彼女は希望の難関大学には合格できませんでした。しかし、滑り止めに受けた大学には合格しましたから、その大学へ通うことになりました。大学は高校とはまったく別の世界です。高校では友人も概ね近くに住む人たちがほとんどです。しかし、大学では地方出身者もたくさんいますから、全国の友達が出来ます。彼女は今までにない世界に心を躍らせていました。しかし、家に帰るとまた母親から否定されます。
「あなたは何であんな大学にしか行けなかったんだろう。お兄ちゃんは立派に医学部に入っているのに。あんな大学じゃ恥ずかしくて親戚にも言えないわよ…」
母親のその言葉を聞くたびに彼女は暗くなり、下を向いてしまいます。
~あんな大学で勉強したからっていったい何になるのか~
彼女はいつもそう思いながら授業に出席していました。そしてそんな気持ちで授業の臨んでも、成績が上がるわけがありません。勉強しようという“意欲”が湧かないのです。そして大学では楽しみにしていた友達もできません。一度、入学直後に仲良くなった地方出身の同級生を家に招待しました。家では自分の部屋で二人で話し込んで楽しく過ごしていましたが、“あんな大学”に入った地方出身者の友達を母親は見下して、まったく歓迎しなかったのです。彼女は同級生に“不快な思いをさせたのではないか”そう思い、もう誰も家に招くことはやめました。
友達ができず、勉強にも身が入らない彼女は何とか2年生に進級できたものの、そこで試験を突破できずに単位を落としてしまいました。それにはまた母親が激怒して彼女を罵倒しました。母親にしてみれば、思うように結果の出せない娘がもどかしくて、イライラがたまっていました。また、叱ることで目を覚まして、何とか成長して欲しいという期待もありました。しかし、もう20歳になっていた彼女は、母親に叱られてついに積年の不満が爆発しました。生まれて初めて母親に怒鳴り返したのです。子供のころからいつも兄と比較されて生きてきた悔しさや怒りを母親へぶつけました。そしてその足で家を飛び出してしまったのです。
彼女には頼る先輩も友達もいません。着の身着のままの家出ですから、着替えも泊まるところもありません。最初の夜は公園で寝るわけにもいきませんので、少ない貯金をキャッシュカードで下ろして、安いビジネスホテルに泊まりました。家からは何十回も電話がかかってきています。ただ、携帯電話の充電器もありせんので、すぐに充電は切れてしまいました。充電器をホテルとかどこかで借りることも考えましたが、電話をする相手もいません。この携帯電話も母親との連絡用に持たされていたものです。彼女は行く当てもなく町をフラフラとさまよいながら、橋の上から携帯電話を川へ捨てました。
~きっと親は探し回っているだろうなあ… 警察に捜索願が出ているかもしれない。警察に捕まったら家へ強制的に帰されるのだろうか~
実際には捜索願が出されていても緊急性や事件性が無ければ、警察が積極的に捜査をすることはありません。そして20歳は成人ですから、もし警察に見つかっても強制的に家へ帰されることもありません。本人の意思が尊重されます。彼女はそんなことを考えながら、家出をして2日目の夜もビジネスホテルで過ごしたのです。(3)へ続く。
2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売(商業出版)になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方


