巨匠音楽家が関わった大河ドラマのテーマ・ソングのご紹介続編の続編 | EVERYBODY'S TALKIN'/噂の音楽四方山話

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60年代~70年代の洋邦楽、ジャズ、クラシックの個人的に好きな曲のみをご紹介いたします。また自分のライブハウスでの弾き語りなどの情報、その他の趣味なども。

今回は3月4日にアップしました大河ドラマのご紹介の第2弾です。(プレご紹介からだと第3弾と相成ります)


今回は1984年の作品「山河燃ゆ」からのスタート。


●1984年  山河燃ゆ   
作曲:林光 指揮:外山雄三 演奏:NHK交響楽団 
 私の最もお気に入りの作品「花神」と同じ林光氏の作曲。「花神」同様素晴らしいメロディー・ラインを持つ。このドラマそのものは、あまり見なかったが、1回聴いただけで印象に残る作品。ドラマには大御所三船敏郎沢田研二などが出演していた。尚この作品から「いのち」までの3作は近代日本の姿を描いている。


●1985年  春の波涛
 作曲:佐藤勝 指揮:尾高忠明 演奏:NHK交響楽団 
 非常に重量感あるピアノの低音で始まり、一転してコープランドあたりのアメリカ近代音楽を思わす、少し楽しげにも聴こえる旋律が印象的。個人的には「ゴジラの逆襲」の音楽を担当した佐藤氏の作品なので、好きな作品だが、「ゴジラ~」とは全く違うタイプの音楽。それもそのはず、「ゴジラ~」から丁度30年後の作品。


●1986年  いのち   

 作曲:坂田晃一 指揮:小松一彦 演奏:NHK交響楽団 まるでピアノ協奏曲の第二楽章(緩徐楽章)に配置されるような静かな美しい作品。美しさなら大河ドラマ史上でも白眉。前回のブログでも書いたが、坂田氏はポップスのジャンルでも活躍する作曲家なので、このようなメロディーは氏にとっては朝飯前なのだろう。


●1987年  独眼竜政宗  

 作曲:池辺晋一郎 指揮:岩城宏之 演奏:NHK交響楽団 

 出だしの音はなんだろうか。シンセサイザー?不思議なフォルタメントから始まる。「梵天丸はかくありたい」とう流行語まではいかずとも、かなり世間一般にしられた台詞を生み出した人気ドラマ。「やはり大河ドラマは時代劇じゃなくちゃ」という声が巷で多く聞かれた。


●1988年  武田信玄   

 作曲:山本直純 指揮:山本直純  

 演奏:NHK交響楽団 「風と雲と虹と」以来の久々の山本直純氏の自作自演作品。まさに時代劇のテーマとはかくありたい、といった感がある作品。曲中ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」などでよく聴かれる、ヴァイオリンの弓を使った風の音が聴かれる。この部分が非常に美しく演奏され、再び元の勇壮な旋律に合唱も加わり、曲が終る。


●1989年  春日局  

 作曲:坂田晃一 指揮:高関健 演奏日本合唱協会、NHK交響楽団
 少し間違えると不協和音になりそうな微妙な旋律を合唱が最初は極めて静かに、そして時が過ぎるが如く除々に大きすぎることなく盛り上がりそのまま終了するが、その終わり間際のコードが素晴らしい作品だ。


●1990年  翔ぶが如く  

 作曲:一柳慧 指揮:秋山和慶 演奏:NHK交響楽団
 やや不気味な旋律で始まりその後、打楽器を多用した部分に変わり、時代の変化、変革を描く。そして急に美しいメロディが現れる展開が見事。この作品は現在放映中の「篤姫」と同じ時代の作品でここでは篤姫役が富司純子、幾島役が樹木稀林肝付尚五郎(小松帯刀)が大橋吾郎、島津斉彬が加山雄三、そして現在その斉彬を演じている高橋秀樹がその弟、島津久光を演じているのも面白い。


●1991年  太平記   

 作曲:三枝成彰 指揮:大友直人 演奏:NHK交響楽団
 まさにこの時代の音楽のようだ。男声合唱団が曲を発展させて行き、テンポが速まり管弦楽が複雑な旋律を奏で、そして急に美しいメロディが少し顔を出し直ぐコーダとなる。ストーリーは殆ど覚えていないが、ストロング金剛やMrオクレが出演していたのが妙に印象に残る。


