第１２８７回　除霊中に見ている景色

　先日、除霊が終わった後、「今日は除霊中にどんな景色が見えましたか」と尋ねられました。その人は霊的な間口がかなり広くて、霊体験も数多くしています。「それだけ霊的な感性が鋭くなっていれば、霊能者として多くの人に回答することもできるでしょう」と、私がお伝えした数少ない人の中の一人です。除霊中には私の頭の中にはさまざまな景色が浮かんできます。その中で最も多いのは、“憑依している不浄霊が死の前に、生きていた最後の記憶として意識に刻んだ光景”です。除霊をするときは憑いている霊と戦いながら祓っていきます。そのため霊的な意味で私はその不浄霊とつながります。つながったときに突然、さまざまな景色が目の前で展開されます。たとえば目の前に大きな爆発音が響いて砂塵が舞い上がれば、自分の目の前で何かが爆発したと想像できます。そのあと私の右手に痛みが走れば、爆発によって右手が負傷したと考えられます。遠くに見える山の手前に水面が広がっています。体が自由に動かせない中で水面がどんどん迫ってきます。そしてついに水の中に入ります。さらに目の前には水中からブクブクと泡が上がっていきます。この景色からは、山中にあるダムや湖沼に連れていかれて、生きたまま体を縛られて水中に投げ込まれた状況が想像できます。死んだ後にも記憶に残っている景色は、死に方によって大きく異なります。幸せに生きて普通に病気になって亡くなるようなケースでは、人生の中の楽しかった思い出や幸せだった瞬間が思い浮かんでくることもあります。しかし、不浄霊のように強いネガティブや生に対する執着で凝り固まって亡くなっている人は、死の直前の目にした悲しみや苦しみの情景が、心に焼き付いています。ですからその不浄霊と私がつながった瞬間に、その光景が浮かんでくるのです。

　そしてその景色に出てくる人の服装や髪形、また背景に見える町の風景などから時代はある程度、推測ができます。そうやっていつ頃・どのような理由があって・現世にとどまることになった霊なのか絞り込んでいきます。いつ頃・どういう状況で死に至った不浄霊なのか、それを知ることは特に浄霊では重要です。浄霊では祟っている不浄霊と何日間もやり取りをして、その霊を諭していきます。それは死に至った状況が分からなくてはできません。除霊でも１体だけ祓うことはほとんどありません。最初に憑いた不浄霊が自分に霊的波長の近い他の不浄霊を呼び込みます。そのため憑依しているすべての不浄霊を祓わなければなりませんので、私の頭に浮かんだ状況と実際に祓っていく不浄霊を確認して、祓い残しが無いように確認しながら作業を行います。

　霊は体が無いだけで生きている人間と同じように、感情もありますし性格も異なります。狡猾な不浄霊は他の不浄霊の陰に隠れたり、その瞬間だけ離れたりしながら、自分が除霊されることから逃れようとしてきます。ですから人数確認と状況確認はしっかりと行わなければなりません。

　あとはまったく別の意味ですが、仏陀の化身である「〇〇如来」「〇〇菩薩」「〇〇明王」「〇〇天」の姿が頭に浮かぶこともあります。私は除霊や浄霊をするときに、お経やご真言など仏教の世界観の中にいる仏さまのマントラを唱えます。「三密加持（さんみつかじ）：印を結び、真言を唱え、心に本尊を観じるときに、仏のご加護を受けて仏と同一になれるという密教の考え方」を行う時にも本尊と観じるために「両界曼荼羅（りょうかいまんだら）：胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅の２つの曼陀羅」を思い浮かべます。同じように除霊や浄霊を行う際に、さまざまな仏様のご真言やお経を唱えますが、そのときに曼荼羅の絵や仏像に形作られたその仏さまの姿が出てくることがしばしばあります。特に一心不乱に唱えて、一種の“トランス状態”になったときに不浄霊の視界とはかけ離れた仏さまの姿が頭に浮かぶのです。それはもしかしたらその瞬間、仏さまと通じている時間なのかもしれません。

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