一人の女子が恐怖のあまり、ドアを開けて車の外へ脱出しようとしました。しかし、相談者は、フロントガラス越しにたくさんの人影を見ていましたから、
「やめろ！出るな！車の外は危ない！」
そう叫んで、室内灯を付けました。真っ暗闇の世界に一つの明かりが灯ったことで全員が少しだけ安心しました。それでも地震でもないのにトンネルの中の車は、ときどき前後左右に大きく揺れてそのたびに女子の叫び声が車の中にこだましました。
「………おい、どうすんだよ、このままずっと車の中にいるわけにいかないだろ」
友人の言葉は相談者にすぐに遮られました。
「お前、車の外が見えないのかよ！幽霊だか人間だか分からないものがうじゃうじゃ車を取り囲んで揺らしてるだろ」
この様子が見えたのは相談者と、最初に帰ろうと言った女子の２人だけでした。相談者は何をしたらよいのか分からない中で、無我夢中で祈りました。
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」
「………」
何も変わりません。そして藁をも掴む思いで、心の中で叫びました。
「お爺ちゃん、お爺ちゃん、助けてくれ！何とかしてくれ！お爺ちゃん、オレだよ、〇〇だよ～」
相談者は２年前に亡くなったいつも優しくしてくれた大好きなお爺ちゃんを思い浮かべて、必死に訴えたのです。
“ブルル～ン、ブルルーン”
車のキーが回り、やっとエンジンが始動しました。相談者はエンジンを止めないように慎重に車を走らせて、車は取り囲んだ人垣を抜けていきました。やがて車はトンネルを出て表通りへ戻りました。そして４人はこの恐怖の時間からようやく逃れたのです。
私は死んで肉体を抜けた魂のことを“霊”と呼んでいます。霊の中でもあの世へ上がることができずに、現世にずっととどまったままの霊を“不浄霊”と呼んでいます。不浄霊が現世にとどまるのは、すべてネガティブな理由によるものです。世をはかなんで、自分を恨み、親を恨み、世間を恨んで自殺をした人、自分や家族を誰かに殺されて、強い恨みや憎しみを抱いている人、戦争や災害で突然命を奪われて、生に強く執着している人、そういう不浄霊が数多く集まっている場所が“心霊スポット”になります。不浄霊も好きで現世にとどまっているわけではありません。生きたくても生きられなかった悔しさや悲しさ、そして無念の思いを抱いて亡くなっています。その人たちの成仏を願って、供物を供えたり手を合わせることも、不浄霊に頼られて憑依されることがありますから良し悪しです。しかし、遊び半分でそのような場所を訪れたり、不浄霊をからかうような言動をとれば、不浄霊も怒ります。それはさまざまな形で災いが降りかかります。霊は肉体が無いだけで生きている人と同じです。喜びや怒りの感情もあります。ですから私はそういった場所に立つときには、
「どうか早く成仏してください」
心の中でそう唱えて、すみやかにその場所を離れます。皆さんも心霊スポットと言われている場所には決して近づかないようにしてください。
【２０２２年９月１日から、紀伊國屋書店をはじめとする全国の書店、インターネット書店（アマゾン・楽天など）で、シュンさんの本が発売になりました。「地球はどうしてできたのか」「人類はどうして誕生したのか」「霊界の仕組みや構造はどうなっているのか」そして「幸せに生きるすべはどのようなものか」、シュンさんがさまざまな体験に基づいて明確に答えています。悪質な”霊感商法”が問題になっている今だからこそ、霊や霊界について正しい知識を身に付けて、悪徳業者を見分けるポイントを把握してください。
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■書名
霊界が教えてくれる
この世で幸福になる方法
■著者：霊能者ＳＨＵＮ（シュン）
■四六判２４８頁
■定価1６５0円（本体1５００円＋税10％）
■ISBN978-4-341-08818-7
■発売 株式会社ごま書房新社
目次
序章：地球の誕生と人類の出現
第一章：霊界の存在とその仕組み
第二章：人の縁の不思議
第三章：心霊スポットが危険な理由
第四章：霊障は理不尽なもの
第五章：先祖と私たち
第六章：この世の上手な過ごし方
