夢みるサッカー少年
今朝のワールドカップ アルゼンチン対フランスの決勝戦は、素人の私が観ていても、とても心踊る熱い試合でした。
優勝したアルゼンチン選手の笑顔やメッシの力まずチームプレーを楽しんでいる雰囲気が心地よかったです。
観戦の熱狂冷めやらぬ方もたくさんいらっしゃることでしょう。
うちの15歳の次男 泉もサッカーをやっていて、プロサッカー選手になるのが夢です。
泉が生まれ育ったのは、北海道の東にある弟子屈町です。
摩周湖、屈斜路湖があり、釧路川の流れ出す自然に恵まれた町です。
私も旦那もサッカーには縁がなく、大自然の中、自由に伸び伸びと育った元気いっぱいの泉。
小学3年生のとき、地元のサッカー少年団の勧誘のチラシを学校でもらって帰って来ました。
<サッカーやろうぜ!>
翼君っぽい男の子がボールを蹴っているイラストが載っています。
「サッカーやりたい!」
それまでサッカーに興味ある素ぶりなんて見せたことのなかった泉が言い出しました。
サッカーの練習場のある町の中心部までは15キロほど離れています。
仕事の忙しい時期は送り迎えが大変だな〜と思いつつも、友達が増えたらいいな、行ける時だけでも行ければ、と思い少年団<摩周FC>に入団しました。
その時の少年団の子どもの数は、8人。
そのうち5人は6年生。5年生、4年生、3年生に1人づついました。
年齢別に試合のあるサッカーでは、<摩周FC>だけでチームを作るのが難しくなり、近隣の町、標茶町と鶴居村の合同チーム<標茶鶴居FC>と一緒に<標茶鶴居・摩周FC>として試合に出るようになった最初の年でした。
平日の3日ほどは、摩周FCで練習をします。
土日は、標茶鶴居・摩周FCの合同練習がある時は30〜40キロほど車で走り標茶へ、鶴居へ行ったりします。
鶴居村の多目的運動公園の芝のサッカーグランドは素晴らしく手入れの行き届いたいい芝のグランドで、北海道内でもピカイチです。
釧路市内で開催される試合は、夏は外サッカー、冬は体育館でのフットサルと目白押しです。
泉の通う小学校は全校生徒が7人ほどの僻地校です。
摩周FCでは、町の中心部の弟子屈学校、それから別の僻地校 和琴小学校の子ども達、また近隣の町の子ども達と、交流の幅がどんどん広がりました。
摩周FCでは3つ上の上級生5人が練習相手だったこともあり、泉はもっぱらディフェンス。
ドリブルで突破する上級生を止めるのに一生懸命でした。
その6年生も卒業してしまい、一時わずか5名になったこともありましたが、その後少しづつ増えて、泉が6年生になった年には30名ほどまで団員が増え、活気がありました。
標茶鶴居・摩周FCで同じ学年のチームになったのは、10名ほど。
小学1年生からサッカーを始めている子が多い中で、3年生からの泉は随分と遅い方です。
それでも、泉のすぐに仲間と溶け込める気質と持ち味のスタミナと情熱で、標茶鶴居・摩周FCでもディフェンスとして活躍します。
釧路地区大会では年々上位に入れるようになり、6年生の時は、U-12フットサル大会で地区優勝し、全道大会への切符を手にしました。
2020年2月に予定されていた全道大会に向けて、練習に励んでいた日々。
感染拡大のため、直前に大会は中止となってしまいました。
ある日の練習で「また明日!」と別れたが最後、次の日から練習も学校も休止となり、小学生時代のサッカーは唐突に幕を閉じたのです。
小学校卒業後、泉は鶴居FCの友人2人と一緒にコンサドーレ釧路U-15に入団しました。
コンサドーレのジュニアユースは、札幌、旭川、室蘭、釧路の4拠点あり、そのうちの一つです。
普段の練習は釧路であります。
泉の住んでいる町からは100キロほど離れており、ほぼ毎日ある練習に通うのは大変です。
