日室嶽を遙拝し岩戸渓谷へと下る〜冬至丹後元伊勢行(7) | 日々のさまよい

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多様な崇敬を顕す内宮境内を巡る〜冬至丹後元伊勢行(6)←(承前)

 

 

 


皇大神社から山道を下って日室嶽遙拝処へと向かいます。

実はこの元伊勢行ですが、寺社を巡る行程の下調べは最低限しておきましたけれど、訪問先の詳細をほとんど予習しないまま来てしまいましたので、日室嶽がどのような神体山なのか、ほとんど知らないままでした。

そのため、遙拝処がどこにあるのか、それが〝一願さん
と呼ばれ親しまれているとか、現地で始めて分かりました(苦笑)

 

 

 


木陰の向こうから、秀麗な山が見えてきます。
失礼ながら、多分あれが神体山なんだろうなあ、くらいの曖昧な認識で進みます(苦笑)

 

 

 


石の三宝が置かれ絵馬の沢山下げられた石製の祭壇に、「日室嶽遙拜處」(※處は異字体)と刻まれています。
その下、地面上に据えられ上面の凹んだ四角い石には、「一願成就」とあります。

また、この日室嶽という名は、祭壇にそう刻まれていたのでそう書きましたれど、その他にも、日浦岳・日裏岳・日室山・岩戸山・城山、等々の様々な呼び名と表記があって定まりません。


そして、日本のピラミッドとしても、日室嶽は有名とのこと。

 

昭和六〇年代、週刊誌にて『日本一美しいピラミッド』と紹介されて以来、岩戸山は超古代史ファンを中心に注目を集めるようになり、地元大江町が発行している観光マップには、 ピラミッドと記載されています。

凡海郷/皇大神社~古神道の聖地~

しかしながら、この日室嶽は地図で見る限り、残念ながら円錐形ではありません。
地図上で一般的に城山(じょうさん)と表記されていますので、下記にてご確認ください。


Google Map/城山


↑このように城山(日室嶽)は、東西に
長くなっています。
等高線のある地図で見ると、↓こんな感じ。

国土地理院/地理院地図(電子国土Web)

 

 


頂上附近が東西に延びた尾根状態であることが分かります。

 

 

 


遙拝処から見る日室嶽は思いのほか近くに感じられ、木々の表情も細かに望むことができました。

 

 

 


この山は神体山ということで、もちろん禁足地とのことです。

また、山域の東側一帯は京都府歴史的自然環境保全地域に指定されています。
↓後ほど天岩戸神社へ向かう途中で見た案内看板。

 

 

岩戸山 京都府歴史的自然環境保全地域
指定地域は、元伊勢三社の一つ天岩戸神社の神域として古くから守られてきた府内でも数少ない原生的な森林です。
ウラジロガシ、アラカシ、あかがしなどの常緑カシ林が主体となっていますが、岩戸山頂上付近には、ブナーイヌブナ林も見られます。確認されただけでも380種もの植物が自生しており、なかには貴重な植物も含まれています。
また、岩戸渓谷には、天岩戸神社の本殿やいわれのある御座石、神楽岩などが点在し、両岸を覆う森林とともに神秘的な雰囲気をかもし出しています。
このすぐれた歴史的な自然環境をわたしたちの子孫に守り伝えていきましょう。
特別区域では、土地の形質の変更、土石の採取等の行為は許可なくできません。
野生動植物保護地区では貴重な植物の採取はできません。
昭和59年3月13日指定 京都府


この遙拝処と向こうに聳える日室嶽との間には、川の流れる岩戸渓谷が深く横たわります。

 

 

 


サチエによる記念撮影。
なぜかアングルが微妙に傾き、逆光ですが…

 

 

 


サチエも記念撮影。
この時は、普通だったんですけれど…

 

 

 


どうしてか、いきなりバンザ〜イのポーズ(泣)
UFOでも呼ぶつもりでしょうか?

