今回は、1988年から1991年の3年間運転された、高崎線快速タウン号と、東北本線快速スイフト号をフォーカスします。

 

※写真はイメージです。当時はグリーン車は編成にありません。

 

 

  民営化初のダイヤ改正で誕生

 

快速タウン号、快速スイフト号の歴史と当時の運行概要について。
1988年3月13日 ダイヤ改正で登場
1991年3月16日 通勤快速に改称されて、発展的消滅

1987年4月1日、国鉄民営化を果たしたわけですが、首都圏から放射状に伸びる幹線(常磐線、東北本線、高崎線、東海道本線など)には中距離電車が運行されていたものの、速達性の高い列車が特急以外に運行されていない状態でした。

民営化後初のダイヤ改正で、各線に先駆けて高崎線、東北本線(上野口)に名称付きの快速列車が設定されます。その中で今回取り上げるのが、快速タウン号(高崎線)、快速スイフト号(東北本線)です。
 
こちらが1988年3月号での高崎線。快速タウン号が確認できます。

交通公社の時刻表 1988年3月号より
 
 
そして、こちらが東北本線です。快速スイフト号が確認できますし、このタイミングで快速ラビット号も誕生しています。
交通公社の時刻表 1988年3月号より
 
 
当時の快速の種類と本数について、上野駅発車時刻ベースでまとめてみました。
1988年3月時点では快速は夕方のタウン号以外には設定されていませんでした。東北本線では快速は日中にラビット号、夕方にスイフト号がそれぞれ設定されていました。
※快速列車の上野駅発車時刻 1988年3月号より
 
 
その1年後の1989年3月ダイヤ改正では、高崎線、東北本線の快速運転本数は増発され、あわせて、高崎線の日中の快速列車にはアーバン号の名称がつけられました。
※快速列車の上野駅発車時刻 1989年3月号より
 
 

  時間帯で停車駅が変わる快速列車のスタイルが確立

 

1989年3月時刻表を元に作成した高崎線、東北本線の快速列車の停車駅一覧です。ご覧の通り、名称によって停車駅が異なっており、これは日中と夕方で停車駅を意図的に変えることで、利便性向上を図っていたことがわかります。
 
 

  「通勤快速」に改称されて、発展的消滅へ

 

そして、1991年3月のダイヤ改正をもって、快速タウン号、快速スイフト号の名称は通勤快速に改称されています。正直なところ、わかりづらさが理由ではないかと推察しますが、やむをえない対応だったのだと思います。
 
 
東北本線の通勤快速。ちなみに、上野〜黒磯間に「宇都宮線」という名称がついたのは通勤快速誕生の1年前となる1990年3月でした。
 
 
そして、通勤快速誕生後の上野駅発快速列車の一覧です。日中の高崎線快速アーバン号、宇都宮線ラビット号のパターンダイヤと、17時を境に通勤快速が運行されるダイヤが完成しています。
※快速列車の上野駅発車時刻 1991年3月号より
 
 

 

  そして、今では通勤快速も消滅へ。

 

快速タウン号、スイフト号の後釜となった通勤快速も、2021年3月のダイヤ改正をもって消滅しましたね。
JTB時刻表 2021年3月号より
 

今回は以上となります。

 

過去のシリーズをまとめたページがあります。よろしかったらバックナンバーもご覧ください。

 

参考資料:交通公社の時刻表 1988年3月号、JTB時刻表1989年3月号、1991年3月号、2021年3月号、日本鉄道旅行歴史地図帳 3号 関東

 

参考サイト:国鉄211系電車、宇都宮線、高崎線(ともにWikipedia)

本文内写真、カバー写真: Rabbit Rapid, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons