以前、霊の問題で体を悪くしているお婆さんの家へ、毎日のように何年間も通ったことがありました。元々、旧家出身のお婆さんは、強いご先祖の因縁を抱えていました。たとえば“元華族”であるとか“元武家”ように、立派な家柄ほどさまざまな因縁を抱えていることがあります。私にももちろん前世や前々世といった過去世はあります。しかし、今世で私が生まれた家は、普通に一般庶民の家ですから先祖が因縁を抱えていることはありません。立派な家柄ということは過去世の中で、権力や財力を持っていたことが数多くあります。その力を得るまでの過程で、人の恨み妬みを受けたり、実際にそのような悪行を行っていたケースが多くあります。過去世で行った先祖の悪行を恨む魂が現世に残っていれば、今を生きる子孫がその報いを受けることがあるのです。

 このお婆さんの家では曾祖父や祖父が軍人として将官(軍隊の階級の中で佐官の上、将軍に当たる階級)まで勤めていました。それは国のために立派に戦ってきたことになりますが、言い換えると若い部下たちや敵の兵士を数多く殺してきたことになります。私はお婆さんの家で、立派な勲章や軍隊の写真を見るたびに、戦争で死んでいった兵士たちの怨嗟の声が耳にこだましていました。

 お婆さんは私と初めて会ったときに、厚さ4センチぐらいになる病院の診察券(カード)の束を見せました。自分の体調が悪いためにこれだけたくさんの病院で診察を受けたものの、まったく改善できないために私を呼んだというのです。特に足が悪くて家の中でも歩行器を使って移動していました。外へは出られません。お婆さんは頭も口もとても元気でよく喋りますが、体の不調で外へ出られないのがかわいそうでした。お婆さんを一目見て、将官としてたくさんの命を奪ってきたご先祖が、強い恨みを買っていることは明らかでした。その恨みの重さによってあの世へ上がれない不浄霊が何体もいて、子孫の中で波長の合うお婆さんに憑いているのです。私は自分が感じた思いや見えた景色をお婆さんに伝えました。私が見えた景色は、お婆さんが聞いた戦地の話とほとんど一致していました。そしてまずはお婆さんに憑いている不浄霊を祓うために、“浄霊”という方法で臨みました。そしてお婆さんにも協力してもらいながら、長い浄霊を完了させました。

 浄霊が終わるとお婆さんの足は少しずつ動くようになりました。そして一時的には歩行器なしで室内を歩くことが出来るようになりました。お婆さんはそのことをとても喜んで、私の前で軍歌を歌いながら足を高く上げて行進してみせました。しかし、しばらくするとまたお婆さんの足は固くなっていきました。歩行器を使わなくても、足を引きずらなければ歩くことはできません。お婆さんは私に尋ねました。

 「浄霊で悪い霊をあの世へ上げたはずなのに、どうしてまた足が動かなくなるのでしょうか?まだ、悪い霊が残っていて、それが影響していることはありませんか?」

 お婆さんの疑問はもっともです。私はお婆さんに今の状態を説明しました。

 「おっしゃる通り、今まで行ってきた浄霊で悪影響を与えていた悪い霊はすべてあの世へ上げています。ですから現時点で霊の問題は何もありません。ただ今、また足が動かなくなっているのは、霊の問題ではなくて意識や体の問題です。元凶になっていた不浄霊を上げましたから、悪影響は無くなり一時的に足は動くようになりました。しかし、70年以上もずっと霊の影響によって足や体のあちこちに悪影響が出ていました。その時間があまりにも長かったため、自分の意識や肉体が、霊が憑いていた状態が“当たり前”になってしまっているのです。ですからせっかく不浄霊の上げたのに、心身が憑いていた時の状態に戻ってしまっているのです」

 高齢の方で何十年も霊の影響を受け続けていると、肉体の反応が悪くなりますので、憑依した霊を祓っても体が覚醒して来ないことが稀にあります。私の説明を聞いてお婆さんはひどく落ち込みました。そして絞り出すように声を出して私に尋ねてきました。

 「………それでは、私の足はもうどうやっても動かないのでしょうか?浄霊が終わった後は足は動きました。また動かすことはできないのでしょうか?」

 お婆さんはすがるような視線で私を見つめました。(2)へ続く。

 

※現在、YouTubeチャンネルの更新が止まっています。まだ、猛暑が続いているため、なかなか”パワースポット巡り”に出かける気持ちになれません。9月に入りましたので、もう少し涼しくなりましたら、直ちに再開いたします。もうしばらくお時間をいただきますようお願い申し上げます。

 

瑠璃光寺

 

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