毎日仕事をしていると新しい発見があります。仕事をして成功したこと、反省したこと、同僚の良かったところや上層部が言ったことで気づいたこと、等々。

そういったことについて何もメモを取らずに日々仕事をしていくのは非常にもったいないことですし、現場でしか学べない貴重な経験を垂れ流してしまっていると思います。

メモはそんなに長くなくても良いです。あまり肩肘張らずに感じたことをそのまま書けば良いと思います。

自分の場合は2、3行のメモが多いです。

そしてメモを書いた日付も残しておきます。

 

自分が過去に取ったメモの一部を以下の通り紹介します。

 

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- お客様への製品説明の際に最初に自分が早口になってしまうとバトンタッチをしたSEも同じように早口になってしまった。自分が落ち着いて話さないといけなかった。

 

- 多少説明が間違っていても自信を持って相手に伝えることによって相手の背中押すことができる (同僚のXXさん)

 

やはり事前準備はとても大切だ。そして自分を守ることにつながる。そのミーティングの目的、どういう方向性に持っていきたいのかをしっかり理解している状態であればミーティングをコントロールすることができる。(XXXX様とのミーティング)

 

- 相手のペルソナを考えて話し方を変える - 気にするポイントが違う(例:ネットワーク担当は最新のソリューションを導入することよりもシステムが安定することを望む)

 

上司が部下に指示をするときにはあいまいになると部下を戸惑わせ作業に時間がかかってしまう(XXXX様とのミーティング)、なるべく指示は明確にする。

 

 - お客様への製品説明の前にいろいろ質問をすると良い。何が課題なのか?何を聞きたいのか?を聞きながら説明のポイントを探る。

 

 - 一つの説明でいくつも情報を入れると相手は混乱する。落ち着いて一つ一つの情報を話す。

 

 - タフな交渉の際こそゆっくりと落ち着いて理論整然と相手に話をすべきで、相手は最初は分からなくてもいずれ理解してもらえると信じて話をすべきだ。相手のペースに巻き込まれないで常に自分のペースで話をすることが大事

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上記のことは自分自身の行動、同僚の行動、上司の行動等を見て気づいたポイントのメモになります。

それぞれのメモは小さなことですが、後で見返してみると自分で再確認できることがあります。

私の場合は社内外とのミーティングの事前準備ができたからミーティングがうまく行った、というような内容のメモがいくつかありました。常に事前準備を心がけてると良い結果がついてくるということを再認識できました。

 

良い経験、反省をメモを取る習慣を付けることによって、他の人と比べて一つ一つの行動に差が出てきて、その結果営業数字の達成率も大きく変わってます。

実際に私はそれを体現しています。

 

ちなみにノートは紙でない方が良いです。自分の場合はDropbox Paperを使っています。そうすると気づいたことをパソコンで書いたりスマホで書いたりできますので便利です。

 

外資系ITのセールスを経験したことのある人であれば一度は聞いたことがあるMEDDICCについて紹介します。

 

MEDDICCというのは営業活動において案件クローズのために自分がどこまで確認できているのかを見極めるためのフレームワークです。

 

特に大型案件になるとMEDDICCの各項目を押さえているかということをマネジメント層からチェックされ、未確認のものがあればしっかり確認するように言われます。そうすることによって案件の最後で予期せぬ自体、例えば案件凍結、延期、競合他社に負けて失注するといったようなリスクを減らすことができます。

 

MEDDICCはそれぞれの確認事項の頭文字を取っています。

"M" Metrics: 測定可能な指標

"E" Economic Buyer: 決裁者

"D" Decision Criteria: 決定の基準

"D" Decision Process: 決定のプロセス

"I" Identified Pain: 課題

"C" Champion: チャンピオン(自社の味方)

"C" Competition: 競合

 

それぞれをもう少し詳しく見てみましょう。

"M" Metrics: 測定可能な指標

 - 自社サービスを導入することによって今からどの程度の変化が期待できるのか?例えば今よりXX%コストを削減できる、とか今より従業員一人あたりXX分の仕事の無駄がなくなる(生産性が上がる)等

 

"E" Economic Buyer: 決裁者

 - これは前回のブログでも説明しましたが、自社サービスの導入を最終的に決定する人のことになります。たとえ最終決定が取締役会で決まることになっても、この人がYESと言えば確実に役員会で承認されるような人のことです。

 

"D" Decision Criteria:  決定の基準

 - 自社製品に決定する際に基準となるもののことです。例えば技術的な観点からはRFPに記載の事項を満たしているということや、既存製品のXX月までに全ユーザーを自社製品に乗り換えられること、予算に見合う価格を提供すること等になります。

 

"D" Decision Process: 決定のプロセス

 - 上記の決定基準を満たした後に実際に製品を購入するまでのプロセス。例えば決裁者の承認が取れた後に毎月XXに役員会があり、それが承認されて最終見積りを提示してからXX日くらいで購買部から販売店に発注書が出されて、、というようなプロセスのことです。

 

"I" Identified Pain: 課題

 - お客様のPain、直訳すると痛みですが、ビジネスにおいては解決しなければならない課題のことです。いまお客様は何に困っているのか、それを放っておくとどのようなリスクがあるのかという情報になります。例えば今は在宅勤務者はインターネットアクセス時に十分なセキュリティを担保できていないので、このままだとマルウェア感染して情報漏洩のリスクがある等の情報のことです。

