ウチの近所
せまいせまい道があります。
普通車の車幅とほぼ同じくらいの道幅
左右は壁と高い垣根があって
どこにも逃げ場がない
距離にして20メートルくらいだろうか
それほど長くはない
そんな道
豊橋ってせまい道が多いよね
つまり、こんな道は、
車が通っているときは人は通れない
人が通ってるときは車は通れない
ウチの近所だけに
ウチに帰るときによく通る道
今日も昼くらいに
どんどん弁当を買った僕は
家で録画したJINでも見ながら食べようかと思い
その道へと入っていくと
一人のよぼよぼの老婆が
おぼつかない足取りで
よく高齢者が歩行器代わりに使っている
車輪のついたキャリーバックみたいなものを引きずりながら
時速にして1.5キロくらいだろうか
とにかく、よぼよぼ歩いている
若者なら、
後ろから車が来たら、
よほとipodでも聞いていないかぎりは
エンジン音に気付いて、ちょっと小走りで20メートル先の民家の敷地に避けるなどするところだが
なんせ、おばあちゃんです。
今日はなかなか気温も高いです
おそらく歩くのに必死だったんでしょう
耳も遠かったのかもしれませんね
僕が後ろから車で来ていることにまったく気付いていません。
ですが、相手は戦後を生き抜いてきたヨボヨボです
クラクションなど鳴らそうものなら
びっくりして腰が抜けて入れ歯が外れて転がってしまうかもしれません
ものすごく昔
自動車教習所で習った教科書にも
老人にクラクションを鳴らすとビックリして余計に危ない
なんてことが書いてあった気がするし
よし、ココは我慢だ
たかだか20メートル
それを時速1.5キロでばあさんが歩き終えるのを待つだけ
それが過ぎればササッと右折してしまえばいいさ
そう、がまんがまん
ほんのちょっとのがまん
と、年に数回、気まぐれに出てくる僕の仏心
なんてやさしいんだろう、俺
と思いながら
その1.5km/hに合わせて
車も1.5km/hで、まるでそのばあさんを見守るかのように
「よしばあさん、もうちょっとだ、もうちょっとで交差点だ、がんばれ、がんばれ」
とココロの中でエセ応援しながら
やっと、ばあさん、なんとかそのセマイ道を抜けて
無事交差点もわたり
その後ろで僕は
ばあさんには気付かれることもなく
そーっと静かに右折をして
「じゃあな、ばあさん、気ィつけてな」
とココロの中で別れのあいさつを済ませ
右折した道を行こうとした
その瞬間
「パァパァァァーーー!!パァァァーー!!」
後ろから、けたたましいクラクションの音がっ!
「なんやねんっ!?」
と振り返る僕
そこには案の定クラクションにビックリして固まっているさっきのばあさん
そして鬼のような形相のオバはんの乗った軽自動車
どうやら、僕の後ろについてきていたオバはんの車が
僕が右折でよけた途端に
そのばあさんに向かって集中砲火を始めたらしい
「なんて心無い・・・」
そんなにブブセラのごたる鳴らさなくても
「ぷっ」
くらいでも良さそうなのに
「パァパァァァーーー!!パァァァーー!!」
もしかして、このオバはんには
同じ年頃の姑がいて
それがオーバーラップして
そんなヒドイ仕打ちをしているのか?
それともただ単に自分本位の運転が常の輩なのか
それにしても、僕の仏ゴコロは微塵に砕け散りましたね・・・
ちょっと悲しいお話でした