最近、ふと気になって「徒然草」を買いました。「徒然草」と言えば、吉田兼好が書いた鎌倉時代の随筆で、清少納言の「枕草子(平安時代:993年から1008年)」、鴨長明の「方丈記(鎌倉時代初期:1212年)」とともに日本三大随筆と言われています。吉田兼好は1283年頃~1352年頃まで生きた人で、姓名は「卜部兼好(うらべかねよし)」という官吏です。ちゃんと「従五位下、左兵衛佐」という官位を賜っています。何ぶんかなり昔の人ですから、生没年や人物像も含めて諸説があります。この「徒然草」についても鎌倉時代末期(1330年8月から1331年9月頃)にまとめられたと言われてきましたが、現在は長年書き溜めてきた文章を1349年頃にまとめたという説が有力になっています。

 私は今から約700年前の日本人は、世の中をどのように見て、その時代をどう感じていたのかふと気になって、この本を手に取りました。「徒然草」という随筆は、社会の授業でその名前だけ覚えていました。ただ、後世に名を残すような優秀な随筆家であれば、その時代の世相や空気をきっと目が覚めるような視点で切り取っているのだろうと期待して購入したのです。そしてこの随筆の内容は私の期待以上に素晴らしい作品でした。

 例えば全244段(243段という説あり) の中の109段に「高名の木登り」とタイトルの付いた作品があります。

~高名の木登りと言ひし男、人をおきてて高き木に登せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、降るる時に、軒長ばかりになりて、「過ちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなむ。いかにかく言うおふぞ」と申し侍りしを「そのことに候ふ。目くるめき枝危ふきほどは、己が恐れ侍れば申さず。過ちは、やすき所になりて、必ず仕ることに候ふ~

と書かれています。ちゃんと目を通せば何となくニュアンスは伝わると思います。この文章の意味は、もちろん解説に書かれています。

~(弟子が)高い木に登ってひと仕事した後、今度は降りてきて、飛び降りてもいいくらいの高さになってきた。誰もが、もう安心と目を離すような、まさにその瞬間に名人の声が飛んだ。そして弟子は緊張を取り戻す。この話は、名人の木登りの妙技を讃えたのではない。名人の弟子の心の動きを読み取る力と、弟子の身を気遣う心に、兼好が感動した話なのだ~

 この木登り名人については、“地位も教養もない男だが、言うことは聖人の教えに一致している”と解説されています。また、同じ例として、“蹴鞠(けまり)も難しい鞠に上手く当てた後で、気を抜くと必ず蹴りはずして鞠を落としてしまう”と書かれています。考えて見れば私たちが大きなミスを犯したり、事故に遭遇するのは、“安心して気を抜いた瞬間がもっとも危ない”のです。私もそのことは身をもって何度も体験しています。しっかりと肝に銘じておきたい“教訓”です。一瞬の気の油断が大きな失敗につながる心の動きは、今も700年前もまったく変わっていないのです。

 また第15段には「旅は心のシャワー」とタイトルが付けられています。

~いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ目覚むる心地すれ。その辺り、ここかしこ見歩き、田舎びたる所、山里などは、いと見慣れぬことのみぞ多かる~とあります。この解説には「一人旅でも家族旅行でも構わない。自分の住みかをちょっと離れて、よその土地をのぞくだけで、日常生活でたるんだ心がしゃきっとする。未知のものと向かい合うときの新鮮な心のたかぶりが旅の魅力であることを兼好は言い当てている」と書かれています。

 私にはさまざまな悩みを抱えて苦しんでいる方たちから毎日、たくさんの相談が寄せられています。その中で気持ちを切り替えたり、気分転換するときの方法として、“呼吸する空気を替えて、目に見える景色を変えて、飲む水を変えてください”と話すことがあります。そうすることで重たい気持ちが切り替わり、頭の中がリフレッシュすることがあるからです。これはまさに約700年前に人の心の移ろいについて兼好が感じたことと同じことです。(2)へ続く。

 

 

【2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。

 

霊界が教えてくれるこの世で幸福になる方法


■書名

霊界が教えてくれる

この世で幸福になる方法

■著者:霊能者SHUN(シュン)

■四六判248頁

■定価1650円(本体1500円+税10%)

■ISBN978-4-341-08818-7

■発売 株式会社ごま書房新社

 

 目次

序章:地球の誕生と人類の出現

第一章:霊界の存在とその仕組み

第二章:人の縁の不思議

第三章:心霊スポットが危険な理由

第四章:霊障は理不尽なもの

第五章:先祖と私たち

第六章:この世の上手な過ごし方

 

シュンさんのX ここをクリック!

 

シュンさんのYouTubeチャンネル ここをクリック!

 

シュンさんのホームページ ここをクリック!