 

"C" Champion: チャンピオン(自社の味方)

 - これも前回のブログで紹介しましたが、自社の味方となりお客様の中の状況を教えてくれる人となります。自社の購買のプロセスを教えてくれたり、競合他社との情報も提供してくれるような人のことです。

 

"C" Competition: 競合

 - 文字通り、案件を受注するために戦っている競合情報のことになります。競合といっても同業の競合他社のこともあれば、代替えソリューションや現状維持を指すこともあるでしょう。自社製品ではないものに決定する場合、何になるのかというものになります。

 

見込み客との初回ミーティングの際に大事になるのは"I" Identified Pain: 課題と"C" Champion: チャンピオン(自社の味方)だと考えられます。

そもそもお客様が何に困っているのか、どういう課題を抱えているのかを理解することはとても重要です。そしてChampion Buildingも非常に重要な要素になります。自社の課題や競合情報、何が決定要素となるのか等の情報を教えてくれる人を見極めたら、初回ミーティングの後にその人とのコミュニケーションを続けていきます。

 

私の場合、こんなことがありました。

ある大阪の製造業のお客様とのミーティングで現在の課題について聞いたところ、その中の一人の方(チームリーダー)が様々な分野での課題について話してくれました。それぞれの課題についてはまとまりがなかったですが(例えば日本国内の課題と海外での課題が違ったり、現在の運用面の課題や予算の課題があったり)、その次のミーティングでは自社のアーキテクトを出して課題の整理と段階的なネットワーク移行方法についてディスカッションを始めることができました。

そうしてネットワーク構成についてのディスカッションを複数回重ねて、評価ライセンスでの評価、価格交渉、案件受注とつながりました。

この案件もチャンピオンから課題をヒアリングするところから始まっています。

 

こういうフレームワークは全ての案件において万能ではないかもしれません。

しかし自分の経験則にのみ頼って案件を進めていくより、第三者的な目を持ってチームでMEDDICCの穴埋めをチェックしながら案件を進めていく方が確実に案件の確度が上がります。逆にいうと営業活動をして案件クローズのためにやるべきことをやっていれば自然とMEDDICCは埋まっていくものだったりします。

 

法人営業をしていて社内で営業の進捗状況を説明する際に必ず聞かれることがあります。それはEconomic Buyer(エコノミックバイヤー、決裁者)とChampion(チャンピオン、自社の味方)が誰なのか?それぞれとどのような関係を築けているのか?ということです。

 

この二つの存在は営業活動において非常に重要な役割を果たすもので、両者との関係性がない場合、案件受注の確度は極端に低くなるでしょう。

 

まず、チャンピオンとは自社の味方となりお客様の中の状況を教えてくれる人となります。自社の購買のプロセスを教えてくれたり、競合他社との情報も提供してくれます。営業活動を行う際にはまずチャンピオンが誰なのかということを見極めて、そのチャンピオンと頻繁に情報交換を行う必要があります。

 

それではチャンピオンだけを押さえておけば受注できるのかというとそうではありません。自社ソリューションの購入に関して最終的に意思決定をする人も大切です。それがエコノミックバイヤーになります。

エコノミックバイヤーは、この人がイエスと言ったら購入してくれるというような人で最終的な購買の意思決定を行う人となります。

 

特に大規模案件をクローズする際には必ず両者を押さえておかなければなりません。たとえ自社製品を販売店経由で営業活動を行っていても、我々が直接チャンピオン及びエコノミックバイヤーとの関係を持ち、直接対話を行わないと失注のリスクが残ります。販売店を通じた間接話法になると販売店は自社にとって都合の良いことしか言わないことがあります。お客様が販売店に全てのことを話していない場合があります。なので自分が直接お客様と話す必要があります。

 

両者へのアプローチの順番は案件によって異なります。私の経験上、最初にエコノミックバイヤーへアプローチできた案件の方がその後の提案がスムーズに行き受注金額が大きくなったケースが多いです。

しかし全てのケースにおいて最初からエコノミックバイヤーにアクセスできるとは限りません。その際にはチャンピオンから攻める形になります。

 

ちなみにチャンピオンは一人ではありません。特に私が売っているITソリューションの場合には相手の技術者もチャンピオンとなりえます。そういう人を私たちはテックチャンピオンと言っています。テックチャンピオンに対しては自社のプリセールスSEをアサインして技術的なディスカッションを行っていきます。

 

また、案件をクロージングする際にお客様の購買プロセスについても必ずチャンピオンと確認します。製品購入の際にチャンピオンが誰に上げて、その後どういうステップがあるのか。例えばエコノミックバイヤーが入る取締役会で承認されないと購買に進めないのであれば、その取締役会はいつあるのか。承認された後にどんなステップがあり、発注まで何日くらいかかるのかというようなことを確認します。

 

そんなことを聞くのは失礼だなんて思わないで必ず確認します。あくまで営業の仕事は製品を売ることですので、そこをしっかり抑えて活動しないと受注タイミングを逃してしまいます。

チャンピオンとはそういう突っ込んだ話ができるように常に関係作りをしておかなければなりません。