以前私に相談した人は、ひどい霊障に遭ったため自分に何か悪い霊が憑いているのではないかと心配して私に相談してきました。その人の話によると、最初は大学生の冬休みに、友人たちとスキーへ出かける前の日になって、急にひどい痛みと倦怠感に襲われて動けなくなりました。頭はハンマーで叩かれているようにガンガン頭痛がします。高熱が出ているみたいに寒気が止まりません。喉が痛くて声も出ません。体の節々が痛くて動くことが出来ません。それでも体温を測ると熱は出ていませんでした。喉が痛いのでうがいをしようと洗面所へ行くと、鏡に映る自分の顔は別人のようになっていました。顔面は青白く血の気がありません。目の下は墨で書いたように、真っ黒なクマが、くっきりとできています。頬はこけて死人のような生気のない顔が映っていたのです。相談者は楽しい友人たちとのスキー旅行の前に「何てことだ」と落ち込みました。それでも明日の出発までには一晩ありますから、明日までには回復させようと、風邪薬と抗生物質、そして栄養ドリンクを飲んで早めに床に入りました。
そして翌朝を迎えましたが、頭痛と倦怠感はむしろひどくなっているようでした。鏡を見ると昨日と同じように顔色は悪く頬はこけているのに、両目の周りだけがぷっくりと膨れています。まるで試合に負けたボクサーのようでした。これは“ただ事ではない”と思い、病院へ行こうと思いました。しかし時計を見ると、今家を出れば集合時間にはまだ間に合います。スキーには自信がありますし、今日の宿も自分が毎年利用しているところです。自分がグループのリーダーとして皆を連れて行かなければならない責任感と、友人たちの前で「良いところを見せたい」という自己顕示欲にもスイッチが入りました。そして意を決して「行けるところまで行って見よう」と考えて、用意しておいた荷物と持つと、病院ではなく駅へ向かって歩き出したのです。駅までは歩いて１５分ほどです。スーツケースのキャスターを引きずりながら、必死になって駅を目指しました。やっとの思いで駅のコンコースに辿り着いたとき、走りながら改札口を目指す人にぶつかって尻もちをつきました。周りにいた人が２人手を差し伸べてくれましたが、相談者の顔をみると驚いて、駅の事務所まで連れていきました。駅員から「救急車を呼びましょうか」と訊かれたため、それを必死で断りました。事務室で休憩しているうちに、つい眠ってしまい気が付くと約束の時間を３０分も過ぎていました。スマホのない時代でしたので友人に連絡は取れません。仕方なくスキー旅行を諦めて、タクシーで帰宅しました。そして、荷物を家に下ろして病院へ行こうと思いました。しかし、家に戻ったときから、どんどん体調は良くなって、夕方には普通に動けるようになりました。腫れて血の気の失せた死人のような顔にも、赤みが差してきました。旅館には家からすぐに電話をして事情を説明しました。そしてこれから到着する友人たちに謝罪のメッセージを預けました。
それから友人たちは楽しくスキーをして、特に事故もなく無事に帰ってきました。ただ、戻ってきた友人たちに話を訊いたところ、ゲレンデの横の滑走禁止区域では何か所か雪崩が発生していたそうです。今でいう“バックカントリースキー”です。そこで滑るような上級者はグループにはいません。スキー場に来た他の来場者も雪崩に巻き込まれた人は誰もいなくて、大きな事件にはなりませんでした。ただ、もし相談者が行っていたらどうか？女子もいる友人たちの前で、いい格好をしようとしてバックカントリーへ入る可能性は十分ありました。自分の性格は本人が一番よく分かっているだけに、相談者はこの話を聞いた瞬間に鳥肌が立ちました。
この人は他にも救われたことがあります。車を運転中に突然タイヤがパンクして動けなくなりました。仕方なく自分で車をジャッキアップしてスペアータイヤを装着しました。これから高速道路へ乗るのに“なんてツイていないのか”とその時は思いました。しかし、高速道路に乗ってしばらくすると、いきなり前方の車がピタリと止まって動かなくなりました。３０分ほど前に進路の先で大型車や乗用車を巻き込んだ多重事故が発生していました。死傷者も出ています。スペアタイヤを装着するのに約３０分かかりました。ということはもしタイヤがパンクしていなければ、この人の車が事故に巻き込まれていた可能性もあったのです。私は相談者に伝えました。「あなたの身に起きた一見不幸な出来事は、霊障ではなくて、あなたを危険から救おうとする目に見えない力が働いたからです。そのときは“どうしてだ”と不快に思うかもしれませんが、そのことによってあなたは命の危機から救われているのです。むしろ感謝するべきです」
守護霊の強い人や霊感の強い人は、命に関わるようなピンチになったときには、何か目に見えない力によって助けられることがあります。私も子供のころから何度も救われています。そう考えると霊的間口が広いことも、悪いことばかりではないのです。
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■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者：霊能者ＳＨＵＮ（シュン）
■四六判２４８頁
■定価1６５0円（本体1５００円＋税10％）
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章：地球の誕生と人類の出現
第一章：霊界の存在とその仕組み
第二章：人の縁の不思議
第三章：心霊スポットが危険な理由
第四章：霊障は理不尽なもの
第五章：先祖と私たち
第六章：この世の上手な過ごし方
