第１２６１回　除霊

　今日は久しぶり４時間を越えた難しい遠隔除霊になりました。電話で行う遠隔除霊では依頼者の顔を直接見ることはできません。しかし、対面で行う除霊でも私は目の前にいる人と視覚を通してつながるのではありません。顕在意識の底にある潜在意識のさらに底にある「集合的無意識」という、人と人が本来持っている共通認識の世界でつながります。除霊ではマントラを唱えながら自分の意識をどんどん下げていきます。そして意識の底の世界でつながった後は、逆に依頼者の意識の表層へ向けて上がって行きます。そして依頼者の五感で感じて状況を把握します。そのとき不浄霊に憑依されていれば、不浄霊の顔や体が浮かんできます。それはテレビの画面を見るようにハッキリと見える時もあれば、ぼんやりとシルエットだけ感じることもあります。そして不浄霊の様子が見えているとき、その不浄霊の心の中に渦巻いている思いが伝わってきます。この思いは容姿よりも明確に感じられます。ですから除霊が終わった後にしばしば「どんな霊が憑いていたのですか？」と訪ねられます。そのときには

「戦前の昭和に時代に生きていた霊でお年寄りの男性です。亡くなるころは家族から介護を放棄されて、排せつしてもすぐに片づけてもらえず、汚れた下着を着せられて、食事も満足に与えられず、汚いものでも見るように敬遠されて生きています。そして１日中、“早く死ねばいい”と暴言を浴びせられて、邪魔者扱いされていました。その悔しさ、怒りは相当に強く自分の子ども夫妻を祟っています。その思いがまだ全く晴れていないために、魂は現世にとどまっています」

というようについている不浄霊の生きた年代、年齢、性別や思い、亡くなったときの状況は、すらすらと答えることが出来ます。　　

　そしてもう一つ厄介なことは、除霊では元凶になっている（＝最初に憑いた）不浄霊の他に、この不浄霊が自分の霊的な波長に合う他の不浄霊を呼び込みますので、何体か祓っていかなければなりません。これら憑依してきたすべての霊を祓わなければ除霊は完了できません。１体でも残してしまえば、その不浄霊が依頼者に悪影響を出しますから、それでは除霊の効果が現れないのです。除霊では通常でも３～４体は祓います。多い時は１０体ぐらい憑いているときもあります。霊は肉体が無いだけで生きている人間と同じように考えて感情も持っています。そしてとてもずる賢いのです。ですから除霊中に１体ずつ祓っていきますが、最後に“ラスボス”と思われる不浄霊を祓っても、その不浄霊をダミーにして、大元の不浄霊が隠れていることが時々あるのです。

　今日、普段の何倍も遠隔除霊の時間が長くなったのは、まず依頼者が不浄霊に憑依されていた時間が非常に長かったことです。４０年以上もずっと不浄霊が乗っていましたから、元凶になる不浄霊が呼び込んだ取り巻きの霊の数はとても多かったのです。しかも元凶になる霊は、依頼者と霊的な波長が非常に近かったため、この不浄霊が依頼者に強く執着してなかなか離れようとしないのです。因縁があって憑いた霊ではありませんが、乗っていて非常に気持ちが良かったのです。ですから４５分ぐらいで一旦除霊は終わりましたが、何か違和感がありましたので、そこで止めないでさらにマントラを唱えていました。するとやはりまだ別の不浄霊が出てきたのです。私はある意味、納得してこの霊を祓いました。しかし、それで終了しようと思ったものの、まだ何かいる感じが拭えないのです。それでここでも止めないでまだマントラを唱え続けました。こういった状況を３回繰り返して、ようやく最初に憑いた大元の不浄霊を向かい合うことが出来ました。そしてこの不浄霊を祓うのに１時間半もかかりました。ここまでやってようやくスッキリと除霊を終えることが出来ました。私の声はガラガラで明日はきっと声は出ないと思います。それでも一時はどうなるかと思いましたが、何とか最後まで終了させることが出来ました。ここまでひどい除霊は１０年ぶりぐらいでした。

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