第１３３４回　家族の形

　私は日常的に多くの皆さんの相談にお答えしています。電話やメールで答えることもあれば、お宅までお邪魔して相談に応じたり、除霊や結界の作業を行うこともあります。お宅を訪問したり、家族のことでお話をしながら思うのは、家によって本当にさまざまな家族の形があることです。

　私の育った家は、両親と兄の4人家族でした。経済的には裕福でしたが、家の中では4人の家族がいつも別々に食事をとるようなとても仲の悪い家族でした。お互いに顔も見たくないし、口もききたくないからです。実家に住んでいた時は、家から駅へ向かう私が、駅から家へ向かう兄と道端ですれ違うことがたまにありました。そんなときももちろん一言も口を利くこともなく無言のまますれ違います。普段、家の中でも一切、口をきいていませんから、今さら道端で会ったとしても、挨拶のしようがないのです。

　両親は私が大人になるまで健在でしたが、家族で旅行へ行った思い出は子供の頃に２～3回あったかもしれません。それどころか家族で外食へ出かけた思い出も子供の頃に何度かあっただけです。私が高校生になるころには、もう自分で物事を考えて選択できるようになりますから、家族の関係の悪さは顕在化しました。親は私を生んで育ててくれました。学校の授業料を払ってくれてお小遣いもくれました。そのことに感謝はしていましたが、進路のことでも将来のことでも親と相談した記憶はありません。自分で決めて自分で費用を請求して、親がそれを期日までに振り込んでくれるだけです。

　私の場合は小さいころから“霊体質”で、見える景色も感じる世界も家族とは異なります。私以外の家族は、霊的なものを見たり、感じたりしないばかりか、非科学的な考え方を“インチキ”と決めつけてその世界の人間をヘイトしていました。ですから私のような子供は、うとましかったのでしょう。幼少期には親には見えない世界の話をする私は、精神科へ連れて行かれました。

　そして兄と父の関係も、父と母の関係もお互いに憎み合うような状況でした。そこに私が子供のころから溜め込んだ鬱積した怒りや憎しみも加わっていますから、家の中はいつも冷戦状態でした。仲が悪すぎて喧嘩することさえないのです。目も合わせないし喋ることもありませんから喧嘩にもなりません。

　今日は朝6時前に起きて、新幹線で新潟まで往復してきました。もう、十数年のお付き合いのある方から「妻を何としても助けてほしい」と頼まれています。奥さんは非常に重い病気にかかっています。奥さんには最善の設備のある都心の病院で優秀な医師によって、最善の治療が行われています。それだけでも大変なことですが、ご主人は私がエーテル体（霊的身体）の状態を改善したり、病気治癒の祈祷を行うことで少しでも回復へ向けて進めると考えています。そのため私に奥さんの病気快癒を頼んできたのです。

　そして今日は、ご主人に感染する可能性のあるウイルス検査がご主人に行われました。私は検査の間、ご主人に付き添って良い結果が出るようにパワーを送り続けました。結果は幸いすべて陰性でした。それから今後の治療方針を確認しながら、心労でクタクタになったご主人を元気にするために再びパワーを送り続けました。このご夫婦の元にも二人のお子さんがいます。まだ、高校生と中学生のお子さんに、ご主人は状況をきちんと説明して、治療によってお母さんの病状は回復できることを伝えて励ましました。そして家族のリーダーとして、今は家族一丸となってお母さんを支えていこうと話したと聞きました。ご主人は私の前では何度も涙を流しましたが、子供と妻の前では決して涙を流さずに頑張っています。そんな状況を見れば、一日も早くこの家族に笑顔が戻るように私も力が入ります。そんな素敵な家族を見ながら、帰りの新幹線の中で、ふと自分の育った家を思い出したのです。

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