第１３８８回　殺害被害者の無念（２）

　2002年11月、カナダのトロントにあるオフィスビルの一室で、不動産業者のリサ・ポスルンズ（38歳）が血まみれとなって発見された。リサは全身7か所を刺され、喉を切られ、性的暴行も受けていました。警察は当初、オフィスの鍵を持っていた清掃員のルイ・マルケスを疑いましたが、彼はDNA鑑定によって無実が確認されました。殺害から4か月後、ルイは、このビルの中で黒い机を磨いていました。すると突然、机の表面に何かが移り込んだため、ルイが上を見上げると、そこにはリサの霊が浮かんでいました。リサの霊は何も言わずに黒い机をずっと指差していました。リサの霊に促されるように黒い机を凝視していたルイは、元同僚の清掃員でいつも黒い服ばかりを着ていたネルソン・デジュサという男が頭に浮かびました。それからルイは警察に、“リサの霊が現れたことと、その結果、ネルソンが頭に浮かんだこと”を話しました。警察がネルソンを調べたところ、リサの下着に着いていた犯人のDNAとネルソンのDNAが一致しました。ネルソンは逮捕されて、事件は4か月で解決しました。

　アメリカの伝説的なマフィアのボス「アル・カポネ」は、1929年2月14日にシカゴで、敵対していたマフィアのメンバー7人を殺害しました。カポネは1931年に脱税の罪で、悪魔島と言われたサンフランシスコ近郊の「アルカトラズ刑務所」に収監されました。収監中、カポネは銃殺した7人の一人、ジェームス・クラークの幽霊に悩まされました。収監中の別の囚人たちが、独房の中から「ジミー、出ていけ！」と叫ぶカポネの声を何度も聞いていたのです。やがて釈放されたカポネは、すぐに霊媒師を呼んでクラークの霊を祓いました。しかし、除霊の効果はなくその後もクラークの霊はカポネに付きまとい、48歳で死ぬまでカポネはこの霊に襲われ続けました。

　カリフォルニアの森林で、17歳のロイス・シガラを10発発砲して殺害したテリー・チャイルズは、1987年にこの罪で懲役41年を宣告されて収監されました。しかし、他にも数々の殺人を犯していたテリーは、独房にいる間に何度も自分が殺した幽霊に襲われて、「犠牲者の霊が自分の脳を食べ尽くす」と、叫んで怯えていました。そして苦しんだテリーは、“2007年のリンダ・アン・ジョゾビッチ殺人事件、1980年代のジョアン・マック刺殺事件、そして、クリストファー・ホール射殺事件”を自供しました。テリーによると、事件を自供するたびに、犠牲者の幽霊はテリーの前から離れて行きました。

　1864年、アメリカの南北戦争時に、牧師のビル・スケトーはアラバマ州ニュートンの近くで暴徒によって縛り首にされました。暴徒は、牧師が南軍から脱走して、北軍を助けていたという噂によってスケトーを襲ったのです。スケトーは木の枝に吊るされましたが、暴徒たちは彼をぶら下げるのに、枝の高さが十分でないことに気づいて、スケトーの足元に穴を掘って吊るしました。スケトーが死んでしばらくすると、縛り首をした暴徒の中に不可解な死を遂げる者が出てきました。ある者は慣れている馬から突然落ちて、木にぶつかって死にました。別の者は沼で溺れて溺死しました。また他の者は、雷が直撃して死にました。そしてスケトーの足元に掘った穴は、何度埋め直しても現れ続けたのです。

　このように理不尽な殺され方をした人の恨みや憎しみはそう簡単に消えるものではありません。殺した犯人の前に何年でも執拗に現れて、その命を奪うまで襲い続けてくるのです。

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