1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、67回目は、フランツ・シューベルトを取り上げます。

EC Franz Schubert

 

(この写真が参考文献に掲載されているわけではありません)

 

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

フランツ・ペーター・シューベルト(1797~1828)オーストリアの作曲家

 

1983年5月23日から、新型のインターシティ IC 464/465が、アールベルク線経由のウィーン〜バーゼル間の便を充実させた。フランツ・シューベルト号は旧インターシティ トランザルピン号の2時間遅れで運行されるが、所要時間は以前とほぼ同じだ。1987年夏ダイヤから、フランツ・シューベルト号はEC 64/65としてユーロシティに格上げされた。西へ向かうEC64は、EC 63 トランザルピン号の2時間後、11:00にウィーン西駅を出発。ザンクト・ペルテン、リンツ中央駅、ヴェルス中央駅、アットナング・プッフハイム、ザルツブルク中央駅を経由し、そこから「ドイチェス・エック(回廊列車となる区間を指すと推察)」、クーフシュタイン、ヴェルグル、インスブルック中央駅、エッツタール、ランデック、ザンクト・アントン・アム・アールベルクを(無停車で)通過する。全長10.25kmのアールベルクトンネルを通過した後、ランゲン・アム・アールベルク、ブルーデンツ、フェルトキルヒを経由する。列車はリヒテンシュタイン公国を通過し、その後SBB線路の旅を続ける: さらにブッフス、ザルガンス、チューリッヒ中央駅(20:26着、20:37発)、アーラウに停車、目的地のバーゼルSBB着21:33。

 

対向列車であるEC 65は、バーゼルSBB駅発10:27(したがって、復路でもトランザルピン号発車から2時間後)、ウィーン西駅着21:00。両方向のフランツ・シューベルト号は、885キロの距離を10時間33分で走り、表定速度84km/hに達する。

 

フランツ・シューベルト号トランザルピン号と同様、ÖBBのオレンジ色のエアコン付客車UIC-Z1のみで構成されており、中にはいわゆるユーロフィーマ客車もある。牽引機はウィーン〜ブッフス間はÖBB-1044型電気機関車が、ブッフス〜チューリッヒ間およびチューリッヒ〜バーゼル間はSBB-Re 4/4 II型電気機関車だった。列車重量の関係で、フランツ・シューベルト号はブルーデンツ〜ランデック間でÖBB補機となる機関車を伴うことが多く、古参1020型電気機関車も使用されていた。

 

1991年6月2日に1991/92年ダイヤが施行され、同時に「NAT 91」として知られるコンセプト「新オーストロタクト」が導入された際、他の多くのユーロシティと同様に、フランツ・シューベルト号も列車番号を変更した。EC 164として知られるこの列車は、ウィーン西駅発13:35で、新たな終点チューリッヒ中央駅着22:26(反対方向:EC 165チューリッヒ発7:20→ウィーン西駅着16:30)。これまでのヴェルスとアットナング・プッフハイムは通過するようになった。所要時間は両方向とも8時間51分と9時間10分と大きく異なり、これはもちろん表定速度(それぞれ90km/hと87km/h)にも反映されている。ÖBBの供給する編成は、オレンジのユーロフィーマデザインから、1987年に導入されたグレー/ブラッドオレンジ配色客車となっていった。1993年5月23日からは、EC 165の始発時刻が15分繰り上げられたが(チューリッヒ中央駅発7:35)、対向列車のEC 164の始発発車時刻は変わらず。しかし、1995年(1994年の誤りではないかと推察)5月29日以降、ユーロシティ フランツ・シューベルト号は運行終了。この列車は、インスブルック〜チューリッヒ間の急行列車 364/365列車に置き換えられた。ユーロシティの歴史をさらに続けると、フランツ・シューベルト号の名前は2008年12月14日から2014年12月14日まで、EC 72/73としてウィーン〜プラハ間での運行として復活した。しかし、それは別項で...。(VagonWebのアーカイブ情報からEC74/75ではないかと推察

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1988年夏ダイヤ 

1等・2等コンパートメント車、食堂車、途中増解結なし。オーストリアの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)