同じような事例は他にもあります。相談者は会社の同僚と一緒に奥多摩の川原でバーベキューをしました。家族のいる人は妻子も連れてきたので、総勢30人ぐらいのにぎやかなバーベキューになりました。皆で持ち寄った食材を料理して、お酒もたくさん飲みました。満腹になった相談者は、独身者ですから、家族ずれの輪から離れて、一人で上流の方へ歩いていきました。川のせせらぎを聞きながら気持ちよく歩いていくと、川の水辺に一人の女性が立っていました。岸へ背中を向けて、水面の方を向いていたので顔は分かりません。ただ、厚底の登山靴にジーンズをはいて、上着は防水・防風の「アウターレイヤ」を着ていました。見るからに登山客といった装いでした。ただ、その登山靴はまるで今、山から下りてきたようにひどく泥まみれで汚れていました。相談者はすぐ横を通ったとき、大きな声で
「こんにちは」
とあいさつしました。これは山を登る人たちの間では、礼儀以上の文化として根付いています。それはお互いの安全を確認して、一体感や共感を得るものです。しかし、その女性はわずかにお辞儀をしましたが、こちらを振り返ることはなく、返事も聞こえませんでした。相談者はその反応にも特にめげることなく、
「東京からですか?」
と話しかけました。しかし、この女性はこちらを見ることも返事をすることもありませんでした。相談者は特に足を止めることなく、気にせずにさらに上流を目指しました。
15分ぐらい歩くと、川の流れは木の茂みの中へ隠れていきました。相談者はそこでしばらく休憩した後、また、今登ってきた川沿いの川原を下流へ向けて戻っていきました。遅くなると一緒に来た皆に心配をかけてしまうからです。同僚たちと合流するとそれぞれが仲の良いグループに分かれて、またお酒を飲んでいました。ただ、上流からここまで戻る間に、先ほど挨拶をした登山着を着た女性とはすれ違いませんでした。
~さらに下流へ行ったのだろうか~
相談者は少し気になりましたが、すぐに同僚たちとの会話に紛れて、この女性のことは忘れていきました。
その日の夜、家の前まで車で送ってもらうと、マンションの前に人影が見えました。ただ特に気にすることなく、マンションのエントランスを入りましたが、一瞬見えたその姿は、登山用の「アウターレイヤ」を着ていたように見えました。その日の夜は疲れていたため、すぐに眠りに落ちました。ただ、深夜にマンションの外廊下を歩く、重たい足音が聞こえて目を覚ましました。時計を見るとまだ深夜の2時半です。しかもその足音は、どんどんこの部屋に近づいているように聞こえました。そしてその重たい独特の足音がやけに耳に残りました。それは普段の生活で耳にしている革靴やスニーカーの足音とは明らかに違っていました。
翌朝起きると玄関から廊下に泥の付いた足跡が残されていました。相談者はその泥を見た時に、昨日奥多摩で会った登山着を着た女性が目に浮かびました。相談者は驚いて、雑巾で家の中の靴跡の汚れをすべて拭き取りました。しかし、その日の夜に会社から帰宅すると、マンションの自室の前に泥の付いた足跡がまた残っていました。そしてその足跡は、昨夜と同じように家の玄関から廊下まで続いていたのです。
~誰かマンションの住人がイタズラでもしたのだろうか… しかし、こんなイタズラをするメリットは何なんだろうか… しかも家の中にどうやって入るのだろうか~
相談者の自問自答は続きました。そしてその後も、この泥も付いた足跡がしばしば家の前や中に残されていたのです。
この出来事もこれまでの事例と同じように、川辺で会った不浄霊に声をかけたことから、頼られて家まで付いてこられたのです。私は相談者から頼まれてこの女性の不浄霊を祓いました。この霊はこの山の中で事故によって命を落とした登山者の霊でした。まだ、年齢が若くやりたいことがたくさんあったため、それを諦めることができないのです。それが生への執着となって魂をこの山に留まらせてしまったのです。
このケースでも、それが山のルールであったとしても、自ら不浄霊へ話しかけたことで、不浄霊に頼られて付きまとわれています。ですから霊と遭遇したときには、それが意図的なものでなくてもこちらからコミュニケーションを図ることは絶対にやめてください。
2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方