最初は、週3日か4日くらい通えたらいいかな、と考えていました。
試しに通ったところ平日は帰宅が午後10時頃となってしまい、かなり継続は困難そうな見通でした。
そして、なんと泉は釧路へ引っ越す、という決断に至りました。
旦那のハッシーの提案でした。
こうして、私と中学3年生の長男と小学5年生の長女は、今まで通り弟子屈町に暮らし、泉は釧路の中学校に入学し、ハッシーと暮らすという2拠点生活が始まりました。
コンサドーレ釧路は、釧路地区からの背番号10番が集合したようなサッカーの上手な子ばかりです。
泉はみんなの背中を追いかけながらも気負いはなく、日々たゆまず練習に励みました。
調子の良い時期もあれば、あまりよくない時期もあったりしながら、3年目の今、最後の集大成の時を迎えています。
思い返せば、コロナ禍で、練習が停止になってしまったり、試合が中止になってしまったり、思い切りサッカーのできない期間もありました。
そんな時もコーチはオンラインでトレーニングをしてくれたり、時にはJリーグのトップチームの選手が激励メッセージを送ってくれたり、常に親身にサポートしてくれました。
チームの団結を強め、3年間楽しくサッカーをすることができました。
U-15サッカーとしては、北海道カブス2部リーグで5位という成績を残しました。
また、U-15全道フットサル大会では、見事に優勝!
来年1月の全国大会へ出場します。
2年10ヶ月前、U-12全道フットサル大会は幻に終わってしまいましたが、努力を続けてきたことで、次なる舞台に立つことができたのです!
(*後日談:全国3位という輝かしい記録を残すころができました⭐️)
小学校3年生から今まで、サッカーが好きという気持ちでやり続けてきた泉。
高校でも大好きなサッカーに打ち込んで、サッカーを通じて自分を成長させていきたいと思っているようです。
摩周FCでも、標茶鶴居・摩周FCでも、コンサドーレ釧路U-15でも、子ども達がサッカーできる環境は、コーチと保護者のみなさん、地元市町村のみなさんの本当にあたたかい協力があっての賜物です。
そして何より、一緒にサッカーをしてくれた仲間たち。
いつも笑顔で楽しそうにボールを蹴ってるみんなは、キラキラしていて、観ていてとても元気をもらいます。
好きなことに打ち込めるって素敵だなって思います。
時には、勝ち負けに一喜一憂してしまうこともありますが、勝つこともあれば負けることもある、負けても次は勝てるかもしれないし、勝っても次は負けるかもしれない、どちらもそれぞれの味わいです。
勝ったら喜んで負けたら悔しがって、選手に選ばれたら気持ちが上がって選ばれなかったら落ち込んで、その度にまたなるべく早く中庸に戻ってこれたらいいなと思います。
切り替えが大事!と教えてくれたのもサッカーです。
ワールドカップにおいて、アルゼンチンの優勝が36年ぶりであったように、フランスが連勝はならなかったけれどこの先にはきっとチャンスに巡り会えるように、勝ちばかりが続くことも、負けばかりが続くこともありません。
もちろん日本にも可能性の扉は開かれています。
きっとワールドカップに出ている選手たちも、Jリーガーも、高校サッカーの選手たちも、少年団の子ども達も、サッカーが大好きで全身全霊で向き合い続けいるのだと思います。
過去に囚われず、未来への希望をもち、今を100%生きている姿は、みんなを勇気付けてくれます。
日々の大変なトレーニングなど、目に見えない積み重ねがたくさん裏側にはあると思います。
試合という晴れの舞台では、その成果が遺憾無く発揮されます。
サッカーに夢中になる世界中の少年少女達、みんなの夢見るその世界が、いつも愛にあふれ平和でありますようにと祈ります。