ここ数年,年末には若手の物理教員向けの実験講座に出させてもらっています。講師は5名,昔からの長い付き合いのある人たちばかりです。数年前にはデジタルテスターを二台ずつ使用した実験にチャレンジしてもらったのですが,事前の注意をしっかりしているにもかかわらず2台のテスターがダメになりました。テスターリードを測定端に接続したままレンジ切り替えをしてしまったのです。幸いヒューズの交換だけで治ったのですが,デジタルテスターなど使ったことがなかったようです。

 とこが最近わかったことは,多くの高校でデジタルテスターがないというのです。中学校の理科では教科書にデジタルテスターを使う実験があるため,多くの中学校にはあるのです。単に多くの理科教員がほとんど実験をしていないという実情は昔から知られていたことですが,嘆かわしい限りです。

 さらに嘆かわしいのは,とある出版社の教科書にある実験で最大値が1mA程度の実験に昔ながらの電流計が使われているのです。この電流計は半世紀以上前から基本性能が変わっておらず,最大値が5A ,500mA , 50mAの三つのレンジがあります。この50mAレンジで最大1mA程度にしかならない実験の測定が可能かどうかも「検証」していないのです。

 と言いつつ,昨年の講座ではデジタルテスターでも測定限界以下の状態でスタートするのを「故障」だと決めつけて別の実験に進まれてしまい,ちょっとみっともないところをお店することになってしまいました。で,今年は超初心者向けの実験も含めて実施しようとしています。

 で,その準備はどううかというと

 ・ LEDを使用した「レンズの実験」

 ・ LED電流-電圧特性の測定

などを行うことにしているため,「一人実験」にむけて量産することになります。昔は「手作り感満載」の実験器具ばかりでしたが,3Dプリンタが導入できたため,かなりの部分がそれなりに「見栄え」のあるものにできています。特にレンズの実験装置は生徒実験においても「一人実験」ができるよう「10台セット」,「20台セット」,「40代セット」をいくつか作り,お持ち帰りできるようにしています。

左は「10台セット」(実際は予備を入れて12台 ,右は20台セット

 「レンズの実験」

ごく小さな実験装置ですが,それでも一台印刷するのに40分程度必要になるため,6月から暇があるたびに3Dプリンタを動かしていました。

電池ホルダーも3Dプリンターで作るため,電池との接触部の取り付け,更にはLEDとのハンダ付けとかなりの手間暇がかかります。

 あと,参加者へのお土産として私のオリジナル実験器具(演示用 )である

     「えっ・・」と思わせる物理演示実験器の制作

 

や,その退屈かの実験器具を製作しています。