●1992年  信長  毛利蔵人 
 作曲:毛利蔵人 指揮:尾高忠明 演奏:NHK交響楽団、東京混声合唱団
 大河ドラマの作曲家として初登場の毛利蔵人氏は三善晃氏に師事した作曲家。「蔵人」とは勿論ペンネームだが、「クロード・ドビュッシー」の「くろうど」から付けたものといわれる。しかし毛利氏は作曲活動が円熟期の1997年惜しくも46歳の若さでこの世を去っている。この曲は主役の信長同様、劇的な効果がよく出ている曲だ。特に中盤の穏やかなメロディーが素晴らしいものがあり、途中次のような歌詞が最初は静かに合唱で、2回目は大きく久岡昇氏によって朗々と歌われる。


作詞:田向正健
「おお  闇の彼方 聞けよ
星の歩み  月のうた
見知らぬ海に 辿り着かん」


 非常に感動的な個人的にも好きな曲だ。

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●1993年  琉球の風   谷村新司ファンには申し訳ないが、省略します。

●1993年  炎立つ  
 作曲:菅野由弘 指揮:大友直人 演奏:NHK交響楽団
菅野由弘氏はクラシックのジャンルに多く作品を書き海外でもよく演奏される有名な作曲家だ。又ドラマの主題曲としてもこの「炎立つ」以外の作品もある。この曲は「始め勇壮に、中間部で緩やか、且つ美しいメロディ、そして再び冒頭に戻り終了」というまさに「大河ドラマのテーマ」手法に沿った作品。ドラマの中身は、ずっと見ていたにもかかわらず、この年は半年で作品が終了したため、端折ったのか「あれ?あれはどうなったの?」といった感じで終った印象がある。こちらの見方が悪かったのかも知れぬが。


●1994年  花の乱    

 作曲:三枝成彰  指揮:大友直人 演奏:NHK交響楽団
 「いのち」同様ピアノ協奏曲の第二楽章(緩徐楽章)のような「アリア」風の美しい曲。この美しさが「応仁の乱」を思わす激しい部分にも傾くが美しさは失わせないで終了する。ドラマの中身では野村萬齋の演技と第1次人気時代のルー大柴の怪演が印象に残った。

●1995年  八代将軍吉宗  

 作曲:池辺晋一郎 指揮:高関健 演奏:NHK交響楽団
 この曲は池辺氏の曲では「黄金の日々」と並んで好きな曲だ。タイトルバックのCG(さすが1995年!)がパソコンの発達で格段に凄いものになった。曲は終わり間際、また曲が発展するのか?と思わせやはり終了させるあたりは、ユーモアのある池辺氏ならではだ。個人的にこの頃和歌山に住んでいたこともあり、ドラマの内容も楽しめた。

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●1996年  秀吉   

 作曲:小六禮次郎  指揮:大友直人 演奏:NHK交響楽団
 大ヒット作なのでメロデイーも有名だろう。イントロも非常に印象に残るメロディだ。トランペットやパン・フルートを使った演奏が印象的。小六禮次郎氏はすぎやまこういち氏に師事した作曲家なので、さすがにヒットする旋律のツボを押さえた作品なった。
 
●1997年  毛利元就     
 作曲:渡辺俊幸  指揮:外山雄三 演奏:NHK交響楽団
 渡辺俊幸は元「赤い鳥」のメンバーであり、さだまさしのプロデューサーでもあり、興味を持ってこの曲を聴いたものだったが、イントロは非常に美しいのだが、正直あまり印象に残らない、というと表現が悪いが、終始落ち着いた感じで曲が推移する。そして後半、ややボレロのようなリズムが登場して、終了する。氏の作品としては、後から登場する「利家とまつ」の出来が格段に上と思えるが。余談だが、小生の先祖は緒形拳演じる尼子経久氏の家来だったと祖父から聞いた覚えがある。

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●1998年  徳川慶喜

 作曲:湯浅譲二  指揮:岩城宏之 演奏:NHK交響楽団
 ドラマの中身はベテランの佐藤慶や岸田今日子のユーモアある演技を除いて、あまり印象はないが、テーマ音楽は極めて素晴らしいものだ。政情不安を表すような不気味な旋律で始まるが、そのメロディが少しずつ、また少しずつ美しくなっていく展開は見事と言うしかない。そして更に美しいメロディになった途端また冒頭の不気味さが戻り終了する。歴史に詳しい方には言うまでもないことだが、時代的には現在放映中の「篤姫」とほぼ同じ。