 

 

 


日室嶽遙拝処から山道を下っていきます。

 

 

 


この道は、皇大神社への車道でもあるようでした。

 

 

 


冬至の太陽が木漏れ日となって届きます。
時刻は14:00ごろ。


皇大神社から下って来る坂道と、岩戸渓谷沿いに天岩戸神社を経て山向こうへと抜ける道が合流する地点に、龍燈明神の祠がありました。

けれども写真を撮っていなかったので、↓Google Mapでどうぞ。

Google Map


右上の石柵が、下って来た坂道、向こうに見えるのが
日室嶽となります。

 

 

 

 

岩戸山(いわとやま)
京都府歴史的自然環境保全地域
昭和59年3月13日指定(京都府加佐郡大江町)


天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)は大江町の元伊勢三社〔皇大神社(内宮)・豊受大神社(外宮)・天岩戸神社〕の一つで、伊勢の皇大神宮の元宮として、古くからこの地方の象徴的存在として崇敬されてきました。天岩戸神社の祭神である櫛岩窓戸命(くしいわまどのみこと)・豊岩窓戸命(とよいわまどのみこと)は門を守る岩石の神であり、岩戸渓谷の幽玄の地を天岩戸に比定し、古事記の大神の門番神を配祀していると伝えられています。
京都府


ここに書かれた岩戸山とは、日室嶽そのものというよりは、天岩戸神社周辺から日室嶽東側の保全地域一帯を指しているようです。

 

 

 


天岩戸神社への降り口。

ここから下ると、鳥居や手水、無人の社務所や小さな祠があった筈なんですけれど、それらは何も撮影していませんでしたので、↓こちらをご参照くださいませ。

私の撮った薄暗くて分かりにくい写真より、ずっと鮮明でお上手です。orz
ブンブンライダーズ ストーリー/お薦め神社/天の岩戸神社

 

 

 


岩戸渓谷が見えてきました。

 

 

 

 

岩 戸 神 社 の 記

偉大な祖神である天照大御神は速須佐之男命の乱暴な行いに耐え忍んでおられたが、とうとう我慢しきれずに天の岩戸に閉じ籠りになられた。
それで、この世の中は真暗くなってしまい、悪い事ばかりが連続して起こり収拾がつかなくなってしまったので、八百万神々は天安河原に集まられ相談された。
そこで、天の岩戸の前で長鳴鳥を鳴かせ、真榊の木に勾玉(まがたま)を飾り御神鏡をかかげ、御幣を持ち神饌物を捧げて、賑やかに歌い踊り音楽し祝詞(のりと)を申し上げた。
この時、尊い天照大御神は外の様子を不思議に思われ天の岩戸を細めに開いて見られたので、御神鏡を差し出し申した。畏い天照大御神はますます変だと思われすこし天の岩戸から出られたところを お引出し申したので、世の中は明るくなり救われたのである。
さて、この由緒ある御神鏡が神宝と信じられ、救世平和神とされている。
・・昭和四十七年九月
天 岩 戸 大 神 宮

 

 

 

 

・・

天の岩戸神社は、往昔地神の元始神天照大神籠居ましし霊地にして、
真名井ヶ原・真名井ヶ池・楽の堂・産盥・産釜・神楽石・御座石・鶏鳴岩・鱒池・鮎返りの滝等の地名旧蹟あり。殊に産盥の霊水は平常満水することなく域は減水することなく且つ腐水することかってなく此の霊水は旱魃の際其の霊水の少許を水上に注ぐ時は如何なる旱魃時と雖も神雨不思議に降り来り庶民安堵の胸を撫するにより往昔より今に至るも尚其の慣例絶へざるなり。
・・昭和四十七年九月
天 岩 戸 大 神 宮

 

 

 


境内の案内にありましたので、天岩戸神社へと進む前に、先ずこちらへと廻りました。
産釜って???
予習が足らなかったばかりに、最初は何のことか分かりません。

 

 

 


遙拝所から渓谷を覗き見ると、次の案内板のようにいくつかの甌穴が確かに見えます。
ただ、どれが産釜で産盥なのか、その区別が全くつきませんでした(泣)

 

 

 

 

岩戸山(いわとやま)
京都府歴史的自然環境保全地域
昭和59年3月13日指定(京都府加佐郡大江町)


社殿背面にある巨石は、神が座して天降った所といわれ『御座石』と名付けられています。また、御座石から岩戸渓谷をへだてた下手には『神楽石(かぐらいし)』と呼ばれる石があります。さらに約50m下流の岩場には甌穴(おうけつ:河流の侵食作用によって川底の岩盤にあいた穴)があり、この甌穴は神が湯浴みしたところとして『産盥(うぶだらい)』と呼ばれています。これを汚すと変異を現すといい伝えられており、産盥の水は旱天にも涸れることなく、この水を水面に注げば慈雨を呼ぶとされています。
京都府

 

 

 


そうしていよいよ、岩戸渓谷の川縁へと降りて行きます。



(つづく)→ 神が天降り坐す磐座の天岩戸神社〜冬至丹後元伊勢行(8)

 

 

 

 

 

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