他にも波長が離れているのに仲の良い夫婦がいます。この二人は自営業のご主人と派遣社員としてご主人の会社にやってきて結婚に至った夫婦です。当時は社長一人で経営している小さな会社ですから、正社員を雇うことは大きなリスクになります。そこでご主人は仕事が忙しくなったときだけ、派遣社員を雇って会社を回していました。奥さんは明るく快活で笑顔を絶やさないタイプです。仕事もテキパキとこなす様子は、一緒に派遣された他のスタッフの中で目立っていました。そこでご主人は3か月の派遣期間の最終日に、他のスタッフと一緒に勤務時間中に事務所で簡単なお別れ会を開きました。そのときに「社長一人の会社だけど、うちでこれからも正社員として働いてくれないか?」と、こっそり声をかけたのです。奥さんはそれに応じて入社して、やがて恋愛関係になって結婚することになりました。
恋愛から結婚へスムーズに進んだように見えますが、二人の波長は真逆のように離れていました。ご主人は何でも理屈で考えるタイプで、典型的な“左脳人間”です。また、臆病と思えるほど慎重で神経質です。勝算のないことに手を出すことはなく、いつも石橋を叩いて渡ります。一方の奥さんは理屈ではなく、イメージや感覚で物事を判断します。基本的には楽天家でいつも“のほほん”と楽しく生きています。細かいことにこだわったり、理屈で考えることは好きではありません。毎日を楽しく笑顔で過ごしていれば、幸せは必ずついてくると思っています。神経質で細かいご主人からすると、おおざっぱに感覚で行動する奥さんをどのように感じているのでしょうか。あるときご主人が奥さんについて私にこう話しました。
「シュンさんは、私たち夫婦について波長がかなり離れているとおっしゃいました。自分たちでもそれは感じています。でも、波長が離れていることで私たち夫婦は上手くやっています。私は妻と結婚して本当に良かったと思っています。もし、私が自分と波長の近い女性と結婚していたら、もしかしたら今頃は自殺していたかもしれません。私は今の妻がいたから何度も救われているのです」
こう言って照れくさそうに苦笑したのです。
「具体的に自殺に追い込まれるようなことがあったのですか?」
私の質問にご主人は目線を逸らしながら答えました。
「シュンさん、うちのような小さな会社は、月末の支払いに困ることも、仕事が途絶えることもしょっちゅうあります。それでも法人登記してから15年も会社は続いています。税金も年金もきちんと支払って15年ですから、自分でもよく頑張ったと思います。私は神経質でいつもシリアスに物事を考えます。楽な方へ気持ちを逃がすことができないのです。ですからもし、私と同じような生真面目な女性と結婚していたら、何度も訪れた経営の危機に一緒に不安を増大させて心を折っていたでしょう」
私は思わずうなずきながらご主人の話に耳を傾けました。
「会社がピンチになったとき、会社の実情を知っている妻は、私の相談相手になるのではなく、”大丈夫だよ、今までだってもっと危ない時を乗り越えてきたじゃない、だからきっと今回だって何とかなるから“そう言って私に笑顔を向けたのです。その笑顔で私は何度も救われてきたのです。やる気を出して奮起して何とかしてきたのです。ですから波長の離れている妻ですが、私はいつも妻に感謝しているんです」
こういう形で夫婦関係が成立すると、それはもう、波長の近い夫婦以上に強い絆で結ばれます。そう考えると波長が近くても離れていても、自分の思いを相手へ押し付けるのではなく、“相手と理解し合うこと、相手を尊重して受け入れること”この気持ちがあれば、仲の良い夫婦として良い関係を継続することはできることに気づかされます。
【2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方