3月の初めに、新しいお家に引っ越しました。

つくばからさらに車で30分ほど。

筑波山山麓。

まだ茅葺き屋根が建ち並び、
そこで普通の暮らしの営みが在る地帯に、

我が家は在ります。




「なんでまたそんな所に?」なんて聞かれることもありまして、
そう聞かれるときちんとした理由を申し上げなくてはいけないようで、
ちょっぴり恐縮してしまいますが(笑)



私がこのお家に住んでみたいと思った理由。

ずばりそれは...







縁側!







このお家の大家さんに紹介して頂き、中に入った瞬間、目の前に広がった、

この縁側。







私は縁側が大好きなのです。



ベランダでも、テラスでもなく、
縁側がいい。









幼き頃の、私の遊び場と言えば母方の実家の庭、
そして縁側。



四季折々の畑でとれた野菜が並び、

干し椎茸
切り干し大根
アジの干物

いろんな乾物が生まれて行く、縁側の光景。


大好きなだだ茶豆が並ぶと、それが食卓に出るのは今か今かと待ちわびていました。


縁側にそって植えてある梅の木。
綺麗な花を咲かせた季節を終え、実がなるとそれもまたベランダに並びます。


その行く末は、お口の中がすっぱくなるあの美味しい紅色。




縁側の先にある奥の部屋は画家であった祖父の部屋。
だから縁側のすみっこにも絵の具が練りからしがお皿に乗る様に、

チョン
チョンと
くっ付いていた。




そんな縁側は私の大事な遊び場...というより仕事場でした。


植物のこと、雲の様子、鳥のことを絵に残し(お絵かきしていたというより記録として残していた感覚)
図鑑片手に、今日描いた植物のことをジャポニカ学習帳にまた描いて、

祖父のこぼれた絵の具の色は今日は何色かとまた調べ...


私の一日はこうしてあっという間に過ぎて行ったのでした。







大家さんにどうぞ、と中に入れて頂いた時。



わたしの縁側ストーリーがワラワラと湧いて来て、
人様のお宅なのに、なんだか自分の古巣に戻って来たような不思議な感覚を覚えました。



もう母の実家は、マンションになってしまって、当時の縁側の面影はありませんが、
「ちょっと休みしな(休みながら)頑張りや?」と、
祖父母が案内してくれたようでちょっと嬉しい。



そんな昨日3月28日は、母方の祖父の命日であり、お誕生日でした。




「ただいま」

日だまりの縁側に呟いてみた。