第１３６６回　浮かび上がる文字

　以前、車のボンネットに、知らない間に傷が出来たという方から相談を受けました。自分ではぶつけた記憶はないので、誰かがイタズラをして傷つけたのではないかと思いました。小さな“ひっかき傷”のようなものでしたので、タッチペンを塗って目立たないようにしました。しかし、しばらくするまた同じ場所に傷がついています。しかも今回は傷が大きく広がっていて、何かの模様のように見えます。車は家の前の車庫に止めていたので、車庫を監視している防犯カメラ映像を確認しました。誰かのイタズラであれば、警察に被害届を出そうと思いました。しかし、誰かが車に傷つけている様子は何も映っていません。修理に出すのもお金がかかりますので、しばらく放置していると、その傷はどんどん大きく広がっていきました。私は状況を確認するため、その傷の画像を送ってもらいました。見ると、ボンネットの中央に正三角形が2つ重なり合っているように見えます。それはユダヤ人やユダヤ教の象徴である“ダビデの星”のように見えます。誰も触れた形跡のない車のボンネットになぜこんな模様が浮かび上がったのか、相談者はそれが不安で私に尋ねてきたのです。

　私から見るとこれは明らかな”霊現象“です。相談者をと面識のある敬虔なユダヤ教の信者の中に、浮かばれない死に方をしている人がいます。その人は死んでいるのに、お葬式や納骨などは行われていません。おそらく何年間も行方不明という形で、ご遺体は発見されていないのです。何らかの事件に巻き込まれて殺されています。自分が無残に殺されたことを伝えて、できればご遺体を見つけ出してもらいたいのです。その執念で波長の近い相談者の車に怪現象を起こして、自分の存在を思い出してもらおうとしています。私は自分が感じたことを相談者に伝えました。すると相談者には、思い当たる人物がいました。そして警察にも相談しながら、本気でその人を探し始めました。

　同様の事例は数多くあります。家の中に置かれた家具に付けられた”鏡“があります。その鏡にある時から”汚れのようなくもり“が現れるようになりました。気持ち悪いのでガラスクリーナーをかけてゴシゴシ拭き取りますが、そのくもりは取れません。そのくもりはどんどん大きくなり、さらに家にある他の部屋の鏡にもくもりが感染して行ったのです。洗面所や浴室、子供部屋の鏡も向かって左下の辺りに、指を押したようなくもりが付いています。これは先祖霊の中の成仏できていない霊が、そのことを伝えてきちんと供養した欲しくて引き起こしています。お寺さんに相談して、過去帳をチャックして、しっかりと先祖供養をしていけば、このくもりは自然に消えていきます。

　もっとも危険なのは、体に出るケースです。最初はちょっとした“できもの”ぐらいに考えていたものが、時間の経過とともに、色が濃くなり、痣のようになり、それがどんどん広がっていきす。それが体にできたものなら洋服で隠せますが、顔にできたものはなかなか隠せません。江戸時代までは各藩によってやり方は異なりますが、犯罪者であることを知らしめるために、罪人の顔に入れ墨を入れていました。前科一犯で額に「一」の文字を入れて、前科二犯になると「ノ」の字をさらに加えます。そして前科三犯になるとさらに反対側に「ノ」の字を彫りこんで、前科四犯になると点を一つ加えます。そうやって罪人の顔に「犬」の入れ墨を入れた藩もありました。もし、無実の罪で犯罪者に仕立てられたり、強い恨みを持っていてなかなかあの世へ上がれない罪人の霊が憑依してきたとき、憑かれた人の顔に「犬」のような痣が浮かんでくることもあります。

　霊は普通は目に見えません。目に見えませんが確かに存在しています。ですからその存在を示すためにさまざまな形で怪現象を起こして私たちに訴えてくるのです。

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