヶ月しか野球経験ないのに野球していたからという理由で監督にされた監督。しかも就任2~3ヶ月で甲子園に行くチームに変身していく、監督がほとんど素人だと知らない対戦相手の強豪校監督は逆読みしてしまって敗戦してしまう。
その時の解説が、「野球は偶然のゲームであり、成功は往々にして偶然によってもたらされる。」というフレーズが出て来たときには何とウイットに富んだ楽しい話だと思った。
笑い話はまだ続く、福田総理に中曽根総理も輩出している伝統校であるが、全く期待されてない野球部があれよあれよという間に甲子園が決まる決勝まで行ったものだから学校あげてドタバタする。
しかしやる気が感じられ無かった主人公の投手の一瞬スイッチが入ったラストシーンは感動のエンディングである。ネタバレするのでこの話はここまでとするが彼のスイッチは一瞬だけである(笑)
この本、短編集になっており、
主題より有名な話の「江夏の21球」から無名の バッティングピッチャーの話「背番号94」、また野球だけでなく大学生になってからいきなりオリンピック目指したあるボート選手の「たった一人のオリンピック」のエンディングは今年のコロナ騒動を暗示するものである。
このノンフィクション、目の付け所でスポーツってどんなレベルでもドラマがあって楽しいことを筆者を通して痛感した。