第１２９７回　人間関係（２）

　そして３つ目は「常に良いイメージを持ちながら仕事に臨むこと」です。以前、このブログで紹介したかもしれません。私はかなり昔に、仕事でちょっと変わったことを調べて、データを取ったことがあります。それは「能力や縁故が無いのに上場会社の役員まで上り詰めた人に共通する要素は何か」というものです。今は人生の価値観も会社の価値観も昔とは大きく変わりました。ただ、昔はサラリーマンにとって上場会社の役員になるということは、大きな成功であり成果でした。そのため数多くのサラリーマンはそのステージを目指していました。

　ただ、成功者であるはずの”上場会社の役員“を見渡した時に、全員が仕事の成果を上げた優秀な人ではありません。たとえば取締役が15人いる会社であれば、どこの会社でも２～3人は、「どうしてこの人が役員まで出世できたのだろう」と首をかしげる人が入っているものです。優秀でもなく、実績を上げたわけでもなく、経営陣や管理職に知り合いもなく、それでも出世競争のゴールである取締役まで出世できた理由は何だったのでしょうか。

　当時、私は調査の本当の目的は告げずに、該当する上場会社の役員に次々にインタビューしていきました。その結果、一つの答えが見つかりました。役員まで出世した人は誰もが

「自分はこの会社で役員まで上り詰めると信じていた」

と、そう答えたのです。新入社員として会社の入り口を入ったときも、新人研修で同僚に差を付けられても、係長・課長に昇格する時期が同僚に後れを取っても、出世コースではない海外の子会社へ転出したときも、「自分はいずれ役員になって本社へ戻ってくる」と、そう信じていたというのです。それも無理矢理にそう思い込むのではなく、まるで当たり前のように自然に、自分が役員室の中に入り、その椅子に座っている様子を頭に思い浮かべていたのです。

　これはアスリートがしばしば行っている“イメージトレーニング”の実践版です。イメージトレーニングでは、思考が現実に傾いてしまい、良いイメージを自然に作れなくなることで上手くいかなくなることもあります。陸上男子100ｍ競争で自分の持ちタイムが12秒の人が、10秒5の人と一緒に走って、その人より前にゴールするイメージは作れません。それはあまりにも現実とかけ離れているからです。ただ、イメージは右脳で作りますから、現実や理屈を考える必要はありません。頭の中も心の中もそこは“自由な世界”ですから、どのようなイメージを作り上げても良いのです。役員になった人たちは、自分勝手になりたい自分のイメージを作り上げていたのです。しかも、毎日、会社と言う場所に出勤していますから、目にする景色は、そのイメージを“よりリアルなもの”にしていったはずです。そしてイメージが出来上がると、人間はそのイメージを現実化するように、無意識のうちに行動していきます。無意識に行動していくということは、無意識のうちに（＝何の努力をしなくても）、その人は役員になるような行動をとっていたのです。だから役員になれたのです。これは私が、持ち主の波長の合うパワーストーンの中に、その人の願いを念じ込めて、その願いを叶えるプロセスと同じです。

　イメージは未来を創ることに直結しているのです。ですから仕事をする際に、いつも良いイメージを持って仕事に臨むことは、その仕事を成功させることにつながります。逆に仕事に臨む際に、不安や苛立ちを感じながら取り組んでいくと、その不安な未来を言い当てることになってしまうのです。ですから私は“出世したい”という人に、このように伝えたのです。皆さんも“会社で出生したい”と考えるなら、１：社内に敵を作らないこと。２：会社や上司の悪口は言わないこと。３：常に良いイメージを持って仕事に臨むこと。この3つを実践してみてください。２～3か月もするうちに、あなたの未来はどんどん良い方向へ軌道修正されていくでしょう。

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