語学の天才まで1億光年 | 女子校生の親日記

女子校生の親日記

2019年と2022年に中学受験を終えた中高生の母です。ふたりとも都内の女子校に通っています。

 

語学の天才まで1億光年 [ 高野 秀行 ]

年末を待たずに読了。

 

まずね、高野さん、早大学院出身、大学で探検部に所属。

(入りたかったんだ…私もそこに…)

 

コンゴに遠征して幻の怪獣ムベンベを探しにいくたびにフランス語を習うとか。

同行者を出し抜きたくてリンガラ語を習得すべくコンゴ人を探し回るとか。

 

あるときは、冒険に出るために必要な魔法として。

あるときは、その他大勢の中でアイデンティティを繋ぎとめる手段として。

あるときは、ウケて仲良くなって取材するために、青年は様々な言語を学ぶのですが、行き当たりばったりに芽生える野心にことごとく裏切られ(他人から見るとそんなことないんだけど、ご本人は納得できていない様子)、言葉の世界を放浪し続けることになるんですね~。


そんな彼の「言語を味わいながら学ぶ様子」がひたすら面白く、順調に読み終わりました。

 

「言語はノリ」「スペイン語は言語界の平安京」「どの民族か?の代わりにどの言語を話すのか?と聞くと答えてくれる」「ブリコラージュとエンジニアリング」など誰がどこから読んでも興味をそそられる内容だと思います。


高野さんは現在56歳(この本は今年9月出版)、エピローグでは40代半ばの言語学習についても書かれており、表紙のとおり、果てのない言語の宇宙の広がりに目がくらみました。

 

最後に、これはうちの若者にも読ませたいなぁと思った部分。

 

学校の英語では、何と言えばいいかわからなければ失格である。授業では恥をかき、テストでは点を落とす。でも、肝心の本番では相手が答えを教えてくれるのだ。

(中略)

コミュニケーションは協働作業なのである。自分一人で会話するということはない。必ず相手がおり、その相手はたいていの場合、コミュニケーションを成立させるためにこちらに協力してくれる。

・誰でもいいからネイティヴに習う

・使う表現から覚える(目的に特化した学習)

・実際に現地で使ってウケる(現地にいるとき即興で習うことも多々あり)

・目的を果たすと、学習を終え、速やかに忘れる(ひじょうに残念であるが)

 

彼はこの「ありあわせの」言語獲得をブリコラージュ学習法と仮に呼んでいますが、なんだろうね、現地で「なまってて聞き取れない💦」「複数形忘れた💦」などと慌てず、その時、その場で交わされる言葉の尊さを信じて飛び込んでみたらいいんだろうなと思いました。