第１２２７回　東京競馬場

心霊スポットのように霊的に危険な場所は、思わぬところにもあります。「将門の首塚」のように分かりやすくその場所を示してくれれば良いのですが、気づかないうちに、危ない場所に入って霊障を受けることもあります。ほとんど知られていませんが、東京都府中市にある「東京競馬場」の中にも霊的に危険な心霊スポットがあります。元々「東京競馬場」は明治40年（1907年）～昭和８年（1933年）まで、東京都目黒区下目黒にありました。コースは１週１マイル（1600ｍ）で、「目黒競馬場」と呼ばれていました。今の「東京競馬場（府中競馬場）」はコース１週が2083mですから、少し小さな競馬場でした。しかも、近隣は当時から住宅地が多くて拡張工事ができないため、府中に移転したのです。

　しかし、移転先の敷地内にはお墓がありました。お墓の主は「井田摂津守是政」と言います。井田家の先祖は鎌倉時代の御家人から始まる名門でした。戦国時代には「北条氏照」の家臣でしたが、豊臣秀吉によって北条氏が滅亡した後は、武士を捨てて百姓になり、府中一体の土地を開墾して村を興したのです。そのため府中競馬場の近くには「是政」という地名がいくつも残っています。競馬場の建設に当たり、お墓の移転も決まりましたが、井田家はそれをかたくなに拒否します。そして強制執行が行われるとき、井田家の親族が日本刀を振りかざして強く抵抗したため、お墓の移転は中止になりました。そして井田家のお墓は東京都の「史跡指定」を受けて保存されることになったのです。そして「是政」のお墓は、今も東京競馬場のコースの中にしっかりと残されているのです。

　コースの中の第３コーナーから第４コーナーの中ほどに、「大欅（おおけやき）」と呼ばれている大きな木（榎）が生えています。この木の根元に「是政」のお墓は残されています。普段、この場所は関係者以外立ち入り禁止になっています。競馬場の中に不自然に残された「お墓」やスタンドからレースを見るときに邪魔になる「大欅」が取り除かれずに今も残されているのには理由があります。それはお墓を撤去しようとしたり、大欅を伐採しようとした作業員の中に急死をした人が何人も出たからです。

　そして東京競馬場の第３コーナーは「魔の第３コーナー」と呼ばれるようになり、過去にこの場所で落馬したり、予後不良（レース中の故障により、回復が極めて困難な時に薬物を用いた安楽死の処置をすること）になった競走馬が何頭もいるのです。こういったこともあってか、東京競馬場の正門前には、名馬の名前が刻まれた墓碑とともに、競走馬の供養のために「馬霊塔」と「馬頭観音像」が建てられています。普段は競馬ファンの熱気と歓声につつまれて、たくさんのお金が飛び交っている競馬場です。「東京競馬場は」最大２２万人を収容する日本一大きな競馬場ですが、そのコースの中央にこのような重たい場所があることはほとんど知られていません。今でも１年に１度、「是政」のお墓の前では、関係者が集まって供養が行われています。

※現在、YouTubeチャンネルの更新が止まっています。まだ、猛暑が続いているため、なかなか”パワースポット巡り”に出かける気持ちになれません。9月に入りましたので、もう少し涼しくなりましたら、直ちに再開いたします。もうしばらくお時間をいただきますようお願い申し上げます。

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