息子さんは「広河原」のバス停からしばらく歩きましたが、途中から車で移動しています。その場所は特にタクシーやバス乗り場ではありません。電車・バスと乗り継いでそこから車で移動したことを考えると、誰かと待ち合わせをして車で迎えに来てもらったと思われます。私は借りてきたレンタカーでその足取りを追いかけました。すると車は舗装された道から脇道へ入り、舗装もされていない狭い砂利道を進んでいきました。そして茂みの手前の広場のような場所に車を止めて、そこから徒歩で山を登り始めました。このとき私は息子さんがこの小道を歩いていく姿が、ハッキリと頭に浮かびました。そのとき息子さんの周囲に何人もの人の気配を感じました。私は息子さんの足取りを追いかけながら、そのとき何が起きていたのかを考えました。その結果、神奈川県内の会社を出てから、新宿の少し広い事務所のような場所へ何度か訪れて、そこで数人でまとまって「広河原」までやってきたと感じました。それからマイクロバスに載せられて数人の若者と一緒にこの場所までやってきています。そして皆で徒歩で山を登って目的地を目指していると感じたのです。
さらにその目的地を頭の中で追いかけていくと、多くの若者が座禅を組んだり、瞑想したりしている様子が頭に浮かびました。そして皆が体を向けている正面には、見たことも無い“人間の怪しい像”が祀られています。私は今はこの団体の実態を把握していますが、ここはいかがわしい新興宗教団体の修行場(道場)だったのです。当時はこの場所に来て、この団体がどのようなものであるのかは分かりませんでした。ただ、何か人を洗脳している邪悪な悪念が渦巻いているグループであること。“宗教を隠れ蓑にした犯罪者集団”であることは感じました。
私は徒歩で車を止めた広場からさらに奥へ30分ほど進みました。そして小道の先には突然、体育館のような怪しい建物が現れたのです。私は建物の入り口まで足を進めました。そして今、息子さんがこの怪しい宗教団体の施設にいることを確信しました。入り口には門があって鉄の門扉が閉まっています。門にも外から見える建物の玄関にも表札はありません。ただ、門にはブザーとインターフォンが付いていました。私はとりあえず、ブザーを押して見ました。すると若い男性がインターフォン越しに応えました。
「はい、何でしょうか」
それはとてもぶっきらぼうに自ら名乗ることなく話しました。
「………実は人を探してここまで来ました。20代半ばの若い男性です。心当たりがあるかどうか、お手数ですが写真を確認して頂けませんでしょうか?」
すると私の話が終わると同時に、
「そんな人はここにはいません。帰ってください」
そういってすぐにインターフォンは切られました。
「………」
私はしばらく門扉の前に立ち尽くしたまま、これからどうするか考えました。捜索の依頼者には今日の私の行動を報告しなければなりませんので、「甲府駅」も「広河原」のバス停も「この施設」もデジカメで撮影しました。ただ、ここまで来てこのまま退散することもできません。私はこの建物の様子を周囲の柵の外から撮影して歩きました。すると建物の窓に時々人影が写りました。この施設の人間も私のことを”怪しい人がきた“と思って中から様子を探っているのは明らかです。私は「夜になれば夜陰に紛れて入り込める場所があるのではないか」と考えて、建物の外から入り込める場所を探して撮影を続けたのです。すると突然、玄関のドアが開いて中から4人の男性が出てきました。(3)へ続く。
【2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方