第１３７７回　さまざまな霊障（１）

　それではまた霊の世界へ話を戻しましょう。霊障（霊の影響）はさまざまな形で現れますが、それが苦痛や恐怖を伴わない形でも、本人にとっては耐え難いものであることがあります。霊障は目に見えないところでは、その人が無意識にしている選択や判断・行動を悪い方へ導いて人生の流れを悪くします。目に見えるところでは、五感のすべてに影響が出ます。先日、私に相談した女性もまさにそんなケースでした。その女性は学生時代から”霊臭“が出て、そのために良好な人間関係を作ることが出来ずに、孤独の中で生きてきました。たとえば学生時代に教室で、昼休みや放課後に友達同士で集まって会話することは誰でもあると思います。でもそんなときに誰かが急に一言発します。

「ねえ、何かこの教室臭くない？すごく嫌な臭いがするんだけど…」

そう言われると、集まっていたクラスメイトは、一様に顔をしかめて周囲を見回します。そして、

「本当だ、誰かオナラした？」

「オナラじゃないよ、ウンコ臭いよ、誰か漏らしたでしょう？」

　そういって隣の友人の臭いをクンクンと嗅ぎ出すのです。顔は笑っていてイジメではなくふざけ合っているだけです。でも、その便臭の根源が自分であることを知っている相談者は、心を震わせながらその場に立ち尽くすしかありません。

　～神様、どうか私が臭っていることが、友達にバレませんように～

そして周囲の様子を気にしながら、バレないうちにスーッとその場を離れます。

　しかしそんなことも何回か続けるうちに、周囲の人間もだんだん気づいていきます。そして自分がいないところでヒソヒソ話が始まります。

「あの子、絶対に臭いよ、ワキガとも違うけど、何なのあの臭い。この教室、ときどき変な臭いがするけど、考えて見たらいつもあの子がいる時なんだよね」

　ほとんどのクラスメイトは陰でこの話をします。しかし、本人に聞こえないように話しているつもりでも、臭いのことで陰口を言われていることを本人は感じています。そして社会人になってからは、会社の中でも毎日、“気づかれていないか”びくびくしながら同僚との接触を避けて働いていきます。それはこの人がエレベーターを出た後や会議室を出た後に、

「この部屋変な臭いがしないか？」背中でそんな声が聞こえてくるからです。

　体臭では「ワキガ」が多くみられます。多汗症の人は、汗に含まれる成分が雑菌と反応して臭いを発生させます。その場合は普通は皮膚科へ行って治療します。今では皮膚科以外にも「体臭専門外来」を行っている病院がありますし、ひどいケースでは入院治療も行われています。この女性はもちろん、皮膚科にも体臭専門外来にも何か所も通いました。しかし何十年経っても一向に改善されることはありませんでした。

　霊障の場合は２４時間、３６５日ずっと影響が出るわけではありません。不浄霊に憑依されていても、その不浄霊にはあの世へ行かずに現世にとどまっている理由となる人や場所があります。ですからしばしば憑依している人を離れます。離れている時間は、本来の自分に戻りますから、強烈な臭いはまったく無くなるのです。

　また、霊障から発する臭いは、自分の体調や不浄霊の性質によって変化します。すべて耐え難い悪臭ですが、便臭以外にも“生ごみが腐った臭い”という人もいます。他にも“メッキ工場の臭い”とか、“硫黄のような臭い”という人もいます。いずれにしても自分だけでなく周囲に知られるまで臭いが漂ってしまうと、正常な人間関係を作ることは難しくなります。それはその臭いを嗅いだ人が、気を遣ってこのことを一切口にしなかったとしても、本人の気持ちの中に恥かしさや後ろめたさが広がっていますから、スムーズな人間関係は作れません。苦痛や恐怖を伴わなくてもこんな厄介な霊障も発生するのです。（２）へ続く。

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