Bagatelle in A minor, WoO 59 -"Für Elise"
バガテル「エリーゼのために」 . 又は バガテル第25番
ピアノ:アルフレッド・ブレンデル
ベートーベン40歳の時、1810年に書いた曲です。
秘めた恋心を、そっと大切に抱き続けつつ、心の揺らめきを つい口に出してしまいそうな切なさが、密かに畳み込まれた「ラブレター」。
でも、何故かスコアは発表されず、楽譜は数人の手を渡り、1867年になってようやく出版。
(ベートーベン死後40年も封印されたラブレター!発見者はルートヴィヒ・ノールという音楽家。
発見された楽譜原本も、うやむやに紛失しています。)
この小さな曲にも大きな難問が残っています。
① こういうケースの場合、多くは曲を再発見し蘇らせた音楽家がいるものです。
例えばバッハのマタイ受難曲を再発見し、命を吹き込んだのは メンデルスゾーン、
みたいな。が、それも誰か判らない。
② では、どうして世界中の駅ピアノで楽譜なしで弾かれる程に、ものすごく浸透した
のか、勿論まったく不明です。
③ エリーゼ(Elise)って誰ヨ!という問題。
楽譜原本にドイツ語で "Für Elise"と書かれていた故の疑問なのですが、そもそも
原本が、行方不明。
記録に残るベートーベンと交友があった女性達の中には ”Elise”さんは、いません。
Youtubeの批評のなかにこんな文があります。
「このメロディは彼の教えていた生徒さんの内の一人の為に書かれました。
あまりピアノが上手とはいえない、ある生徒さんに恋心を持ってしまった彼は、
さほど難しくない曲を書いてあげようとしていました。
でも、その生徒さんが婚約されたと聞いて、彼女では弾けないように、
書き上げていた曲の残りはメチャ高難度の曲にしてしまったのです。
つまりは、誰にもこの曲は献呈されてはいない、というのです。
恋文は、隠されました。
ですが、世の中の研究者たちは飽きずに、いろんな推論の研究を続けているものです。
2010年ドイツの音楽学者クラウス·マルティン・コーピッツ氏は「ベートーヴェンがドイツ出身のソプラノ歌手のために作曲したものだ、という説を発表しました。
ウィーンの聖ステファン教会(St Stephen's Cathedral)に保管されていた記録などから判断すると、この女性はドイツ南部レーゲンスブルク出身のソプラノ歌手 エリザベート・レッケル。
1806年にベートーベンがタクトを振った歌劇『フィデリオ(Fidelio)』に出演したテノール歌手、ヨーゼフ・アウグスト・レッケルの妹、とのこと。
エリザベートは1807年、兄を頼ってウィーンに移り住み、ベートーベンとも親しくなったが、ベートーベンの友人でライバルでもある 作曲家 ヨハン・ネポムク・フンメル氏(Johann Nepomuk Hummel)と 1811年に結婚した。10代後半の彼女の美しさは有名だったらしい。
コーピッツ氏は、彼女が住んだウィーンの教会の書庫で、1814年3月9日に書かれた
彼女の第1子の洗礼記録を発見。母親の欄には「マリア・エバ・エリーゼ」とあり、当時、彼女がエリーゼと呼ばれていたことが判明した。
これが、初めてベートーヴェンの知り合いの中に、『エリーゼ』と呼ばれる女性を発見した瞬間。(やった!遂に発見か!?)
(以上、AFPBB国際ニュース https://www.afpbb.com/articles/-/2617064 でした。)
これが、確定ニュースなのかどうかはともかく、彼がラブレター(作曲原本)をしまい込んだ説明が付きますね。ベートーベンはこの楽譜を出版屋に売らなかったのですから!
恋する人に捧げようとしていたベートーベンは、彼女が、音楽仲間で作曲家としてのライバルでもあったフンメル氏を選び、婚約したと聞いてガックリ。
譜面台においていた ”Fur Elise”の楽譜を誰かに見られちまった時、「いやー、それは単なるバガテルだよ、大したものじゃない」と汗を拭きつつ言訳けをしている情景が浮かんできます。
ハハーン、わざわざ Bagatelle というメモ的種別を付けたのも、そういう訳だったのですね!
(標題についているバガテル(Bagatelle)とは、「ちょっとしたもの」という表現です。
例えば、大曲の作曲過程でこぼれ落ちた楽想や、ふとした思いつきで、暇なときに
書かれたものという謙遜の意をこめた用語なのですが、作曲家自身が捨て去るには
忍びず、スコアは完成され、残されたもの。)( By Wikipedia Japan )
週刊誌的になりましたが、お楽しみいただけました? (o^―^o)ニコ
ベートーベンを語るときに、欠かせない、「エリーゼのために」なのでした(笑)
PS: 幣ブログの大切な読者様に「フンメルノート」さんがいらっしゃいます。
エリーゼが結婚した作曲家"ヨハン・ネポムク・フンメル"氏を研究されておられます。
ブログURL :https://profile.ameba.jp/ameba/hummelnote/
クラシックサイト:http://hummelnote.doorblog.jp/
研究ノートサイト:https://hummelnote.wixsite.com/hummelnote
この記事を書きながら、ビックリしてしまいました!
音楽ご愛好の皆様、どーぞお訪ねになってみてくださいませ。