●1999年  元禄繚乱    
 作曲:池辺晋一郎 指揮:秋山和慶 演奏:NHK交響楽団
 江戸時代の太平の世の中を表すような祭りのような音楽。やがて静かな時を迎えたかと思えば、再び美しいメロディに代わるなどこの曲も変幻自在な音楽で楽しめる。タイトル・バックも極めて楽しいものである。

●2000年  葵徳川三代  
 作曲:岩代太郎 指揮:シャルル・デュトワ、ピアノ:小山実雅恵、合唱:ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団 
 岩代太郎氏は昨今大活躍の人気作曲家。同じNHKの朝ドラ「あぐり」も氏の作品だ。この曲はピアノ協奏曲の堂々たる第1楽章のような作品。まるでラフマニノフのような輝きがあり、それがケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団による聖歌風に変わるところなど素晴らしい仕掛けの多い作品。是非とも氏に20分位の長さの「葵徳川三代の主題によるピアノ協奏曲」を作って頂きたい。個人的には最近の大河でのテーマではお気に入りのひとつ。

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●2001年  北条時宗

 作曲:栗山和樹 指揮:尾高忠明 演奏:NHK交響楽団
 内容が「蒙古襲来」を描いているため、モンゴルの楽器と旋律が使われ、実際にモンゴル民謡の歌い手ノロヴ・バンサドが歌っているこの曲は、大河ドラマの中でも出色の出来という評価を得ている。。がファンの方には申し訳ないが、個人的にはやや「大河のテーマ」としては相応しくないような印象がある。やはり「大河のテーマ」は「近代クラシック音楽」でないと。。という思いがある為だが、はっきり言って趣味の違いともいえる。個人的にはむしろ番組最後の「紀行」のテーマの山下洋輔の演奏のほうが印象に残る。尚この番組内では、「雨上がり決死隊」の宮迫博之やピーターの演技に注目が集まった。


●2002年  利家とまつ   
 作曲:渡辺俊幸  指揮:岩城宏之 演奏:NHK交響楽団
 大分記憶に新しい音楽になってきた。 渡辺俊幸氏の大河2作目だ。この曲は雄大な自然をバックに美しく奏されやがて馬が駆け出すような、いかにも「戦国時代」風展開を見せる。タイトル・バックには、「利家とまつ」の主役2人が登場していた。

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●2003年  武蔵          
 作曲:エンニオ・モリコーネ 指揮:服部克久 演奏:NHK交響楽団 

エンニオ・モリコーネは言うまでもなくマカロニ・ウエスタンの映画音楽などで世界的に知られる巨匠。大ヒットした「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「アンタッチャブル」「ニュー・シネマ・パラダイス」等の作品でも知られる。モリコーネ氏が「大河」を担当すると聞いて「まさかマカロニ・ウエスタン風の曲?」と一瞬思ったが、予想以上にシンプルな出来で逆に安心できた。しかし番組の中身は正直殆ど見ていない。色々「黒澤明」の作品「七人の侍」と酷似しているなど場外の番外編ばかり記憶にある。

●2004年  新選組!          
 作曲:服部隆之  指揮:広上淳一 演奏:NHK交響楽団 独唱:ジョン・健・ヌッツオ

 こちらは番組内容、テーマ音楽両方ともお気に入りの作品。特に堺雅人演じる山南敬助は続編まで作られた土方歳三と並んで印象深い。堺は現在の「篤姫」でも徳川家定役で出演中だが、この180度違うキャラが面白い。但し結末は史実だから仕方ないが、悲劇的。彼らの努力は一体何の為だったのか、という空しさも残るが、心地よい空しさでもあった。
 音楽の方も非常に印象的なイントロ、そして途中から入るジョン・健・ヌッツオによるテノール独唱(作詞は本作の脚本を担当した三上幸喜)も素晴らしいの一言。(この曲構成は「信長」と同じであるが、曲をドラマ仕立てにするには効果的)。先に述べた続編もこのテーマが使われたのでお茶の間でこのテーマが流れた回数は全大河ドラマの中で、おそらくこの作品が一番多かったであろう。

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以上まだまだ続くが続きは、続々々編にて。おそらく年末までにはアップ予定(笑)


※尚前回もご紹介したが、音楽だけなら以下の2枚で十分お楽しみいただける。

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