第１３２６回　詐欺に騙される人（１）

　昔、私によく相談をしていた方から、先日、久しぶりに連絡をいただきました。話の内容は投資詐欺に遭ってまとまったお金を支払ってしまったということです。その方は頭の良い方で、サラリーマンとしては出世しています。自分でもさまざまな投資をして投資セミナーもよく受講しています。頭の回る方で投資にも興味があり、経験や知識もお持ちです。ですから自分が騙されることは無いと思い、詐欺会社のセミナーに参加した後、営業を名乗る詐欺師と面会して“おいしい話”に乗ってしまったのです。

　彼はその詐欺師と高級ホテルで面会しました。相手の人は仕立ての良さそうなスーツを着て、靴はきれいに磨き上げられていました。高級なブリーフケースを開くと、高額なモバイルと書類がきれいに整頓されて入っています。そしてモバイルの画面を開いてデータを相談者に見せながら、自分の勧める投資が如何に有効で、安全確実に利益を生み出し続けられるのか理路整然と説明していきます。相談者は投資の知識がありますから、不明な点はズバズバと質問していきます。その質問に詐欺師は平然と回答していきます。中には意地悪い質問もありますが、そんな疑問にも臆することなく、詐欺師は明確に答えて行ったのです。そしてついに相談者の質問が尽きたタイミングを見計らって、詐欺師は本腰を入れて勧誘に入ります。具体的に今、いくら投資すれば、毎月いくらのリターンが入り、１年後にはどれだけの利益を計上できるのか電卓を弾きました。すべての疑問点に明確に答えを出されてしまえば、相談者はもう詐欺師を疑うことができなくなります。そして翌日に、この詐欺会社に言われた金額を振り込んでしまったのです。

　それから２か月は相談者の銀行口座に、きちんとお金が振り込まれてきました。しかし、３か月目になると、約束の日にちには１円もお金は振り込まれません。そこで会社に電話をして問い質すと、もっともらしい理由を言って、

「今回、お振込が遅れてしまい、大変申し訳ありません。〇日には確実にお振込みいたしますので、もう少々お待ちください」

と１０日先の日にちを言ってきたのです。そして１０日後に銀行口座を見るとやはり振り込まれていません。こんなやり取りを２～３回した後、直接、名刺にかかれた会社の住所を尋ねたものの、そこは“もぬけの殻”でやっと自分が騙されたことを自覚しました。そしてその足で警察へ行って被害届を出しました。警察は被害届を受理して捜査を進めることを約束してくれましたが、お金が返ってくるのかどうかは、「現段階では全く分かりません」と言われてしまったのです。お金を振り込んだ後、２か月間に戻ってきた金額は、被害額の２割に満たなかったのです。

　私が霊視しても、被害額が戻ってくる未来はまったくイメージできませんでした。ただし、相談者が犯人グループの居所を個人的に探したいと言うなら、私はそれなりのアプローチはできます。ただしそれをやったとしても、被害額を全額回収するには手間と時間がかかることをお伝えしました。

　投資の世界に精通しているはずの相談者は、どうしてこんなにも簡単に詐欺に引っかかってしまったのでしょうか。まず、基本的に、彼らの話を聞きにホテルで面会した時点でアウトです。相談者はこの会社のことをSNSで知ってセミナーに参加しています。その時点で「どうしてこの会社は、赤の他人の相談者に、確実に儲かるおいしい話を教えてくれるのか？」そこに疑問を持つべきです。もし本当に利益を出している投資があるなら、彼らがそれを実行して自分たちでお金を儲ければ良いことです。それをセミナーまで開いて丁寧に他人に教えて、お金儲けをさせてくれるような親切な人がいるわけがないのです。このセミナーに参加した時点で、話を聞いた相談者は、もう５０％以上はお金儲けに心が動いていたはずです。まず、「出資法」の中で、「元本保証」や「確実に儲かる」と言って勧誘すること自体が違法なのです。つまりセミナーの主催者はその時点で“違法業者”ということになります。違法なことをする人たちとどんな契約を結んだとしても、約束を守るわけがないのです。（２）へ続く。

【２０２２年９月１日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店（アマゾン・楽天など）で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。