第１３３２回死期（１）

先日、私に相談された方は、お父さんが亡くなられて、お葬式や後片付けなどが終わった１０日後にお母さんを亡くしました。お父さんはガンで痴呆も進んでいたため、病院ではなく施設で亡くなりました。お母さんはお父さんが元気でいた時から、いつも影でお父さんを支えていました。昔気質（むかしかたぎ）のお父さんでしたので頑固でわがままでお母さんや子供の意見も一切聞きません。お母さんはそんなお父さんに黙っていつも寄り添っていました。施設に入所してからも、時間があれば面会へ行きました。そしてお父さんの好きなものをいつも差し入れていました。お母さんは特に重篤な病気になっていたわけではありません。それがお父さんの後を追いかけるように、突然、心筋梗塞で亡くなったのです。そのためお母さんのお葬式に来た人たちは、誰もが「お父さんが心配であの世まで付いて行ったのだろう」と口々に話していました。そこで亡くなられた二人の娘さんが、「両親の死はどんな意味があったのか？」そして、「二人の魂はあの世でも一緒にいるのか？」それを私に尋ねてきたのです。

　同じような話はしばしば耳にします。作家で元東京都知事の「石原慎太郎」さんは、2022年2月1日に亡くなりました。石原慎太郎さんが生前、頑固で自分の生きたいように生きてきたことは良く知られています。石原典子（本名は由美子）さんは、小学校の時から知り合いだった石原慎太郎さんと、典子さん17歳、慎太郎さん23歳で結婚しました。そしてすぐに4人の子どもをもうけました。慎太郎さんは大学生の時に芥川賞を受賞して、ベストセラー作家になりました。そして36歳の時に、「第8回参議院議員通常選挙」に自民党公認で全国区から立候補して、史上最高の301万票を獲得して初当選しました。典子さんは妻として、母として、忙しい毎日を送る中で、一念発起して32歳の時に大学受験をしています。そして見事に志望校だった「慶応大学法学部政治学科」に合格しています。典子さんは自分よりも14歳も年下の同級生から、受験の動機を尋ねられた時に、「もし主人が大臣になったときに、妻が高卒じゃあ、はずかしいでしょ。だから勉強することにしたの」と答えています。夫の顔をつぶさないように眠い目をこすりながら勉強したことも、大学で政治を学んだことも、すべては慎太郎さんを立てて支えていきたかったからです。そんな思いの強い典子さんでしたから、慎太郎さんが亡くなり、しっかりと送り出したあとに、後を追うように2022年3月8日に亡くなったのです。

　大相撲の「北の湖」は、子供のころから体が大きくて力が強かったため、小学生の頃から「北海道に怪童あり」とうわさされていました。そのため中学へ入学するころには、大相撲の多くの部屋から勧誘が来ていました。そして中学1年生だった13歳7か月で三保ヶ関部屋へ入り、力士になりました。三保ヶ関部屋を選んだ理由は、部屋の女将さんが北海道で暮らす少年（北の湖）に手編みの靴下を編んでくれたことが決め手になったと言われています。そうやって中学1年から三保ヶ関親方にも女将さんにもかわいがられて成長した北の湖は、18歳7か月で新入幕して21歳2か月で横綱に昇進したのです。そして引退後も2002年から日本相撲協会理事長になって相撲界に大きく貢献しました。その北の湖を育てた師匠の三保ヶ関親方は、北の湖の引退相撲から1か月も経たない1985年10月21日に亡くなりました。現役時代から続いた力士の人生に、引退相撲で一区切りをつけたことを見届けてあの世へ旅立ちました。そして三保ヶ関親方が亡くなった翌日に、北の湖の実の父親も亡くなりました。父親代わりの師匠と父親が1日違いで亡くなったため、葬儀の日にちがかぶってしまいました。そのとき北の湖は、相撲関係者の多くが帰郷を進める中で「（師匠）は、自分にとっては親以上の恩人」として、親戚中に手紙を出して父親の葬儀を欠席して、師匠の葬儀に出席したのです。（２）へ続く

【２０２２年９月１日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店（アマゾン・楽天など）で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。