先月の岡山での勉強会でも関心を持ってもらえたので,また「宝物庫」からいろいろ材料を物色して作り上げました。この手の実験を生徒に見せている人は果たしてどのくらいいるのか・・・。あちこちで紹介していましたが,「こんなの初めてです」という人がほとんどでした。

・左端 コイルと電球を直列接続して交流を流します。写真ではコイルに鉄心が半分だけ入っていて,電球は明るく点灯しています。これに残りの鉄心を入れていくとさて,どうなるでしょう? という実験です。

 

・右端 「感!!電器」と名付けたもので,コイルの自己誘導と相互誘導を目と身体で感じ取る実験です。電池からコイルに電流を流しておき,スイッチを切ると自己誘導で高い起電力が発生し,コイルに並列接続しているネオンランプが光るというものです。

 

・手前 うず電流演示器 ネオジム磁石を貼り付けた円盤を回転させ,その上に翳した銅の円板に発生するうず電流を使って円板を回転させるものです。自動車のスピードメーターの仕組みと似たものになります。

 

 以下順に詳しく説明します。

 

・ 左端

 鉄心入りのコイルの鉄心を一度取り外し,鉄心の半分を入れた状態で固定しています。

この状態ではインダクタンスが小さいため,直列に繋いだ電球は点灯します。

 残りの鉄心

を少しだけ差し込むと,インダクタンスが大きくなり

「ぶーーーーん」という音と共に少し暗くなります。

さらに鉄心を押し込むと

鉄心を最後まで押し込むと

電球は光らなくなってしまいます。

当然この実験を直流の100Vで行うと電球の明るさに変化は生じません。

 

・右端 「感!!電器」は 元々は自己誘導だけでしたが,使用するコイルが単一コイルだけのもの (かつては真空管時代のチョークコイルと呼ばれる)が身近になくなり,一般の変圧器を使用するように相互誘導もできるようにしました。

使用しているトランス (変圧器 )は何かの家電品のACアダプタ (16V両波整流用のため32V)で,二次側に電池が接続されます。回路図としては

本来の二次側 (32V端子 )を一次側とし,インダクタンスが小さいのですが,電池電圧 (今回はLi-ion電池て3.7V)でもネオン管が光る85V程度の高い起電力が出せます。このネオン管を取り外し端子の両側に指で触れると敏感な人は「ピリッ」と感じ取ることができます。

 ※ 本来 この手の「感電」実験を生徒にさせてはいけませんが,極端にインダクタンスの

         大きなコイルを使わない限り危険性は低いと思います。

同様に二次側 (100V端子 )で行うと単純計算として100/32程度高い起電力でネオン管が光ります (感電もできますが結構痛いです )。

 

 

この動画ではスイッチを「弾く」ように操作しているのに気が付かれると思います。なぜなのか,考えさせるのも良いですが,生徒からはまず正解が出ないでしようね。

また,この実験器はスイッチの劣化が早いため,しばらくするとスイッチの交換が必要になるかもしれません。

 

・手前 うず電流演示器 

この実験機については以前youtube動画を作っていますので,それで代用します。

今回は100円ショップのネオジム磁石を使用しています。もっと数を増やす方が楽しいかもしれません。この実験を見てもらうと,大抵の人は磁石と銅板が接触していて回るのではないかと「疑い」ますが,接触はしていません。

また,今回のものは小型のコードレス掃除機を分解してモーターを取り出しました。AC100Vを使用しなくて良いと思います。

銅板の代わりに色々な材質で実験するとどのようなものが「回転」するのか,よくわかるようになると思います。

 

 以上,久しぶりに頑張りました。今月の岡山5分物理の例会に持って行きます。欲しい人はぜひ参加してください。