次は「アポフェニア現象」です。この現象を一言でいうと、「無秩序の中に意味を見出す現象」と言うことができます。これも「パレイドレア現象」と同じく“脳の認知バイアス”の一種で、心霊現象や都市伝説、陰謀論や占いなどに影響を与えています。この言葉の語源はギリシャ語の「apo(離れて)」+「phaenein(現れる)」から派生しています。1958年にドイツの精神科医「クラウス・コンラッド」が統合失調症の初期症状として提唱しました。
たとえば宝くじの当選番号や競馬の当たり馬券の数字は、ランダムに現れます。それでもその数字の表れ方に、「流れ」や「法則」を見出そうとする人がいます。仮に「カジノ」の「ルーレット」とやったとします。「ルーレット」の数字はアメリカ式は、「0」「00」から「36」までの38マス。ヨーロッパ式は、「0」から「36」までの37マスがあります。「クルピエ(ルーレットに玉を投げ入れる人)は、1回ごとにルーレットに玉を投げ入れていきます。その数字の順番はたとえば、「25」「13」「0」「33」「17」「8」のようにランダムに出てきます。しかし、人によってはこの数字の出方に規則性を見出そうとして、独自のルールで次に現れる数字を予測します。競馬でも第1レースの結果が「3-6」で決まったとします。順に第2レースは「1-2」、第3レースは「5-6」で決まったとします。これらの数字の出方にはもちろん何の規則性もありません。しかし、レース結果を何千レース、何万レースと集計して、その数字の出方に何らかの「規則性がある」と言い張る人がいます。
実際には一定回数の数字を集めて、その限られた数列の中に規則性を見出すことはできても、それは単にその期間の中で現れたものの集計でしかありません。ですからそのルールに基づいて、ルーレットや競馬で勝負すれば、間違いなくその人は破産することになります。
同じように「陰謀論」を信じる人は、都合の良いニュースや出来事をつなげて「裏の意図がある」と主張します。「占い」や「迷信」を信じる人も”偶然の一致“を「運命」や「予兆」と解釈するのです。
なぜこのようなことが起きるのか。原始時代、人間は“見落とすよりも見間違える方が安全”だったために、”パターン認識能力“が過剰に発達したと考えられています。また、「パレイドリア現象」でも述べた”脳の特性としての効率化“によって、脳は多くの情報の中に意味を見出すことで、処理を簡略化しようとします。そして自分の主張や信念に合った情報だけを拾い集めて、本来は無関係な事象を関連付けて(パターン化して)しまうのです。
「アポフェニア現象(apophenia)」自体は精神病ではありません。それは誰にでも起こり得る正常な認知現象であり、脳が無意味な情報の中に意味やパターンを見出そうとする傾向のことです。ただし、過度で制御不能な「アポフェニア」が精神疾患の一症状として現れることはあります。具体的にはテレビのニュースを見て、その内容が“自分に向けられている”と感じたり、道端に書かれた“落書き”が自分へのメッセージだと思い込む人がいます。そこまで来ると、それは精神疾患の症状と考えた方が良いかもしれません。
心霊現象は、人の強い思い(残留思念や未練など)や死者の強い感情(怒り・悲しみ・憎しみなど)が土地や物に残って引き起こされることがあります。また、死んで肉体を離れた魂=霊の力によっても発生します。ただし、その”核心となる存在”をしっかりと認識しないと、「パレイドリア現象」や「アポフェニア現象」のような、脳の認知バイアスが作り上げた錯覚と混同することがあります。注意しなければなりません。
2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売(商業出版)になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方


