エビスビールの話 | まると良子の生活

エビスビールの話

沖縄がとても好きで、結婚してからは年に1度は訪れています

海沿いの景色を見ながら音楽をかけてドライブをしていると

嫌なことがぜんぶボーーンっと空に吸い込まれていくような感覚になります

去年のお話

夜、ご飯を食べて

ホテルまで歩いて戻っていた帰り道

道路の真ん中に、小さな小さな仔猫の亡骸が横たわっていました

車通りもかなり多い道だったので

もう、反射的にその子を抱えに走っていました

手の中にやってきた小さな子は、やっぱりもう息はしていなくて

二人でわんわん泣いてしまいました

泣きながら、この子をどうしようかとオロオロしていると

お家の外でタバコを吸っていたお兄さんが

『どうしたのー?』と声をかけてくれました

お兄さんに事情を説明すると

自分の家のお庭に、埋葬してあげても良いよと言ってくれました

わたしには、彼の声は世界で1番優しい声に思えました

手でお庭の土を掘っていると

『コレ使ってー』と

スコップを持ってきてくれ

それでも土はかなり硬く、あまり掘り進めず苦心していると

『コレも使ってー』と

今度は植木鉢いっぱいに入った柔らかい土を持ってきてくれました

2人でなんとか埋葬を終えて

お兄さんにお礼を言おうと戻ると

『コレ飲んで辛いこと忘れちゃいなねー』と

キンキンに冷えたエビスビールのロング缶を一本、手渡してくれました

もう…我慢してた涙がまた溢れて大変でした

沖縄の方特有の語尾が少し伸びる言葉が、あたかかくて、優しくて

ホテルに戻って、そのビールを2人で分けて飲みながら

また、わんわん泣きました

あれ以来

私はどうしようもなくつらい事があると

エビスビールをお家で飲みます

お兄さんの世界で1番優しい声が

私を助ける魔法の言葉になりました

エビスビールをのむたびに

きっと一生

あのお兄さんと、猫さんのことを思い出すのだと思うのです

どうしようもなく辛い気持ちは

どうしようもなく温かい気持ちと共に

私の中で忘れられない記憶になりました

お墓参りする為だって言い訳しながら

これからも沖縄通うんだぁ🌞

なんだか不安でしんどい毎日ですが

振り返ったときに

でも、こんなステキな事もあったよねって

そんな風に思い出せるよう

楽しく優しく暮らせますように✨