2023年10月27日に、European Rail Timetable(ヨーロッパ鉄道時刻表、以下ERTと略)のNovember 2023 Digital Editionがリリースされました。その中のNEWSLINESページの掲載情報から、毎週配信されているFRIDAYFLYERと重複しない情報をまとめます。

 

11月号は、2023年ダイヤの終了日である12月9日まで有効。【冬ダイヤの先出し情報】として、12月10日から有効の国際列車情報も掲載。

 

 

【国際列車】

2023年10月1日から、高速列車タリスの名称がユーロスターに改名されたためERT紙面も更新、同時にタリスの名称が消えました。

 

 

【フランス】

先月報告の同様に、2023年8月下旬に発生した大規模な地滑りのため、サン・ミッシェル・ヴァロワール〜モダーヌ間が現在も運休中です。当初は11月上旬までに再開できる見込みだったが、10月末現在ではさらに数ヶ月間運休が続く見込み。

 

 

【スペイン】

  • マドリッド〜アルヘシラス間の直通インターシティは、アンテケーラ〜サンタアナ〜アルヘシラス間の軌道工事完了にともない、10月17日より運転再開。また、セビーリャ〜マラガ間の中距離列車(MD)には、大きな変更が生じ、Table 673にはそれを反映しています。

 

  • ポルトガルのエントロンカメント発バダホス行の朝の地域間列車の出発時刻が19分繰り上げたダイヤとなるため、リスボンからの旅客者は、従来より早い列車に乗車、乗り換える必要があります(Table 46、677、691)。

 

  • スペインの高速列車オペレータOuigo(ウィゴー)は、2023年12月10日からマドリッド〜バレンシア間で2往復、マドリッド〜アリカンテ間で1往復を追加運行します(Table 668)。
 
  • スペイン鉄道RENFE(レンフェ)は、レオン〜ヒホン間で建設中だった全長24キロのパハレスベーストンネルの開業が11月30日になると発表しました(Table 685)。この日以降、マドリッド〜ヒホン間の所要時間は最大46分短縮されます。12月号(冬号)では、全面的に変更されたダイヤを掲載する予定です。

※後日、編集部より下線部は、所要時間は最大70分短縮されます。と修正すると発表がありました。

 

 

【ドイツ】

  • ベルリン〜ドレスデン間の路線改良工事は11月10日に完了し、翌日11日から通常ダイヤに戻る予定です。

 

  • ハルツ狭軌鉄道(Table 867)は冬ダイヤを掲載しているものの、ほとんどの区間が11月中の工事の影響で運休となり(ヴェルニゲローデ〜ブロッケン間とノルトハウゼン〜イルフェルト間のみ運行)、掲載したダイヤは12月1日から有効となります。また、クェドリンブルク〜ノルトハウゼン間の運行は12月前半に変更される可能性があります。

 

 

【ポーランド】

Table 1055の紙面変更。紙面内にザモシチ(Zamość)が追加され、ワルシャワ、ルブリンへの直通便がよりわかりやすい紙面に変更されています。

 

 

【冬ダイヤの先出し情報】

今月新規に追加されたのは以下の情報(一部10月号の補完も含む)

