くまのプーさんの代表的フレーズ
「はちみつたべたいなぁ」
的な感じで
「お昼はとんこつラーメンでも食べたいなぁ」
ぼくは独りつぶやく
外回り仕事の僕は、昼前後の時間帯になると
腹まわりの肉の事などすっかり忘れ去り
一号線沿いにある、某ラーメンチェーン店へと向かう
のれんをくぐり
この店は先に食券を買うシステムなので
食券の自動販売機の前で
やれ、焦がしネギこってりとんこつしょうゆ だ
やれ、もやしたっぷり濃厚みそとんこつ だ
やれ、ひき肉2倍餃子 だ
やれ、マヨたっぷりチャーシュー丼 だ
太りそうなものの攻撃を機関銃のように全身に浴びながらも
それに耐え、しょうゆとんこつ普通盛り一丁のみを購入
テキトーにカウンター席に座って食券を出し、ラーメンが出てくるのを待っていると
しばらくして
ガラガラガラ…
一人のおじいさんが店に入ってきた
店員さん
「っらっしゃーい!!食券買ってくださいねー」
じいさんは、入り口すぐ横にある食券の販売機の前に立ち
なにやらモゴモゴ独り言を言っているようだ
まあ、たぶん、どれにしようか迷っているんだろう
ぴっ(販売機のボタンを押す)
ファサァッ(食券が出てくる)
ぴっ(販売機のボタンを押す)
ファサァッ(食券が出てくる)
そして、ぼくの左側のふたつ席を隔てたところに座った
食券をカウンターの上に出す
それを見に来た店員さん
………えー…っと…
しばらく動きが止まった
ぼくも気になって、横目でチラっと見てみる
おじいさんの前のカウンターには2枚の食券が置かれている
ちょっと距離があるから、何を注文したのかまでは見えない
店員さん
「ホントにコレでよろしいんですか?」
おじいさん
「ええからさっさともってこーい!!」
その一声で、相当な頑固ジジイであることが予想できる
老人の悪い部分をすべて兼ね備えた感じだ
ものの数分後
おじいさんの前には
おにぎり1つ
と
小皿に載ったコーン
のみが置かれていた
どうやら、ジジイの出した食券は
「おにぎり」とトッピング用の「コーン」だったようだ
えええっっ!?!?
穀物ばっかじゃん
ま、でも
年寄りだし、食が細くなってもうてて
コーンをおかずにおにぎり一個食べれば、もうおなかいっぱいなのかな…
すると、ジジイはモシャモシャとおにぎりを食べだした
そのおにぎりが、残り一口くらいになったとき
ジジイは叫んだ
「おおいっ!!ラーメンはまだかっっ!!」
えええっっ!?!?
店員さんは、青天の霹靂を脳天に直撃うけたみたいな顔をしてジジイのところへ行き
「はい?」
そらそーやわな
店員さん
「ラーメンも召し上がるんですか?」
ジジイ
「当たり前だろ!!ここは何屋だ!ラーメン屋だろうが!」
店員さん
「では、食券をご購入ください」
ジジイ
「ラーメンは自動的に付いてくるんじゃないのかっ!!」
んなわきゃない
ぼくは心の中でタモリのモノマネをした
そもそもおにぎり100円、トッピングのコーン100円の合計200円しか払ってないのに、ラーメンが付いてくると思うかね?
ジジイ
「だいたい、あの機械にラーメンなんかメニュー書いてなかったぞ」
たしかに
やれ、焦がしネギこってりとんこつしょうゆ だ
やれ、もやしたっぷり濃厚みそとんこつ だ
やれ、ひき肉2倍餃子 だ
やれ、マヨたっぷりチャーシュー丼 だ
「ラーメン」という単語はひとつも書いていない
これは、スターバックスで
「ホット」
とか
「アイス」
とか
「ブレンド」
とか言っても通じないのと同じパターン
ふむふむ、と多様化社会のパラドックスに一考する僕
ふと、振り返ると、いつのまにか
食券販売機の前に店員さんとジジイがいる
店員さん
「これとこれがしょうゆとんこつ'ラーメン'で、これはみそ'ラーメン'で、これとこれとこれが普通のとんこつ'ラーメン'で…」
と、どのボタンのメニューがラーメンなのかを、しきりに説明している。
この昼前のこれから忙しくなるときに、大変だなぁ…
で、最終的にジジイが下した決断が
「どれも高い!!、いらん!!」
えええっっ!?!?
結局ジジイは席に戻り、残り一口のおにぎりをペロっと食べ、味付けのされていないトッピング用のコーンをざらざらざらと口の中に流し込み、もしゃもしゃしながら無言で帰っていった。
完全に顔に縦線が入った店員さん
震える声で
「あぁりゃとぉぉやんしたぁぁぁ~~……」
きっと心の中で「二度とくるなぁぁぁ~」
って思っていたでしょう
でも、考えてみたら
登場人物、全員、被害者や
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