北海道の自然ガイド
北海道アウトドアガイド資格をご存知ですか?
北海道知事が認定するガイド資格制度で、分野には自然、カヌー、乗馬、山岳があります。
この資格がなければガイドができない訳ではないのですが、持っているガイドさんを選ぶと安心ですよ〜というお墨付きになります。
だんなのハッシーはカヌーの北海道アウトドアガイド資格を持っていますが、私は今まで北海道アウトドアガイド資格を持たずにネイチャーガイドをしてきました。
弟子屈町の硫黄山エコツアーが数年前より始まり、その認定ガイドになるためには、北海道アウトドアガイド資格を保有していることが必要条件にあり、硫黄山のガイドをしたいな〜と思い、今回北海道アウトドアガイド資格(自然分野)の取得に挑んでいます。
資格取得のためには、まずはアウトドアガイド検定に合格する必要があります。
1日の講習会に参加。後日、基礎の筆記試験に受かると検定に合格です。
次に分野毎の筆記試験に受け、更に実技試験に合格すると、晴れてガイドに認定されます。
私は既にアウトドアガイド検定には一昨年合格したので、今回は自然分野の筆記テストを受けました。
テスト前の1週間、テキストを勉強しました。
筆記テストは基本的にテキストの中から出題されます。
自然とリスクマネージメント、2冊のテキストがあります。
私は、この資格制度ができた当初(平成13年)に講習会を受講していて、その時の古いテキストを持っていました。
現在のテキストは大幅に改訂されていますが、古いテキストもとても充実した内容なので、十分試験に対応できるように思います。
テキストを読み直してみると、意外におもしろくて久しぶりに集中して机に向かいました。
例えば、、、
北海道の両生類のうち、北海道固有種は、エゾサンショウウオ、エゾアカガエル。
固有種とは特定の地域に限定的にいる種のことです。
キタサンショウウオは北海道では希少種ですが、ユーラシア大陸には広く分布しています。
また、北海道に元から在来しているカエルは、エゾアカガエル、ニホンアマガエルの2種。
エゾアカガエルは、学名<ラナ ピリカ>。ピリカはアイヌ語で美しい。
アイヌ語が学名に入っている唯一の種です。
魚の話題。
淡水魚には、川と海を行ったり来たりする魚がいます。
サケに代表されるような生まれたら海に降りて、産卵のために川に戻ってくる種を「遡河回遊魚」と言います。アメマス、サクラマス、カラフトマス、ワカサギ、シシャモなどがそうです。
一方、海で生まれて、川で育ち、また海に戻って産卵する魚は、「降河回遊魚」。
北海道ではウナギだけです。
このウナギ、なんと2,500キロ離れた西マリアナ海嶺近辺で産卵しているそうです。
北海道の川でウナギはまだ見たことはありませんが、もっと小さなヤツメウナギは釧路川にもいます。見た目はドジョウっぽく、ウナギとは全く異なる種です。
北海道では、かつてはヤツメウナギ漁が行われ、鰻丼といえばヤツメウナギが何匹ものっている丼だったとか!
調べてみたら、ヤツメウナギは今は激減してますが、漁は小規模に続いており、ヤツメウナギ丼、蒲焼きやお刺身を食べさせてくれるお店も数軒あるようです。
お次は、希少種。
北海道の絶滅種は、オオカミ、カワウソ、トキ、チョウザメなど。
オオカミは、アイヌ語でホロケウカムイ(狩をする神)、ウォセカムイ(吠える神)、ユクコイキカムイ(鹿を獲る神)などと呼ばれ、アイヌの人々とオオカミは共存していました。
開拓が始まってからは捕獲され続け、1896年函館の毛皮商が狼の毛皮を取り扱った記録を最後に、哀しいかな、北海道からオオカミの姿は消えてしまいました。
現存するエゾオオカミの標本は、北海道大学植物園・博物館にある剥製2体のみ。
このオオカミは、1877年札幌で捕獲された狼とのこと。
今から150年前の北海道、狼の遠吠えが響き渡る大地に思いを馳せます。
漫画「ゴールデンカムイ」は、明治末期の北海道を舞台に、狼、カワウソ、チョウザメ、ヒグマと共に暮らすアイヌの人々と和人の様子が生き生きと描かれていて楽しいですよね!
