第１３２７回　詐欺に騙される人（２）

　詐欺師は詐欺を実行するために”舞台“を作ります。それは高級ホテルで開かれるセミナーであったり、仕立ての良いスーツであったり、ブランド時計や最新のモバイルであったりします。自分たちは投資によって大きなお金を儲けているわけですから、貧し気な装いで話をしてはいけないのです。そして自分たちの勧める投資に参加することで、”あなたもこのような豊かな生活ができる”とアピールする必要もあります。

　そして投資セミナーに参加してくる人が、実際にお金を運用していたり、投資についてある程度の知識を持っていることも想定内です。そういう”セミプロ“のような人たちは、どのような投資であっても、それについて資金を運用する”自分なりのルール“を持っています。さまざまな経済指標をチェックしたり、海外相場の値動きを確認したり、チャートの変化に対応して、売買のタイミングを図っています。そして一時的に利益を出したり、人によっては経常的に利益を出している人もいます。それでも人間の欲にはきりがありませんから、もっと確実に、もっと効率良く資金を増やせる方法を求めて、セミナーに参加してくるのです。

　そういう人たちは多くのデータを見て売買を判断します。ですから詐欺師が示したデータにも、細かいところまでチェックして、不明な点があればとことん質問してきます。それは、かなり確信を突いたところを質すものですから、それらの疑問点に明確に答えを出されてしまえば、その“投資法”は、一見すると“完璧なもの”に思えてしまうのです。自分が長年探し求めていた“夢の投資術”が今、自分の目の前にあるように錯覚をしてしまいます。ですからその投資法を見せられると、直ぐに信用してお金を支払ってしまいます。もともと欲の皮が突っ張った状態でセミナーに参加している人たちですから、過去に自分が損をした時期でも、このやり方で大きな利益を出していたことを示されれば、それに乗ってお金を増やそうとします。

　しかし、ここで注意しなければいけないのは、株でもFX（外国為替証拠金取引）でも先物取引でも、相場の動きを後から見て、その期間に利益を上げた投資方法を作り上げることは誰にでもできることです。これから相場がどう動いていくのかを的確に予測することと、過去の相場でどうやれば買っていたのかを見出すことはまったく別問題です。何の関連もありませんし、参考にもなりません。しかも詐欺師は実体のない相場や値動きに基づいてデータを作りますから、彼らの理論通りに“データ上”利益の出ている資料を作ることなど、造作もなくできることなのです。そうやって投資に興味が合ったり、多少勉強してきた人の方が根拠のないデータの値動きに騙されて信じ込んでしまうのです。詐欺師にしてみれば、最初のセミナーに参加しているお客さんを見て、半数以上は“騙せる”と思っています。そしてその後でホテルで面談すれば、８割以上は乗ってくると思っています。それはお客さんの方が欲に駆られてすでに“前のめり”になっているからです。ですから不安を解消して、少し背中を押してあげるだけでお金を出してしまうのです。

　詐欺師の話に乗ってしまったとき、彼らの示すデータや資料をいくらチェックしても、そこで彼らの投資方法の問題点を見つけることはできません。それは最初から詐欺をすることを前提にして、全く矛盾のない完璧な資料（偽物の資料）を用意しているからです。ですからもし、そんな状況になったとき、まずは深呼吸して自分の冷静さを取り戻してください。そして彼らの示すデータや資料ではなくて、彼らの顔を見て判断してください。そして今日から１週間後、１か月後、半年後に、自分がどのような思いを込めてその顔を見つめているのか、想像してみてください。もし、目の前にいる営業社員と一緒に笑顔を浮かべて大笑いしているなら、その話に乗っても良いでしょう。しかし、何かこの顔が豹変していたり、自分の中に怒りやイライラが浮かんでくるようでしたら、どれだけおいしい投資でも参加しない方が良いです。私たち霊能者は皆さんよりも霊感も直観も鋭くなっています。しかし、自分の未来にもし悪いことが起こるとすれば、何となくそれを感じ取れるアンテナが皆さんにも備わっているのです。

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