第１３５７回　霊の憑依（１）

　以前、夫からひどいパワハラを受けているという女性から相談を受けました。結婚して15年になるこのご夫婦は元々とても仲が良かったのです。ご主人はどちらかというと内向的でおとなしい人でした。神経質な面はありましたが、妻を罵るような暴言を吐くことはありませんでした。もちろん手を上げることも物に当たることもありません。しかし、私が訪問した家の中は、室内の壁やクローゼットのドアに何か所も穴が開いていました。食洗器は壊れて食器置きになっていました。食器棚は扉のガラスの面が片面だけ付いていました。これらはすべてご主人が激昂して破壊した跡です。

　ご主人は4か月前から異動になって、都内の別の支店へ勤務しています。通勤時間は異動前とほとんど変わらず、家から約1時間です。しかし、明らかに勤務先が異動になってからご主人の様子はおかしくなりました。新しい勤務先は都内でも下町ですから、戦災や震災の影響は受けています。そして通勤で使う電車は都心から千葉方面へ向かいます。その間には“隅田川”があるため、私の本を読んだ奥さんはとても心配になりました。今の尋常でないご主人の様子に、「これは霊の影響を受けているのではないか？」そう確信して私に相談してきたのです。

　不浄霊の霊的な波長と自分の霊的な波長が合うと、同調することができますので、不浄霊の憑依を受けることがあります。いつもお話ししている通り、霊の憑依を受けると、次の4つの点が悪くなります。それは「その人が無意識にしている選択が悪い方を選ぶ」「その人のタイミングが悪くなる」「悪い流れを良い流れへ転換するきかっけが訪れない」「原因不明の体調不良」この4点です。そしてこの4点が悪い方へ進むことで孤立化へ向かっていきます。簡単に言うとこういう状況に陥るのですが、憑いた不浄霊が悪いものや強いものですと、これにとどまらずに、さらに心身に影響が出てきます。霊の影響とはさまざまな形で心身に現れるものですが、多いのは憑依した霊が死んだときの状態が自分の心身に投影されるケースです。

　たとえばお酒を1滴も飲めなかった家庭の主婦が、突然浴びるようにお酒を飲むようになったことがあります。そのことを夫と子供が注意しても奥さんはまったく聞き入れません。お酒を隠せば夜中に起きて料理酒でも飲みます。そこで料理酒も隠すと、外へ出て酒屋へ走ります。それを力づくで止めると目を吊り上げて怒り、物を投げて暴れて家の中を破壊します。ひどく暴れるときに精神科へ連れて行っても鎮静剤を打たれて一時的におとなしくなるだけです。お酒への執着は”依存症“というレベルをはるかに超えています。そういう状況に陥ったときに”藁にも思い”で、私に連絡してくる人が多いのです。そしてそれらの方の半数以上は、不浄霊に憑依されたことでそのようになっています。このケースでは、”毎日、お酒を浴びるほど飲み続けて、それで体を壊して死んでも、まだお酒を飲みたくて我慢できない不浄霊“の憑依です。

　私に相談された主婦は、夫が家で暴れるときは、「目が吊り上がって顔の形相が変わった」と話しています。さらに表情や見た目だけでなく“ご主人の声”も別人になっていました。霊の影響によってパワハラが起こることはしばしばあります。会社の社長だった人の霊とか、昔の殿様など、ずっと威張りながら生きていた霊の中には、死んでもなおその時間に執着して、あの世へ上がらずに不浄霊として現世にとどまることがあります。そういった霊に憑かれれば、理屈抜きに自分は社長や殿様になっていますから、周囲に威張り散らすことになります。それがもっと悪くなると、傷害事件や殺人事件など大きな問題へ発展することもあります。通り魔事件などで「殺せ！殺せ！という声がずっと聞こえていた」と犯人が語ることがあります。それでは今回はどうしてご主人は人が変わってしまったのでしょうか。（２）へ続く。

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