〜〜〜試験勉強から脱線してしまいました。
2001年に作成された北海道レッドデータブックには、絶滅種、野生絶滅種の他、絶滅のおそれがある種が5つのカテゴリーに分類されて挙げられています。
絶滅危機種には、イトウ、ウミガラス(オロロン鳥)、シマフクロウ、ミユビゲラ、アシカ、タガメなど。ミユビゲラは、1988年に十勝三股で観察されたのが、一番最近の記録。サハリンにはまだいるそうです。
絶滅危惧種は、タンチョウ、オジロワシ、オオワシ、ヒメチャマダラセセリ(蝶)など。
絶滅危急種は、チビトガリネズミ、オコジョ、ゼニガタアザラシ、クマゲラ、コモチカナヘビ。植物では、フクジュソウも。福寿草って屈斜路湖畔ではよく見かけるけど、希少なんですね。
希少種は、ラッコ、トド、キンメフクロウ、エゾライチョウ、オオジシギ、オショロコマ、イバラトミヨなど。オオジシギって、春になると渡ってきて近所で喧しく飛んでいる(ディスプレイ・フライトという繁殖のための飛翔)のでちょっとうるさく思っていましたが、ありふれたことではないのだな〜と。このオオジシギ、なんと遥々オーストラリア南東部で越冬して、遠く北海道まで繁殖のためにやって来る強者です。
地域個体群には、利尻・礼文島のナキウサギ、積丹・恵庭のヒグマなど。
留意種に、カタクリ、エゾサンショウウオ、サクラマス、シシャモなど。
ちなみにシシャモは、北海道固有種です。
本当は、昆虫や植物がより多く絶滅の危機に瀕していますが、私の興味により偏ったセレクトとなっています。
余談ですが、動物の生息域には津軽海峡で分布の分断が見られ、この境界線のことをブラキストンラインと言うことは、学校でも習ったな〜となつかしく思い出しますよね。
アオゲラに似てるヤマゲラ、コガラにそっくりなハシブトガラも北海道だけの種です。
シマエナガ(←人気の!)・ミヤマカケスは、本州のエナガ・カケスとは種は同じだけど別亜種になります。
続いて、天然記念物。
国指定の天然記念物は、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシ、クマゲラやマガン、北海道犬、和琴ミンミンゼミ発生地、春採湖ヒブナ生息地、歌才ブナ自生北限地帯、天売島海鳥繁殖地などなど。
特別天然記念物は数少なく、生き物ではタンチョウのみ。他は、阿寒湖のマリモ、大雪山、昭和新山、野幌原生林、アポイ岳高山植物群落。
都道府県指定の天然記念物や市町村指定の天然記念物もあり、弟子屈町では屈斜路湖のマリゴケが指定されています。
マリゴケ、緑のマリモと違って色は茶色と地味です。水草が丸まってできたもので、屈斜路湖の東岸でよく見かけます。まん丸というよりはちょとだ円形。釧路川まで流れてくることもあります。こげぱんのようでかわいいのですが、あまり知られておらず、残念です。
せっかく町の天然記念物なので、もっと知ってもらい大切にしてもらえたらいいなと思います。
身近な馴染み深い生き物や地域ですが、知らないことも多くてとても興味深かったです。
自然のテキストには、上記の章「自然の理解・配慮」以外に、「ガイド倫理・責務」「北海道学」「関係法令に関する知識」「自然解説能力」「企画立案能力」の章があります。
実際どんな問題が試験に出たか、もし知りたい方いましたら個別にご連絡ください。
この1月はこのガイド試験の他に、英会話のガイド講習も受けていたのですが、こちらはあまり捗らず、最後の終了試験もほとほとのていでした。
英文を読むのは結構大丈夫なのですが、英会話は得意ではないのです。
まず聞き取りが苦手で、聞き取れても伝えたいことを表現しようとすると英語でなんて言ったらいいのかつまづいてしまってひたすら単語の羅列になってしまいます。
なかなか上達しませんが、お恥ずかしながら、いつか英語でガイドできるようになったらいいなと密かに思っています。阿寒摩周の自然は、世界に誇れる素晴らしい自然だから。
不得意だけど、諦めずに、がんばります。
継続は力なり。と信じて。
長らく勉強から遠ざかっていた私ですが、この1月は、自分の得意分野と不得意分野の両方に挑戦しました。
アウトドアガイド試験の筆記試験(自然)は、先日無事に合格しました。パチパチパチパチ👏
次は、実技試験が6月の釧路湿原であります。
がんばります!
そして、硫黄山のエコツアーガイドになれたらいいな。
ゆくゆくは、英語でガイドできるように。
そして、アラスカにも行かなくっちゃですね。
夢は大きく。
あきらめないで、ひとつづつ積み重ねていきたいです。