第１２２０回　殺人車（２）

　その日、この人は隣町に住む友人の家へ出かけていました。夜になり、用事を済ませて一緒に夕食を食べた後、車を運転して自宅へ向かいました。友人の家から自宅へ帰るには、国道のバイパスを通ると早いのですが、この日は事故があってバイパスが渋滞していました。そのため小さな山を越える県道へ迂回しました。この道は片側一車線の対面通行でそれほど混雑する道ではありません。特にもう辺りは真っ暗ですから、車も滅多に通りません。ただ、カーブの多い山道ですし、先日の衝突事故もありますから、用心して速度は４０キロぐらいで安全運転をしていました。そしていくつかカーブを曲がり、直線に入ったときにいきなりハンドルが大きく右へ振れたのです。

“危ない、ぶつかる”

その瞬間、正面からこちらへ向かってくる大型車のヘッドライトに目がくらみました。そして周囲には“ブーッ”という大型車の大きなクラクションが鳴り響いたのです。この人は咄嗟にハンドルを切って思い切りブレーキを踏みました。しかし、クラクションの音に混じってガシャーン“という衝突音と共に、ハンドルとドアのエアバッグが開きました。体はエアバッグの中にめり込み、目の前が真っ白になりました。あまりの衝撃に放心したようにしばらく動けませんでした。

「………大丈夫ですか！動けますか！」

気が付くと対向車のダンプカーから運転手が降りてきて、車の窓ガラスを叩いています。その声にすぐに我に返り、ドアを開けて外へ転げ落ちました。しばらくするとパトカーと救急車が呼ばれ、自力で立つことは出来ましたが、大事をとって病院へ搬送されました。

　幸い大きなケガもなく、一通りの検査をして翌日には退院しました。車に積まれていたドラブレコーダーの映像からも、この人の車がカーブを曲がった後で、突然、反対車線に飛び出して対向車のダンプカーと正面衝突したことは明らかでした。警察からは「居眠り運転」や「脇見運転」さらには「飲酒運転」や「麻薬」も疑われました。この人は「急にハンドルが大きく右に切られて衝突した」と話しましたが、その話は信じてもらえませんでした。車は証拠として修理工場へ送られて細かく車体検査をされましたが、今回も異常はどこにも見つかりませんでした。そしてこの事故はこの人の“運転ミス”が原因とされたのです。

　車は前部が大きく凹みましたが、幸いエンジンは無事で保険で修理されることになりました。そして３か月を費やして、車はきれいに修理されて何一つ傷の無い状態で、再びこの人の元に戻ってきたのです。

「シュンさん、私にとってはなけなしのお金をはたいて買った大切な車です。修理も完了されて戻ってきた以上、またこの車に乗りたいのです。ただ、３回も車が勝手に動いて、一歩間違えば私は死んでいました。今回の事故も私がもう少しスピードを出していたら、車の損傷はもっと大きく、私も危なかったかもしれません。車に異常はないというのですが、いったいこの車はどうなっているのでしょうか。今回の事故は「レーンキーピングアシスト機能」はオフにしていましたから、勝手にハンドルが回るはずはないのです。これからもし４回目の誤作動があれば、次こそきっと殺されるような気がしてなりません。私は何かがこの車に取り憑いていて、私を殺そうとしているように思えてならないのです。どれだけ点検・修理をしても、それではこの問題が解決しないと思い、シュンさんに霊視鑑定をお願いしました」

この人はそう言ってすがるような視線を私へ向けたのです。（３）へ続く。

【２０２２年９月１日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店（アマゾン・楽天など）で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。

　書店に在庫が無い場合は、書店を通して取り寄せいただければ入手できます。また、書店での本の取り寄せ方が良く分からない方は、送料（１８０円）を加えて、１８３０円を「住信SBIネット銀行　法人第一支店　普通口座　１０９７８２８　株式会社マルス」までお振込みください。当社から、シュンさんのサイン入りで郵送いたします。シュンさんの自筆サイン、運気アップにつながっているようです。お申し込みの際は郵送先の宛名・郵便番号・住所をメールでホームページに記載した問い合わせ先アドレスまでお知らせください】