第１６２４回　心霊スポット（１）

　全国には「心霊スポット」と呼ばれる霊現象が何度も起きている場所が何か所もあります。有名なのは毎年数多くの自殺者が発見される「青木ヶ原樹海」、映画の舞台にもなった「旧犬鳴トンネル」、私の伯母も含めて162名が亡くなった空中衝突事故「慰霊の森」などです。先日、たまたま目にした心霊サイトでは、心霊スポットが最も多い都道府県は「京都府（約300か所）」で、2番目が「東京都（約280か所）と書かれていました。どちらも古い歴史のある町で、その歴史の中の戦乱や戦争によって無念の死を遂げた数多くの魂がとどまっています。私は「京都府」も「東京都」も危険な場所は何か所も知っていますが、改めて主なところを取り上げてみたいと思います。

　まずは「東京都」ですが、多くの死者が出た場所としては1923年に約10万5千人が亡くなった「関東大震災」と、1945年に約10万人が亡くなった「東京大空襲」になります。そしてこの2つの大災害ではどちらも東京都の下町エリアが大きな被害をこうむりました。具体的には墨田区・江東区・荒川区・台東区などです。ですからこの下町エリアには無念の死を遂げた数多くの魂がとどまっています。

　そして亡くなった人の数ではなくて、思い＝念＝怨念という意味では、悔しさや恨みを募らせて多くの人が死んでいるのは、”刑場跡“になります。江戸時代の刑場では無実の人もたくさん処刑されています。拷問によってやってもいない罪を自白させられて、証拠も無いのに殺された囚人はたくさんいます。しかもむごい殺され方ですから刑場やその周辺は、どこも薄暗くて沈んでいます。江戸の代表的な刑場は江戸の北の玄関口（日光街道）にあった「小塚原刑場」、江戸の南の玄関口（東海道）にあった「鈴ヶ森刑場」、江戸の西の玄関口（甲州街道）にあった「大和田刑場」が、”江戸の三大刑場“と言われています。その他にも新選組の「近藤勇」の処刑地として有名な「板橋刑場」や牢屋と処刑場が併殺されて”腑分け（医学研究のために処刑された罪人の内臓を分けた）も行われていた「小伝馬町牢屋敷」。晒し首が行われていた「涙橋・獄門場跡」があります。　

　それぞれの刑場では処刑方法に特色があります。「小塚原刑場」では、磔刑（＝罪人の両手足を広げて十字型の磔台に縛りつけた後、複数の役人が胸や腹を槍で突いて殺害します。死後も一定期間、見せしめとしてさらし者にします）。火刑（＝罪人を柱に縛り付け、周囲に萱や薪などの可燃物を積み上げて火をつけます。火勢を強めるために扇いだり油を注ぐこともあります。多くは煙による窒息死や火傷によるショック死をします）。獄門（＝罪人を牢内や刑場で斬首します。斬り落とされた首は俵に入れて運び、獄門台に三日二晩さらします）。腑分け（＝医学研究のための罪人の遺体を用いた人体解剖のこと。腑分けされた遺体は供養されずに野ざらしにされることも多かったのです）。「小塚原刑場」では、これらの刑罰が行われました。「鈴ヶ森刑場」では火炙り（＝罪人は竹枠の柱に縛り付けられ、縄には泥を塗って燃えにくくする工夫が施されました。周囲に萱や薪を積み上げて火をつけます。顔以外の身体は萱で覆われ、火勢を強めるために筵（むしろ）で扇いで風を送ります。死亡後には「止め焼き」として、男性は鼻と陰嚢、女性は鼻と乳房を焼くという儀式が行われました）。他には磔刑が行われて、この刑場での処刑数は10万人以上も及んでいます。「大和田刑場」では、斬首（＝罪人を正座させ、背後から刀で首を一刀のもとに斬り落とします。処刑場には「土壇場（どたんば）」と呼ばれる血溜まりの穴が掘られていて、首はそこへ転がされ、胴体から噴き出した血もそこへ流し込まれました。

　刑場ではこのような形で見せしめとして残忍に処刑したので、刑場の露と消えた罪人たちの恨みの思いは非常に強いのです。（２）へ続く。

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