  • Table 13: バルセロナ発パリ行のTGVが1日2便、1時間繰り上げて運行されます
  • Table 22: アムステルダム〜ベルリン間のインターシティが全面的に変更され、所要時間が約30分短縮される。これは、国境駅バート・ベントハイム(Bad Bentheim)での機関車交換がなくなることで停車時間の大幅短縮と、ドイツ内の途中停車駅が減った結果です。
  • Table 55: ケルン、フランクフルト経由のブリュッセル〜ベルリン間(NJ 425/424)と、フォルバッハ経由のパリ〜ベルリン間(NJ 40469/40424)の2本の新しいナイトジェットが運行開始されます。改正後しばらくは週3日運行されるが、2024年10月1日からは毎日運行予定。
  • Table 58: ベルリン〜ヴロツワフ間のKulturzug/Pociag do Kulturyは、冬ダイヤでの廃止が危ぶまれていましたが、新聞報道によると運行継続される模様。将来的にはワルシャワへの運転案もあります。
  • Table 64: ウィーン〜ハンブルク間にパッサウ、ニュルンベルク、ベルリンを経由するICE列車が1往復増発されます。
  • Table 70: ベルリン~フランクフルト~シュトゥットガルト~ミュンヘンの各方面へのICEの一部列車が、クーフシュタイン経由でインスブルックまで運行区間延長し毎日運行されます。1211列車はミュンヘン発21:34→インスブルック着23:18。逆方向の1218列車は、インスブルック発8:40→ミュンヘン着10:29で引き続きドイツ国内の運行が続きます。また、2024年4月8日以降、ドイツ・イタリア間のユーロシティ3組(EC 87/86、89/88、287/286)はレイルジェットとなり、残りの4組も10月1日以降、同様にクラス変更されます(ユーロシティとしては廃止)。
  • Table 75:ミュンヘン〜チューリッヒ間(EC 195/194)に特定日のみ運転される列車が設定されます。
  • Table 77: ベルリン〜クラクフ間にインターシティ(IC 55/54:ODRA号)が新設されます。
  • Table 78: ブリュッセルとベルリン中央駅を結ぶ週3回運転のヨーロピアン・スリーパー(ES 453/452)は、2023年12月10日よりベルリン東駅にも延長し乗り入れます。2024年1月8日から3月24日までは週2回に一時的に減便、その後週3回に復便します。
  • Table 82: 列車EC 150(EC 52から改番) ミラノ→フランクフルト間は、ブリーク経由のレッチュベルクルートを使用せず、ゴッタルドベーストンネル経由(ただし、ゴッタルドベーストンネルの旅客サービス一時閉鎖に伴い、この変更日は延期可能性あり)。なお、おなじ列車南行EC 151 フランクフルト→ミラノ便は、すでにゴッタルド経由で運行されていますが、チューリッヒへのルート変更も予定されています。

 

 

参考:以下は、10月号で紹介していた情報)

  • Table 22:アムステルダム〜ベルリン間のインターシティのダイヤが変更されます。
  • Table 60:ナイトジェット NJ 457/456 ベルリン〜グラーツ線(ナイトジェット NJ 40457/40476 ベルリン〜ブダペスト経由便を含む)は、従来のヴロツワフ、ボフミーン経由から、ドレスデン、プラハ経由に変更されます。
  • Table 61: ウィーン - ティミショアラ間に昼行ユーロシティ(EC 121/120)が新設されます。
  • Table 65: EN 347/346 ダチア号 ウィーン - ブダペスト - ブクレシュティ間について、ウィーン - ブダペスト間の運行ダイヤ変更、その空いた時間に別のユーロシティが新設されます。
  • Table  66: オーストリア国鉄は、ブダペスト - ニュルンベルク間をウィーン、パッサウを経由するユーロシティの新設を提案しています。
  • Table 70: ミュンヘンとインスブルックを結ぶICEが片道2本増発されます。
  • Table 75:EC 195/194 ミュンヘン〜チューリッヒ間が毎日運行されます。
  • Table 82:EC 150(EC 52から列車番号変更)ミラノ→フランクフルトは、ブリーク経由のレッチュベルクルートではなく、ゴッタルドベーストンネル経由に変更予定(ただし、前述の通り旅客サービス一時閉鎖に伴い、この変更は延期される可能性があります)。なお、同じユーロシティの南行(EC 151)フランクフルト→ミラノはすでにゴッタルドルートで運行されており、変更は発生しません。
  • Table 99:ミュンヘン〜ウィーン〜クラクフ〜ワルシャワ間に夜間のEN 407/406の新設にあわせてクラクフ〜ウィーン間の日中にEC 103/102も新たに導入されます。ただし、グラーツ〜ワルシャワ間の直通車両は廃止されます。

 

今回は以上です。

 

ERTのTable 番号と突合する形で景勝ルートを紹介している鉄道旅行者向けガイドブックです。全文英語ではありますが、表現は平易なので安心して使えます。かつての地球の歩き方のヨーロッパ鉄道の旅シリーズが乗り方中心の構成でしたが、こちらは沿線紹介が中心の構成なので、現地の観光ガイドとしても有効です。

 

★ERTの11月号(デジタル版)が発行されました★

 

購入の方法などは、こちらから御覧になれます(アフィリエイトサイトではありません)。

 

過去のERT NewsLines、The Friday Flyerのまとめサイトはこちら 

 

参考文献 European Rail Timetable November 2023(Digital Edition)