私はご主人と一緒に病室に入りました。幸い、見舞客や医師・看護師は誰もいません。奥さんは意識が混濁しているようで、静かに目を閉じて眠っていました。顔はげっそりと痩せこけて、肌は土色をしていました。右手には点滴の管がつながれていました。
「さっきまでは体を痛がって起きていたんですけど、やっと眠れたようです」
奥さんを見つめる私にご主人はそうつぶやきました。
「分かりました。看護師さんが来ると怪しまれますから、今のうちに祈祷を開始したいと思います」
私は掛け布団の下に右手を忍ばせて、奥さんの左手を軽く握りました。その瞬間、奥さんは一瞬驚いたように、体を“ピクン”と動かしましたが、目は閉じたまま眠っていました。私は目を閉じてうつむきながら、「薬師如来像」と「観音菩薩像」を頭の中に思い浮かべました。そしてまず最初に「薬師如来像」に意識を集中して、小さな声で繰り返しご真言を唱え続けました。それがひと段落してからは、続けて「薬師瑠璃光如来本願功徳経(薬師経)を同じようにささやくような声でうつむいたまま唱え続けました。そしてこの間、頭の中では私の右手から出たパワーが、奥さんの左手から体内にどんどん浸透して、体の中のウイルスや細菌を次々に退治していく様子を想像していました。頭の中のイメージが、あたかも今実際に目の前で展開されている現実に思えるまで、よりリアルにイメージを持ち続けたのです。
気が付くとすでに40分が過ぎていました。私は以前は、自分のパワーで病原菌やウイルスを退治するイメージを作って病気快癒の施術を行っていました。ただ、今は自分のパワーだけでなく神仏の力を借りながら祈祷をするようにしています。理由はもちろんその方が効果を感じることが出来たからです。私は握っていた手を放して数分間、休憩した後、再び「観音菩薩像」を頭に思い描きました。そしてその像に集中しながら「六観音ご真言」「十句観音経」「観音経秘鍵」そして「妙法蓮華経 観世音菩薩普門品第25(観音経)」を唱えていきました。お経を唱えていると、私の体が熱くなることがしばしばあります。このときも私の体は汗が滴り落ちるほど熱くなりましたが、握っている奥さんの左手は、逆にどんどん熱さが抜けていきました。1時間もすると、奥さんは最初に握ったときの体温の熱さが消えて、平熱のような状態まで手の温度は下がっていました。私は効果を感じたことでさらに力を強めました。それからさらに40分が経過して、私もかなり消耗してきたところで、ちょうど看護師さんが入ってきました。私は布団の中でつないでいた右手を咄嗟に抜きましたが、おそらく何か怪しく思われていたと思います。ただ、ご主人も目の前にいましたから特に咎められることはありませんでした。私は予定していた作業を終えたので、このタイミングで引き上げることにしました。
帰る時、奥さんと目が合いましたが、瞳には明らかに生きる力が宿っていました。私はご主人に奥さんの状態は来たときとは明らかに変わったことを伝えて帰途につきました。それから10日ぐらいで奥さんは無事に退院しました。私が帰った翌日から熱は下がり、またぶり返すこともありませんでした。医師も“どうして急に改善できたのか”首をひねっていたそうです。ただ、熱が下がり、他の数値も下がれば、もはや入院している理由はありません。
病気快癒の祈祷(施術)は、よく頼まれます。残念ながら100%成果を上げることはできませんが、そもそも生きる力が低下している高齢者以外では、今では8割ぐらいの方では改善が出来ています。それは私の力云々よりも、人間が本来持っている生命力の強さや神仏の力が、一見すると”奇跡“のような現実を呼び込んでいるからだと思っています。
2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方