第１３０２回　ひどい物忘れ

　先日、私に相談した方は、ひどいもの忘れに悩まされていました。物忘れと言えば、「健忘症」という病気があります。健忘症は、原因となる出来事の後から、物事を思い出せなくなる記憶障害です。思い出せなくなる期間は、数分前、数時間前、数日前など、健忘症になった人によって異なりますが、それが病的に著しくて、日常生活に支障をきたします。その原因とは、「外的要因」としては、事故などによる「頭部の外傷」の他、「アルコールによるもの」や「薬の副作用や手術」によるものなどがあります。「内的要因」としては、「精神的な大きなダメージ」とか、「強いストレス」など心因性によるものです。

　また、誰でも年齢を重ねるごとに忘れっぽくなります。認知症の代表的な症状として「物忘れ」はありますが、「健忘症」による物忘れと、「認知症」による物忘れには、大きな違いがあります。健忘症による物忘れは、出来事の全体像は覚えていても出来事の一部が思い出せません。たとえば、「この人とはどこかで会ったことがあるけど名前が思い出せない」とか、「車の鍵をどこかに置いたけどその場所が思い出せない」というケースです。「この人とはどこかで会っている」とか「車の鍵をどこかに置いた」という出来事の全体像は覚えているのに、その詳細が思い出せないのです。

　これに対して「認知症」による物忘れは、出来事の全体を忘れてしまいます。たとえば今日の昼食に何を食べたかすぐに思い出せないのは、健忘症による物忘れです。昼食を食べたことは覚えているのに何を食べたか（＝出来事の一部が）思い出せないからです。ですから記憶を辿ったり、何かのヒントがあれば、何を食べたのかを思い出すことができます。それに対して認知症による物忘れは、さっき昼食を食べたばかりなのに、昼食を食べたこと自体を忘れてしまい、また食べようとするのです。他にも今日の打ち合わせや会議の予定を完全に忘れてしまっているようなケースは、認知症による物忘れの可能性が高いのです。

　私に相談された方は、「健忘症的」にも「認知症的」にも物忘れがひどくなったのです。たとえば車に乗ろうとして、マンションの外にある駐車場まで来ました。そこで車の鍵を持って来なかったことに気づくこともあれば、その鍵をどこに置いたのかを忘れてしまうこともあります。今日は大切な会議があることを覚えているのに、「健忘症的」には会議に必要な大切なデータを家に置き忘れてしまいます。それが「認知症的」に会議の予定自体を忘れてしまっていることもあります。これでは日常生活に大きな支障が出ますが、それが仕事となると大問題です。打ち合わせや会議やさまざまな約束事を頻繁に忘れてしまうようでは、まともに仕事はできません。そのままでは間違いなく近日中に会社をクビになります。そこで私に相談してきたのです。

　私は精神科医ではありませんから「健忘症」も「認知症」も治療をすることはできません。ただ、話を伺ったところ、まだ４０代のこの男性は、半年前にサイパン島へ旅行へ行ってから、急に物忘れをするようになったというのです。サイパン島と言えば、太平洋戦争中の1944年６月15日から７月９日にかけて、日本陸海軍３万１千人と、アメリカ軍16万７千人の戦闘が行われて、日本軍は２万５千人の戦死者を出して玉砕しました。その浮かばれない兵士たちの魂は、今でも数多くこの島に残っています。もし、その不浄霊がこの物忘れの原因であるなら私がお役に立てると思い、お会いしたのです。するとこの人には自分の霊的波長の近い戦死した不浄霊が数体憑いていました。これらの不浄霊はしばしば、この人の意識の上に載っていました。その瞬間、この人の意識は飛んで不浄霊の意識に支配されます。そしてその間のことは記憶にも残りません。そんなことを日常生活の中でたびたび繰り返していたのです。そこで私は憑依していた兵士の不浄霊を祓うことで、この人の物忘れを改善させました。霊に憑かれたことで起こる霊障は、さまざまな症状が憑かれた人に現れます。その中には今回のような”物忘れ“も含まれますが、それもここまでひどくなると人生を大きく狂わされることになります。

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