第１３３６回　ポイントは波長（２）

　そもそもご相談の連絡を頂いた時点で、私と相談者の方の霊的な波長はやや離れていると感じました。大きく離れて感じ取れない状況ではありませんが、少し離れているのでハッキリとは感じ取れず、メガネのレンズが少し曇っているような状態でした。波長の距離で言えば私が対応できるギリギリの感じだったのです。ただ、この人に憑いているものがいることはハッキリと分かりました。本人も自覚していて、夜眠ると憑いている老人や子供がしばしば姿を現します。精神的にもずっとテンションは下がって落ち込んでいます。夜は毎日のようにうなされて起こされます。すると寝間着は汗でびっしょりに濡れています。毎日、微熱が続いていて解熱剤を飲んでも熱は一向に下がりません。体重はこの1か月で10キロ近くも痩せて見た目にもげっそりしています。そのため職場でも家族からも病院で検査するように勧められました。ただ、病院で検査をしても体に悪いところは見つかりません。実際、お腹が痛いとか手足が痛いなど、微熱と激やせ以外に明確な症状は出ていないのです。

　私はこの人の今の状態は“かなり危険だ”と感じました。痛みを感じる場所が体に無くても、微熱が下がらず1か月で10キロも瘦せるのは普通ではありません。何か強いもの、邪悪なものが憑いていて、このままでは“取り殺されるのではないかと感じたのです。私は一旦は波長が少し離れているため、今回のご相談をお断りしようと思いました。状況を観れば、今の状態が不浄霊の憑依によって引き起こされていることを告げなければなりません。そうなれば「それを祓ってほしい」と言われることは目に見えています。そうなると普通よりも大変な除霊になることも明らかだからです。

　遠隔除霊では電話口に持ち主の波長に合ったパワーストーンを置きます。それは霊媒（＝私の代わり）として使います。私は除霊をする人と、憑いている霊に働きかけて不浄霊に苦しい思いをさせて祓っていきます。不浄霊が人に憑いているのは、宙に浮いているような状態よりもその方が楽だからです。その不浄霊にどれだけ頭を下げてお願いをしても、不浄霊は憑いている人から抜けてはくれません。ですからある意味“戦いながら”苦しい思いをさせてたたき出すのです。私はお経やマントラや印相を結び、ときには“三密加持（さんみつかじ）”を行いながら、これらを武器として戦っていきます。

　ただ、一説には8万4千もあると言われているお経も、すべてのお経が目の前の不浄霊に有効というわけではありません。憑依されている人と憑依している不浄霊に効果が出るお経は、私が憑依された人や不浄霊の状態を確認しながら、その場で効果のありそうなものを選んでいきます。そのときに憑依された人や不浄霊と私の波長が近ければ、的確に効果のあるお経を選択できます。効果のあるお経を次々にぶつけていくから、不浄霊は苦しくなってやがて退散するのです。しかし、私と霊的な波長が離れていると、憑依された人や不浄霊とガッチリとつながれません。相談者と私の霊的な波長が離れているということは、相談者に憑いている不浄霊と私の波長も離れていることになります。それは不浄霊は自分の波長に近い人にしか憑依できないからです。私と波長が近ければ、普通に判断できるお経の選択が、波長が離れていることで“ズバリと正解を引きだせにない”のです。これは施術者にとってはかなり焦ります。ボクサーが相手を倒そうと強いパンチを何発も相手に当てています。それなのに相手はダメージを受けずに、平然としているようなものです。私は想定していたこととはいえ、かなり不安を抱えながら、この日の遠隔除霊を始めたのです。（３）へ続く。

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