私は不浄霊の影響を受けて心身の苦痛や人生の足を引っ張られている人たちから、除霊や浄霊を頼まれます。除霊は憑依した霊を祓うことです。浄霊は憑依した霊を祓った上であの世まで押し上げることです。浄霊ではしばしば憑依された人の“ご先祖”が関係してきます。たとえば先祖が何か訴えたいことがあるために子孫に悪影響を与えることがあります。「そんなことはしないだろう」と考える人がいると思いますが、霊は口がきけませんから、自分の思いを言葉で伝えることはできません。そこで多くの場合、次の2つの理由でそのようなケースが起こります。一つは家族や親族に殺されたり、裏切られて命を失っているときに、死んだ霊が自分を殺した“家の血”を呪うことがあります。そのため霊的な波長の近い自分の子孫に祟って、呪われた自分の家の血筋を絶やそうと働きかけてくるのです。もう一つは何かを伝えたり、訴えたいと思う時に、波長の近い自分の子孫に悪い出来事を立て続けに起こさせることがあります。人は物事がうまく進んで順調な時は自分を振り返りません。しかし、自分や家族に何か悪いこと出来事が立て続けに起こると、「どこにその原因があるのか」と不安に思い、自分を顧みるからです。そして放置されたままの自分の存在を気づかせようとしてきます。
自分の先祖の中に不幸な理由によって成仏できていない(=あの世へ上がり輪廻転生のサイクルに載れていない)人がいると分かれば、その魂を供養して欲しいと頼んでくる人はいます。中には武士の戸籍である「分限帳」やお寺の「過去帳」や「宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)」などを調べて、成仏できていないご先祖を特定して「その人の墓標(お墓)を作りたい」と言ってくる人がいます。もちろん亡くなったご先祖の霊を供養すること良いことですから、私も過去帳などを調べながら、成仏できていない先祖を見つけ出したいと思います。しかし、亡くなられたときの服装や時代背景、また家族関係からそのご先祖の存在が特定できても、江戸時代に作られた「分限帳」「過去帳」や「宗門人別改帳」に、居るはずのご先祖の名前が書かれていないことが何度かありました。
そもそも今のような「戸籍制度」が作られたのは明治5年で、その後、何度か改正されながら戦前は「家」を基本単位とした戸籍制度が続きました。それが戦後になって世の中の考え方も制度も大きく変わり、昭和23年になって「家」ではなく「夫婦と子供」を基本単位とした新しい「戸籍制度」が施行されました。しかし、現在の戸籍制度の中でも、戸籍を持たない子供=無国籍の子どもは存在します。それは戸籍法49条で「出生から14日以内に、出生の届出をしなければならない」と定められているのに、出生届を提出する義務のある親などが、さまざまな理由により届を出さないことがあるからです。そして出生届を出されていない子供は、法的には生まれていないことになりますから”無国籍”になってしまいます。その数は日本全体に1万人もいると言われています。その主な理由は、離婚後に新しいパートナーとの間に子供が生まれた時に、出生届の提出を躊躇させるような法律がずっと施行されていたからです。民法772条2項には
「法律的に離婚した後300日以内に生まれた子供は、前夫の子と推定される」
というものがあります。この法律によって、離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子どもとして届け出を出さなければならなかったのです。この推定を否認するためには、原則として前夫が嫡出否認の調停を家庭裁判所に起こさなければなりません。本来は離婚後に新しい夫との間にできた子どもなのに、元夫にその手続きを依頼することに抵抗のある人は多く、そのため出生届を出さずに無国籍となってしまう子供が増えたと言われています。そしてこの矛盾を無くすために“嫡出推定”の規定を見直して、
「再婚後に子供が生まれた場合、子供の父親は“現夫”とする改正民法が、2022年10月10日の参議院本会議でようやく成立しました。そしてこの改正民法は、2024年夏までに施行されることになっています。
日本の戸籍は租税や役務につかせる目的などから、6世紀の中ごろには「名籍(なのふだ)」というものが作られたと「日本書紀」に記録があり、それがスタートになります。現代の戸籍制度の中でも戸籍のない子供が生まれている現状を見れば、時代を100年以上さかのぼれば、「過去帳」に記載のない先祖がいることも仕方のないことなのかもしれません。しかし、現実にこの世に生を受けて生きていながら、法律上とはいえその存在を否定されてきた人の怒りや無念さは察するに余りあります。
【2022年9月1日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店(アマゾン・楽天など)で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者:霊能者SHUN(シュン)
■四六判248頁
■定価1650円(本体1500円+税10%)
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章:地球の誕生と人類の出現
第一章:霊界の存在とその仕組み
第二章:人の縁の不思議
第三章:心霊スポットが危険な理由
第四章:霊障は理不尽なもの
第五章:先祖と私たち
第六章:この世の上手な過ごし方